2011年4月15日(金)
目次
1. 揶揄するアポロン
2. 復讐されたアポロン
3. ヒマワリになったクリュティエ
4. 原題
今回取り上げる作品はシャルル・ドゥ・ラ・フォッス作『ニンフ・クリュティエ』です。
1. 揶揄するアポロン
アプロディーテと軍神アレスはヘパイストスのいない間に性交を楽しんでいました。
ところが性交中の2人は鍛冶の神ヘパイストスの作った網によってベッドに捕らえられてしまいます。
伝令役ヘルメスの呼びかけによって集められた神々は惨めな姿で身動きが出来ない2人の姿を見て吹き出しそうになりました。
その状況の中でアポロンは捕らえられている2人を揶揄(やゆ)する目的で次のように発言しました。
「ヘルメスはかねてから愛と性の女神アプロディーテと一夜を共にしたいと言っていましたよね。ちょうど良い機会なのでアレスと立場を代わってもらったらいかがですか?」
この問いに対してヘルメスが答えます。
「そうしたいのは山々ですが私の持ち物はアレスの物よりも逞しくはないのでアプロディーテを満足させられないでしょうね。」
このやりとりを聞いていた神々は一斉に笑い出し動けないアプロディーテとアレスは屈辱に塗(まみ)れる結果になったのでした。
2. 復讐されたアポロン
後日、この一件を根に持っていたアプロディーテがアポロンに復讐します。
太陽神アポロンは当時ニンフのクリュティエと交際していました。
アプロディーテはこの2人の仲を引き裂こうと画策したのです。
まずアポロンがペルシア王女レウコトエに恋心を抱くように仕向けます。
アプロディーテの目論見通り2人は肉体的に愛し合う仲になりました。
そうなると嫉妬心を抑えられないのがクリュティエです。
クリュティエはレウコトエの父オルカモスに娘の密通を密告します。
怒った王オルカモスは娘レウコトエを生き埋めにしてしまいました。
アポロンは愛するレウコトエが埋められた場所にネクタルを注ぎました。
ネクタルとは神々の酒のことです。
すると、そこから乳香が生えてきました。
乳香とは香料を作るための木です。
このような結果になった原因がクリュティエの告げ口にあったことを知ったアポロンは二度と彼女に振り向くことがありませんでした。
3. ヒマワリになったクリュティエ
どれだけ恋焦がれてもクリュティエの想いは太陽神アポロンには届きません。
ある日クリュティエはニンフの姿のままではアポロンを追いかけることが困難であると悟ります。
クリュティエは大地から動かずに体から根を生やしヘリオトロープへと姿を変えたのです。
ヘリオトロープとは常に太陽に向かって咲き続けるムラサキ科の植物です。
ヘリオトロープの姿になればいつでも太陽神であるアポロンを見つめていられるということですね。
なお、このヘリオトロープは後世ヒマワリと解釈されることになります。
シャルル・ドゥ・ラ・フォッス(1636-1716)の作品でも紫色のヘリオトロープではなくヒマワリが描かれていますね。
画面前景で太陽を見ながら泣いているのがニンフの姿の時のクリュティエです。
このクリュティエがヒマワリになってアポロンを見続けているという構図になっているわけです。
アポロンは画面後景で馬車に乗った姿で描かれています。
アポロンの背後には燦然と輝く太陽が描かれていますね。
こうしてアプロディーテの復讐は成功しアポロンはクリュティエとレウコトエという愛の対象を同時に失うことになったのです。
4. 原題
シャルル・ドゥ・ラ・フォッス(Charles de La Fosse)が制作した『ニンフ・クリュティエ』はフランス語ではla nymphe Clythieと言います。
この作品はヴェルサイユ宮殿のグラン・トリアノン(Le Grand Trianon)で見ることが出来ます。
目次
1. 揶揄するアポロン
2. 復讐されたアポロン
3. ヒマワリになったクリュティエ
4. 原題
今回取り上げる作品はシャルル・ドゥ・ラ・フォッス作『ニンフ・クリュティエ』です。
1. 揶揄するアポロン
アプロディーテと軍神アレスはヘパイストスのいない間に性交を楽しんでいました。
ところが性交中の2人は鍛冶の神ヘパイストスの作った網によってベッドに捕らえられてしまいます。
伝令役ヘルメスの呼びかけによって集められた神々は惨めな姿で身動きが出来ない2人の姿を見て吹き出しそうになりました。
その状況の中でアポロンは捕らえられている2人を揶揄(やゆ)する目的で次のように発言しました。
「ヘルメスはかねてから愛と性の女神アプロディーテと一夜を共にしたいと言っていましたよね。ちょうど良い機会なのでアレスと立場を代わってもらったらいかがですか?」
この問いに対してヘルメスが答えます。
「そうしたいのは山々ですが私の持ち物はアレスの物よりも逞しくはないのでアプロディーテを満足させられないでしょうね。」
このやりとりを聞いていた神々は一斉に笑い出し動けないアプロディーテとアレスは屈辱に塗(まみ)れる結果になったのでした。
2. 復讐されたアポロン
後日、この一件を根に持っていたアプロディーテがアポロンに復讐します。
太陽神アポロンは当時ニンフのクリュティエと交際していました。
アプロディーテはこの2人の仲を引き裂こうと画策したのです。
まずアポロンがペルシア王女レウコトエに恋心を抱くように仕向けます。
アプロディーテの目論見通り2人は肉体的に愛し合う仲になりました。
そうなると嫉妬心を抑えられないのがクリュティエです。
クリュティエはレウコトエの父オルカモスに娘の密通を密告します。
怒った王オルカモスは娘レウコトエを生き埋めにしてしまいました。
アポロンは愛するレウコトエが埋められた場所にネクタルを注ぎました。
ネクタルとは神々の酒のことです。
すると、そこから乳香が生えてきました。
乳香とは香料を作るための木です。
このような結果になった原因がクリュティエの告げ口にあったことを知ったアポロンは二度と彼女に振り向くことがありませんでした。
3. ヒマワリになったクリュティエ
どれだけ恋焦がれてもクリュティエの想いは太陽神アポロンには届きません。
ある日クリュティエはニンフの姿のままではアポロンを追いかけることが困難であると悟ります。
クリュティエは大地から動かずに体から根を生やしヘリオトロープへと姿を変えたのです。
ヘリオトロープとは常に太陽に向かって咲き続けるムラサキ科の植物です。
ヘリオトロープの姿になればいつでも太陽神であるアポロンを見つめていられるということですね。
なお、このヘリオトロープは後世ヒマワリと解釈されることになります。
シャルル・ドゥ・ラ・フォッス(1636-1716)の作品でも紫色のヘリオトロープではなくヒマワリが描かれていますね。
画面前景で太陽を見ながら泣いているのがニンフの姿の時のクリュティエです。
このクリュティエがヒマワリになってアポロンを見続けているという構図になっているわけです。
アポロンは画面後景で馬車に乗った姿で描かれています。
アポロンの背後には燦然と輝く太陽が描かれていますね。
こうしてアプロディーテの復讐は成功しアポロンはクリュティエとレウコトエという愛の対象を同時に失うことになったのです。
4. 原題
シャルル・ドゥ・ラ・フォッス(Charles de La Fosse)が制作した『ニンフ・クリュティエ』はフランス語ではla nymphe Clythieと言います。
この作品はヴェルサイユ宮殿のグラン・トリアノン(Le Grand Trianon)で見ることが出来ます。
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2011/04/15(金) 13:29 | このエントリーのカテゴリ ギリシア神話絵画 |
このエントリーのタグ:
シャルル・ドゥ・ラ・フォッス
グラン・トリアノン
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