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アンブロージョ・ロレンツェッティ『神殿奉献』
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2010年05月29日(土)13時10分 | 編集 |
記事のタグ: ウフィッツィ美術館
2010年5月29日


ラジオでの放送日:2009年10月9日(金)、10日(土) 
講座名:イタリア語で”聴く”ルネサンスの名画 講師:松浦弘明

第2週 ジョット様式の発展 ーロレンツェッティの功績ー
目次
1. 1342年の作品
2. 革新の先へ
3. 原題


1. 1342年の作品


今回ご紹介するのは、アンブロージョ・ロレンツェッティ(Ambrogio Lorenzetti)がシエナ大聖堂のために描いた作品『神殿奉献』です。

2010年5月29日アンブロージョ・ロレンツェッティ『神殿奉献』483

神殿奉献とは、新約聖書のルカ福音書に記された物語の一つです。

マリアとヨセフが生後間もないイエスを、エルサレムの神殿に連れていった時の出来事が描かれています。

この作品が重要視されている要素の一つに、画家自身の署名と製作年を示す数字が残されていることが挙げられます。

当時の習慣としては、そのようなことはあまり一般的ではありませんでしたので、絵画の質的な面のみならず製作年(1342年)が特定出来るという点においても重要な作品だと捉えられているのです。

2010年5月19日の記事『ジョット・ディ・ボンドーネ『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』 loro2012.blog.fc2.com』(第1週)で取り上げたジョット(1266頃-1337)の作品『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』が1310年頃に制作されたものと言われていますので、この作品はそれよりも30年ほど後に描かれた祭壇画ということになります。


2. 革新の先へ


本来、ルカ福音書で述べられているこの物語は、1世紀のユダヤの神殿で起きた出来事です。

しかし、ロレンツェッティ(1290頃-1348)は14世紀のキリスト教の聖堂内に舞台を変えて描いています。

建築物に対する写実的な描写からは、革新的な画家と呼ばれるジョットの試みをさらに発展させようとする意図が感じられます。

祭壇の上方には緑で彩色された八角形のクーポラが描かれていて、幼子イエスを抱くシメオンという男の緑色の衣装と調和がとれています。

床の幾何学模様は遠近法を使って描かれていて、手前の柱から祭壇までの距離感を感じさせる構図になっています。

1300年も前の聖書の世界を史実に則ってありのままに描いた場合、絵画を見る人は現実世界の出来事であると実感出来ないかも知れません。

しかし、ロレンツェッティは人々が日頃目にしているような空間において聖なる場面を描きました。

革新的と言われたジョットよりも、さらに大胆に神を現実の世界へと近づけたのがロレンツェッティだったのです。


3. 原題


『神殿奉献』は、イタリア語ではPresentazione al Tempioと言います。

la presentazioneは、日本語のプレゼンテーションに相当する語なのですが、カトリック教の専門用語としては、奉献、という意味合いになります。

il tempioは、神殿という意味ですね。

なお、この絵画の寸法は縦257センチ×横168センチです。

ウフィッツィ美術館(Galleria degli Uffizi)の第3室に展示されている絵画の中でも、圧倒的な存在感のある作品だと思われます。

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ジョット・ディ・ボンドーネ『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2010年05月19日(水)13時19分 | 編集 |
記事のタグ: ウフィッツィ美術館
2010年5月19日


ラジオでの放送日:2009年10月2日(金)、3日(土) 
講座名:イタリア語で”聴く”ルネサンスの名画 講師:松浦弘明

第1週 ルネサンス絵画の始まり ージョットの革新ー
目次
1. 始めに
2. 最初に見るべき絵
3. 聖人たちの人間性
4. 正確な空間描写
5. 西洋絵画の父
6. 原題


1. 始めに


2009年度のアンコールイタリア語講座応用編では「イタリア語で”聴く”ルネサンスの名画」と題して、ウフィッツィ美術館に所蔵されている重要作品12点が紹介されました。

私はこの12週間に及んだラジオ講座を全て聴き通したのですが、本来の趣旨である聞き取り能力と読解力の向上という観点ではあまり収穫らしいものはありませんでした。

本文中に使われている語句が私にとっては難し過ぎてほとんどわかりませんでしたし、日本語訳ですらも完全には理解出来ない部分があったぐらいです。

しかしこの講座を通じて新たな扉を一つ開くことが出来ました。
それは私が西洋絵画に対して今まで以上に大きな関心を寄せるようになったということです。

ルネサンス期の画家といえば一般的にはラファエロとかレオナルド・ダ・ヴィンチがすぐに思い浮かぶわけですが、そこへ到るまでの美術史の流れを概観するような講座の構成になっていたおかげで多くの知識を得ることが出来ました。

このシリーズは全12回の予定で講座内容の順番通りに不定期でアップロードしていくつもりです。

松浦さんがテキストに記した専門的な表現を参考にしつつ、絵画を見て肌で感じたことを自分の言葉で綴っていきます。


2. 最初に見るべき絵


今回取り上げる絵画は1310年頃に制作されたものと考えられている、ジョット・ディ・ボンドーネの『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』です。

2010年5月19日ジョット・ディ・ボンドーネ『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』523

テキストの170ページにモノクロ写真が載っています。

講師の松浦弘明先生はウフィッツィ美術館で最初に見なければならないのは、このジョットの作品であると述べています。

この作品の西洋絵画史上における意義とは一体何なのでしょうか?


3. 聖人たちの人間性


作者のジョット(1266頃-1337)は、この絵の完成によってそれまでの画家とは異なる革新的な描写方法を確立したと言われています。

ジョット以前の宗教画においてはキリストや聖人たちは天上界の住人として描かれていました。

キリストはあくまでも俗世とはかけ離れたところに位置する「神」であり、その描写には現実味を持たせる必要はないという意識が画家にも宗教界にも存在していました。

その意識を具現化したのがジョット以前に主流だったモザイク画です。
様式化されたモザイク画というのは写実的な描写に欠けるのが特徴です。

むしろキリストを描くに当たって写実的な描写を行わない方が望ましいとされていたわけですね。

結果として絵の「上手い下手」を見た場合、決して「上手い」とは言えない作品が多く残されていると言って良いでしょう。

ところがジョットはキリストや聖母マリアを現実世界に生きる「人間」として描きました。

従来のモザイク画を製作した画家たちは聖母マリアの目を必要以上に大きく描くことが一般的でした。

これによってマリアは現実離れした存在として見る者の脳裏に刻まれていくわけです。

一方、ジョットの絵ではマリアの目鼻立ちはごく自然に描かれ、見る者は人間らしい雰囲気を感じ取ることが出来ます。

さらに、聖母マリアの胸には立体感が与えられ人間の女性を描くという作者の明確な意志が感じられるのです。


4. 正確な空間描写


聖人像だけでなく空間の描写にも現実性が感じられる部分が多々あります。
まず聖母子を取り囲んでいる玉座に注目して下さい。

三角形の屋根や四隅の小尖塔(しょうせんとう)などジョットが生きた当時のゴシック建築特有の要素が織り込まれています。

それまでの絵画の中においては重要視されていなかった写実的な描写というものにジョットが積極的に取り組んだ様子が見られます。

次に、前方で跪(ひざまず)いている二人の天使と、後方の聖人たちとの間の距離に注目してみましょう。

板絵という二次元の世界(平面)を見ている者が三次元の世界(奥行)を感じることが出来る絶妙の距離感が表されていると言えるでしょう。


5. 西洋絵画の父


ジョット(Giotto di Bondone)による新しい人物描写と空間表現は、その後のルネサンス絵画が目指すべき方向性を最初に示したものとして、高く評価されています。

このことにより数多(あまた)の天才画家たちの先導役になったという意味を込めてジョットは「西洋絵画の父」と言われているのです。


6. 原題


『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』はイタリア語ではMadonna di Ognissanti又はMaestà di Ognissantiと呼ばれています。

Madonnaは聖母マリアを意味します。

Ognissantiとはフィレンツェにあるオニサンティ聖堂(Chiesa di Ognissanti)のことです。
ジョットはこの絵画をオニサンティ聖堂のために描いたわけです。

Maestàとは美術用語で玉座の聖母子が中央に描かれ、その周囲に天使や聖人が配置された図のことを指します。





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