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ペネロペ・クルス主演映画『ハモン・ハモン』を見た感想
記事URL  カテゴリ | 外国映画 | 2012年01月31日(火)13時12分 | 編集 |
2012年1月31日(火)


目次
1. ペネロペの乳首を舐め回す
2. 性欲があるのは罪か?


1. ペネロペの乳首を舐め回す


1月28日(土)にBS-TBSで、ペネロペ・クルス主演のスペイン映画『ハモン・ハモン(原題:Jamón, jamón)』を放送していたので録画して見ました。

2012年1月31日ペネロペ・クルス主演映画『ハモン・ハモン』を見た感想 132463241557913202013

jamónはスペイン語でハムという意味ですので、直訳すると『ハム、ハム』というのが映画の題名ということになります。

なお、ハムエッグはスペイン語でhuevos con jamónと言います。

さて、ビガス・ルナ監督(1946-)はなぜこんな不思議な題名を作品につけたのでしょうか?

映画の冒頭では、男性たちが下着が着用し股間のモッコリが強調される場面が続きます。
この映画では、人間の持つ肉欲を主題にするという監督の意図が明確に示されているわけですね。

この作品の公開はスペインでは1992年ですので、主役シルビアを演じたペネロペ(1974-)はまだ18歳です。

ペネロペの体つきを見ると、まだ幼さが感じられますね。

それでもペネロペは役柄を全うし、露になった乳首を恋人ホセルイス役の男優にベロベロと舐められ続ける場面が収録されています。

上掲の画像はその場面です。


2. 性欲があるのは罪か?


登場人物たちはことごとく肉欲に溺れ、人生の進路を見誤ります。

主役のシルビアは想定外の妊娠をしますし、シルビアの恋人ホセルイスの母コンチータは夫のある身でありながら若い男性ラウルとの情事に溺れます。

このラウルを演じているのが、現在ペネロペの夫であるハビエル・バルデムです。

ペネロペとハビエルが結婚したのは2010年のことですが、この頃から俳優同士として知り合いだったわけですね。

映画は全編スペイン語で作られ、BS-TBSは日本語字幕をつけていました。
ajo(ニンニク)などの食材に関するスペイン語が映画の中で結構出て来るので、勉強になりますよ。

この作品は第49回ヴェネツィア国際映画祭において銀獅子賞を受賞しています。
銀獅子賞というのは、平たく言うと監督賞ですね。

この作品がここまで高い評価を得た理由は繰り返されるセックス描写ではなく、人間の肉欲に対する痛烈な風刺に求められると思います。

フランスの作家モーパッサン(1850-1893)が『脂肪のかたまり』という短編小説を書いているのですが、この『ハモン・ハモン』を見ていたらその小説のことを思い起こしました。

結局、人間の大半は豚と変わらないような低次元で生きているということなのかしらね?

肉欲や物欲はあっても良いと思うのですが、問題は節度なんでしょうね。
なかなか考えさせられる映画でした。

ただ、セックスの場面が多いので大人向けですね。
それから、ハムはセックスに効くというのが監督の持論のようです。


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Alexey Tarasovich Markov『アキレスにヘクトルの遺体を返してもらうよう懇願するプリアモス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月30日(月)22時56分 | 編集 |
記事のタグ: エルミタージュ美術館
2012年1月30日(月)


目次
1. トロイ王プリアモス
2. 原題


今回取り上げる作品は、Alexey Tarasovich Markov作『アキレスにヘクトルの遺体を返してもらうよう懇願するプリアモス』です。

2012年1月30日Alexey Tarasovich Markov『アキレスにヘクトルの遺体を返してもらうよう懇願するプリアモス』263

1. トロイ王プリアモス


ロシアの画家Alexey Tarasovich Markov(1802-1878)が描いているのは、ヘクトルの遺体を引き取るためにアキレスの陣屋を訪れたプリアモスです。

中央に座って、赤い布を右肩にかけているのがアキレスです。
アキレスの向かって左で、跪(ひざまず)いている老人は、トロイ最後の王プリアモスです。

日中、アキレスはヘクトルの遺体を馬車に括(くく)りつけて、トロイの城壁外を引きずり回しました。

その様子をトロイ宮廷から見たヘクトルの父プリアモスは、その夜にアキレスの陣中を訪れます。

そしてこれ以上、死んだ息子ヘクトルに辱めを与えないようにして欲しいと懇願しました。

アキレスは、ヘクトルによってパトロクロスを殺された恨みを、十分に晴らしたと考えました。
そこで、敵国の王プリアモスの頼みを聞き入れ、ヘクトルの遺体をトロイ側に引き渡したのです。


2. 原題


Alexey Tarasovich Markov(Алексей Тарасович Марков)が描いた『アキレスにヘクトルの遺体を返してもらうよう懇願するプリアモス』は、英語ではPriam Begging the Body of Hector from Achillesと言います。

この作品は、エルミタージュ美術館(Государственный Эрмитаж)で見ることが出来ます。





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Franz Matsch『トロイの門前でヘクトルの遺体を引きずり回すアキレス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月28日(土)14時53分 | 編集 |
2012年1月28日(土)


目次
1. ヘクトルとの戦い
2. ヘクトルの遺体
3. 原題


今回取り上げる作品はFranz Matsch作『トロイの門前でヘクトルの遺体を引きずり回すアキレス』です。

2012年1月28日Franz+Matsch『トロイの門前でヘクトルの遺体を引きずり回すアキレス』157

1. ヘクトルとの戦い


戦場に戻る決意をしたアキレスは総大将アガメムノンの元へと向かいました。
そして、お互いの蟠(わだかま)りを解消し力を合わせてトロイを倒すことを誓い合いました。

アキレスを加えたギリシア軍は俄然勢力を盛り返します。
トロイ軍は城壁の中に撤退を余儀なくされます。

ヘクトルは内心ではアキレスを恐れていましたが、将軍という立場上、城壁の外でアキレスを迎え撃ちました。

アキレスとヘクトルの戦いは力に勝るアキレスの勝利で終わりました。


2. ヘクトルの遺体


アキレスは盟友パトロクロスを殺害したヘクトルの遺体を馬車で引いて晒(さら)すことにしました。

オーストリアの画家Franz Matsch(1861-1942)はアキレスがトロイの城壁前でヘクトルの遺体を馬車で引きずり回している場面を描きました。

アキレスはこのような形でパトロクロスを失った恨みを晴らしたのです。

ギリシア軍の陣地へ戻る際にも、アキレスはヘクトルの遺体を馬車に括(くく)りつけたまま引きずって行きました。


3. 原題


Franz Matschが描いた『トロイの門前でヘクトルの遺体を引きずり回すアキレス』は英語ではAchilles dragging Hector's lifeless body in front of the Gates of Troyと言います。

この作品はギリシア領最西部に位置するケルキラ島にある宮殿Achilleion(Corfu)で見ることが出来ます。





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Joseph-Marie Vien『ヘクトルとアンドロマケの別れ』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月26日(木)11時51分 | 編集 |
記事のタグ: ルーヴル美術館
2012年1月26日(木)


目次
1. トロイ王子ヘクトル
2. 原題


今回取り上げる作品は、Joseph-Marie Vien作『ヘクトルとアンドロマケの別れ』です。

2012年1月26日Joseph-Marie Vien『ヘクトルとアンドロマケの別れ』257

1. トロイ王子ヘクトル


フランスの画家Joseph-Marie Vien(1716-1809)が描いているのは、ヘクトルが戦いに赴く前に妻子に別れを告げている場面です。

中央で、左手に長槍を持ち赤子の顔を見ているのがヘクトルです。
その向かって左で、立って右腕を上げている女性がヘクトルの妻アンドロマケです。

ヘクトルとアンドロマケの間で、侍女が跪(ひざまず)いて持ち上げているのは、ヘクトル夫妻の息子アステュアナクスです。

ヘクトルはこの後、アキレスとの戦いに臨むことになります。
これが妻子との、今生(こんじょう)の別れとなってしまいました。


2. 原題


Joseph-Marie Vienが描いた『ヘクトルとアンドロマケの別れ』は、フランス語ではLes adieux d'Hector et d'Andromaqueと言います。

この作品は、ルーヴル美術館(Musée du Louvre)で見ることが出来ます。




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ジュリオ・ロマーノ『アキレスに武具を与えるテティス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月24日(火)22時54分 | 編集 |
2012年1月24日(火)


目次
1. 武具の新調
2. 原題


今回取り上げる作品は、ジュリオ・ロマーノ作『アキレスに武具を与えるテティス』です。

2012年1月24日ジュリオ・ロマーノ『アキレスに武具を与えるテティス』448

1. 武具の新調


パトロクロスに貸したアキレスの武具は、ヘクトルに奪われてしまいました。
そこで、アキレスは母テティスに、新しい武具を調達するよう依頼します。

テティスはヘパイストスの鍛冶場へ行き、鎧兜など一式を新調してもらいました。

イタリアの画家ジュリオ・ロマーノ(1499頃-1546)が描いているのは、テティスが出来上がったばかりの武具をアキレスに与えている場面です。

準備が整ったアキレスは、パトロクロスの仇を討つために、戦場へと出掛けて行きます。


2. 原題


ジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano)が描いた『アキレスに武具を与えるテティス』は、英語ではThetis Giving Achilles His Armsと言います。

この作品は、イタリア北部の街マントヴァ(Mantova)にあるPalazzo Ducaleで見ることが出来ます。





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Nikolai Ge『アキレスとパトロクロスの遺体』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月22日(日)22時51分 | 編集 |
2012年1月22日(日)


目次
1. 盟友パトロクロスの死
2. 原題


今回取り上げる作品は、Nikolai Ge作『アキレスとパトロクロスの遺体』です。

2012年1月22日Nikolai Ge『アキレスとパトロクロスの遺体』280

1. 盟友パトロクロスの死


アキレスの盟友パトロクロスは、敵将ヘクトルに討たれて死にました。

パトロクロスは、アキレスから借りた鎧と兜をヘクトルに奪われました。
そして、全裸同然のパトロクロスの遺体が、アキレスの陣中へと届けられたのです。

ロシアの画家Nikolai Ge(1831-1894)は、パトロクロスの死を嘆くアキレスを描きました。

ベッドに横たわっているのが、亡くなったパトロクロスです。
その遺体の上に覆いかぶさるようにしているのが、アキレスです。

盟友を失ったアキレスは、再び戦地へと赴くことを決意します。
しかし、この決意は、アキレスを破滅へと導くことになるのです。


2. 原題


Nikolai Geが描いた『アキレスとパトロクロスの遺体』は、英語ではAchilles and the body of Patroclusと言います。

この作品は、ベラルーシ共和国の首都ミンスク(Minsk)にあるベラルーシ美術館(The Art Museum of Belarus)で見ることが出来ます。





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ジュリオ・ロマーノ『パトロクロスの遺体を守る大アイアス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月20日(金)14時17分 | 編集 |
2012年1月20日(金)


目次
1. アキレスの盟友パトロクロス
2. パトロクロスの死
3. 原題


今回取り上げる作品は、ジュリオ・ロマーノ作『パトロクロスの遺体を守る大アイアス』です。

2012年1月20日ジュリオ・ロマーノ『パトロクロスの遺体を守る大アイアス』229

1. アキレスの盟友パトロクロス


アキレスが軍から離脱した後、ギリシア軍は困難な戦いを強いられていました。

アキレスの盟友パトロクロスは、アキレスが閉じこもっている陣屋を訪れ、戦争への参加を呼びかけます。

しかし、アキレスの決意は変わりそうにありません。
パトロクロスは、アキレスを説得することは断念します。

その代わりに、パトロクロスはアキレスの鎧と兜を借りて、戦場に赴くことにしました。


2. パトロクロスの死


アキレスの鎧と兜をつけたパトロクロスを、トロイ軍は最初、アキレスだと思っていました。

しばらくして、トロイのヘクトルは勇者の正体がアキレスではなく、パトロクロスであることを見抜きます。

ヘクトルと一騎打ちになったパトロクロスは、あえなく敗れ去り、命を落とします。
パトロクロスが着けていたアキレスの武具は、ヘクトルが奪って行きました。

イタリアの画家ジュリオ・ロマーノ(1499頃-1546)が描いているのは、大アイアスが仲間のパトロクロスの遺体をトロイ軍に奪われないように守っている場面です。

前景中央で全裸で死に絶えているのが、パトロクロスです。
その遺体を両腕で抱いているのが、大アイアスです。

パトロクロスの亡骸は、大アイアスのお陰で無事にギリシア陣営に届けられました。


3. 原題


ジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano)が描いた『パトロクロスの遺体を守る大アイアス』は、英語ではAjax Defends Patroclus's Corpsと言います。

この作品は、イタリア北部の街マントヴァ(Mantova)にあるPalazzo Ducaleで見ることが出来ます。





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アンニーバレ・カラッチ『ジュピターとジュノ』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月19日(木)14時08分 | 編集 |
2012年1月19日(木)


目次
1. テティスの願い
2. アプロディーテの誘惑の帯
3. ポセイドンの加担
4. 原題


今回取り上げる作品は、アンニーバレ・カラッチ作『ジュピターとジュノ』です。

2012年1月19日アンニーバレ・カラッチ『ジュピターとジュノ』367

1. テティスの願い


ゼウスは、アガメムノンを窮地に陥(おとしい)れてやりたいというテティスの願いを聞き入れます。

そして、ゼウスはオリンポスの神々に、ギリシア軍とトロイ軍のどちらにも加勢してはいけないという命令を出します。

その上で、ゼウス自身はトロイ軍が優勢になるように、ギリシア軍の陣地に雷霆を放ちました。
地上では、突然の落雷にギリシア兵士たちは大混乱に陥(おちい)ります。


2. アプロディーテの誘惑の帯


ヘラは、トロイ軍が優勢になって行く様子を見て、腹立たしい気分になっていました。

ヘラもアテナ同様に、パリスの審判によって一番の美女の地位を得られなかったという恨みを抱いています。

ヘラは、今回のトロイ戦争に関しては、パリスの所属するトロイが負ければ良いと考えています。

ギリシア軍の形勢が不利になっていく中、ヘラはゼウスの命令があるため、戦争への関与が許されません。

そこでヘラは、女性の武器を使ってゼウスの気を引く作戦に出ます。
まずヘラはアプロディーテの神殿へ行き、アプロディーテの持っている「誘惑の帯」を借りました。

この帯があれば、神々と言えども女性の誘惑を拒むことは出来なくなるのです。

ヘラは夫のゼウスに声を掛け、この帯を着けた状態で二人きりになりました。
もちろん、ゼウスをその気にさせて、夫としての愛情をたっぷりと示してもらうためです。

イタリアの画家アンニーバレ・カラッチ(1560-1609)が描いているのは、誘惑の帯を着けたヘラが豊満な乳房をゼウスに見せて、これから性交に及ぼうとしている場面です。

ゼウスはヘラの豊麗な左の太股に手を添えて、すっかりその気になっています。

ゼウスの足元にいるのは、ゼウスの聖鳥である鷲です。
ヘラの聖鳥である孔雀は、ヘラの左脚の奥に描かれています。


3. ポセイドンの加担


ゼウスがヘラと愛を楽しんでいる間に、ヘラの意を受けたポセイドンはギリシア軍に加勢しました。

ゼウスの目が戦場から離れている内に、ポセイドンに鼓舞されたギリシア軍は、少しずつ形勢を挽回して行きます。


4. 原題


アンニーバレ・カラッチ(Annibale Carracci)が描いた『ジュピターとジュノ』は、英語ではJupiter and Junoと言います。

この作品は、ローマにあるパラッツォ・ファルネーゼ(Palazzo Farnese)で見ることが出来ます。





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Joseph-Benoît Suvée『マルスとミネルヴァの戦い』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月18日(水)22時49分 | 編集 |
2012年1月18日(水)


目次
1. アレスとアテナの性格の相違
2. 敗れるアレス
3. 天界の神々
4. 原題


今回取り上げる作品は、Joseph-Benoît Suvée作『マルスとミネルヴァの戦い』です。

2012年1月18日Joseph-Benoît Suvée『マルスとミネルヴァの戦い』440

1. アレスとアテナの性格の相違


マルスは、ギリシア神話ではアレスに相当します。
ミネルヴァは、ギリシア神話ではアテナに相当します。

アレスとアテナはともに軍神とされていますが、その性格は全く異なります。

アレスは、殺戮を目的とした戦争の神です。
戦争の中でも、主に狂乱と破壊の側面を司ります。

従って、理知的な男神ではありません。
オリュンポスの神々からも、疎まれている存在です。

但し、美貌の持ち主だけに、アプロディーテの愛人としての地位を確保しています。

一方のアテナは、平和をもたらすために知恵を絞る女神です。
戦争の中でも、主に知略の側面を司ります。

アテナは、男神を全く寄せ付けない処女神でもあります。
従って、アプロディーテと愛人関係を結んでいるアレスを軽蔑しているのです。


2. 敗れるアレス


ベルギーの画家Joseph-Benoît Suvée(1743-1807)は、ジャック=ルイ・ダヴィッドとは異なり、この戦いをアレスとアテナの神同士の戦いと捉えました。

ティリンスの王ディオメデスは、この作品には登場していません。

向かって左で、右手に黒い長槍を持って宙に浮いているのが、軍神アテナです。
理性的な表情で、倒れているアレスを見つめています。

アテナの楯アイギスに向かって右手を差し出しているのは、エロスですね。
エロスは、アレスとアプロディーテの子です。

エロスは、父アレスが敗れ去ったのを見ました。
そして、アテナが繰り出そうとしている更なる攻撃を、小さな手で防ごうとしているわけですね。

前景で、倒れて右手を胸の前に置いているのが軍神アレスです。
アレスは黒い長槍で下腹部を突かれて激痛を味わったところです。

アレスの後ろで介抱しているのは、愛人のアプロディーテです。
豊満な乳房を露にして、右手をアレスの右腕に優しく添えています。

処女神アテナは、アプロディーテのこういった献身的な態度も受け入れることは出来ません。
なぜなら、この二人は不倫関係にあるからです。

アプロディーテとアレスの関係は、そもそもの出発点からして倫理基準から外れているのです。

さらにアテナは、美貌ではアプロディーテに引けを取りません。
従って、美の女神アプロディーテを前にしても何ら臆する必要はないのです。


3. 天界の神々


この戦いの様子を、天界から何人かの神々が見つめています。

後景、向かって左で三叉矛を持っているのはポセイドンです。
その向かって右で、リュートを持っているのはアポロンです。

中景、向かって右で背中を見せて左手を下に向けているのはヘルメスです。


4. 原題


Joseph-Benoît Suvéeが描いた『マルスとミネルヴァの戦い』は、英語ではThe Combat of Mars and Minervaと言います。

この作品は、フランス北部の街リール(Lille)にある美術館(Palais des beaux-arts de Lille)で見ることが出来ます。





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ジャック=ルイ・ダヴィッド『マルスとミネルヴァの戦い』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月17日(火)23時26分 | 編集 |
記事のタグ: ルーヴル美術館
2012年1月17日(火)


目次
1. ティリンスの王ディオメデス
2. アレス対アテナ
3. 原題


今回取り上げる作品は、ジャック=ルイ・ダヴィッド作『マルスとミネルヴァの戦い』です。

2012年1月17日ジャック=ルイ・ダヴィッド『マルスとミネルヴァの戦い』258

1. ティリンスの王ディオメデス


フランスの画家ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825)が描いているのは、軍神アレスとアテナが戦っている場面です。

画面中央で官能的な左の太股を露にして、右手で指差しているのが、軍神兼処女神のアテナです。
アテナの向かって右で、黒い槍を持って腕を組んでいるのはディオメデスです。

ディオメデスは、古代ギリシアの都市ティリンスの王です。
ティリンスがあった場所は、現在ではギリシアのミケーネ文明の遺跡となっています。

ディオメデスは後に、オデュッセウスと共にトロイの街に潜入して、パラディオンを盗み出すことになります。


2. アレス対アテナ


アレスは、トロイ戦争においてトロイ側についていました。
アレスの愛人であるアプロディーテが、パリスの所属するトロイ軍を味方しているからです。

一方、もう一人の軍神アテナは、トロイ戦争においてギリシア側についていました。
アテナはアテナイの守護神ですから、ギリシア側についているわけです。

さらに、アテナは美女コンテストにおいてトロイの王子パリスから落選の判定を受けています。
アテナはヘラと共に、このパリスが下した判断に対して、恨みを持っているのです。

そこでアテナは、ギリシア人のディオメデスに加担してアレスを打ち負かそうとしたのです。
トロイ戦争は、人間だけでなく神々の世界をも二分する戦いとなっていたのです。

ディオメデスは、アレスの下腹部を長槍で突きました。
この一撃が勝敗を決し、アレスは地面に倒れて許しを乞う羽目になったのです。

画面後景で雲の上に乗って、右手を開いているのは、アプロディーテです。
愛人のアレスが戦いに敗れたので、その身を案じて天界から急行したのです。


3. 原題


ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David)が描いた『マルスとミネルヴァの戦い』は、英語ではThe Combat of Mars and Minervaと言います。

この作品は、ルーヴル美術館(Musée du Louvre)で見ることが出来ます。





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Anton Losenko『テティスとゼウス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月16日(月)18時58分 | 編集 |
2012年1月16日(月)


目次
1. 懇願するテティス
2. 原題


今回取り上げる作品は、Anton Losenko作『テティスとゼウス』です。

2012年1月16日Anton Losenko『テティスとゼウス』461

1. 懇願するテティス


ロシアの画家Anton Losenko(1737-1773)が描いているのは、テティスがゼウスに対して、アガメムノンへの制裁を行うよう求めている場面です。

テティスは、息子アキレスに対するアガメムノンの横暴を、黙って見過ごすことなど出来ません。
テティスは、最高神ゼウスを味方につけることで、アキレスの鬱憤を晴らしてやろうと考えました。

ゼウスは、かつて美貌のテティスを自分の妻にしようと考えたことがありました。
しかし、結果的には、テティスはプティア王ペレウスと結婚しました。

ゼウスは美女テティスが跪(ひざまず)いて懇願している以上、テティスの願いを叶えてやりたいと考えています。

ゼウスがアガメムノンに対して制裁を加えるということは、一時的にせよ、ゼウスがギリシア軍の力を削(そ)ぎ、トロイ軍に有利になるよう取り計らうことを意味します。


2. 原題


Anton Losenkoが描いた『テティスとゼウス』は、英語ではThetis and Zeusと言います。
この作品は、国立ロシア美術館(The State Russian Museum)で見ることが出来ます。





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ドミニク・アングル『ゼウスとテティス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月15日(日)20時04分 | 編集 |
2012年1月15日(日)


目次
1. アキレスの造反
2. ゼウスに縋るテティス
3. 原題


今回取り上げる作品はドミニク・アングル作『ゼウスとテティス』です。

2012年1月15日ドミニク・アングル『ゼウスとテティス』399

1. アキレスの造反


アキレスの愛人ブリセイスはアキレスの元を離れ、アガメムノンの陣中へと連れて行かれました。

アキレスはアガメムノンの横暴に愛想を尽かしました。
そして、戦争中であるにも関わらず戦場に出ることを拒否することにしました。

愛人ブリセイスをアガメムノンに横取りされたアキレスは腹の虫がおさまりません。

アキレスはアガメムノンに対する敵意を露にし斬りかかろうとしたところ、アテナによってその動きを制止されてしまいました。

そこで、やむを得ず、母のテティスにアガメムノンへの制裁を依頼します。
アキレスにとってはどんな形であれアガメムノンが苦境に陥れば良いのです。

息子アキレスから頼まれたテティスは最高神ゼウスに相談します。
アキレスに助勢しアガメムノンを懲らしめてやって欲しいという趣旨です。


2. ゼウスに縋るテティス


フランスの画家ドミニク・アングル(1780-1867)が描いているのはテティスがゼウスに縋(すが)ってアキレスへの肩入れを願っている場面です。

中央向かって左側で左手をゼウスの口元へ伸ばしているのがテティスです。
豊満な乳房をゼウスの右の太股に押し付け、美女の色香を利用してゼウスに決断を迫っています。

ゼウスは平静を装ってはいますがペニスは固く勃起しています。
元々、ゼウスはテティスの美貌に惚れ込んでいて、自分の妻とするべく考慮した時期がありました。

ゼウスとテティスとの間には結果的には性的関係はありませんでしたが、ゼウスがテティスに対して好意を持っていることは周知の事実です。

この場合の好意とは性的対象としてテティスを見ているという意味です。

そのテティスが事情は何であれ、自分に対して縋り懇願しているわけです。
表向き威厳を保っていても、ゼウスのペニスは制御できない状態になっています。

男とはそういう生き物です。
昔も今も何にも変わりません。

向かって左端に描かれているのはヘラです。
夫ゼウスがまた浮気しようとしているのではないかと疑いの眼差しを向けているところです。


3. 原題


ドミニク・アングル(Dominique Ingres)が描いた『ゼウスとテティス』はフランス語ではJupiter et Thétisと言います。

この作品はフランス南部の街エクス=アン=プロヴァンス(Aix-en-Provence)にあるグラネ美術館(Le musée Granet)で見ることが出来ます。





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クロード・ロラン『クリュセイスを父の元へと送り届けるオデュッセウス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月14日(土)13時32分 | 編集 |
2012年1月14日(土)


目次
1. クリュセイスの解放
2. 原題


今回取り上げる作品は、クロード・ロラン作『クリュセイスを父の元へと送り届けるオデュッセウス』です。

2012年1月14日クロード・ロラン『クリュセイスを父の元へと送り届けるオデュッセウス』266

1. クリュセイスの解放


クリュセイスは、アガメムノンの陣屋から解放されることになりました。
そして、オデュッセウスがクリュセイスを、クリュセスの元へと届けたのです。

フランスの画家クロード・ロラン(1600頃-1682)が描いているのは、ギリシア軍の船に乗せられたクリュセイスが、父クリュセスの待つクリュセ市の港に到着しようとする場面です。

中景中央に描かれた船の中に、オデュッセウスとクリュセイスが乗っているわけです。


2. 原題


クロード・ロラン(Claude Lorrain)が描いた『クリュセイスを父の元へと送り届けるオデュッセウス』は、英語ではUlysses Returns Chryseis to her Fatherと言います。

この作品は、ルーヴル美術館(Musée du Louvre)で見ることが出来ます。





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ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『アガメムノンの元へ連れて行かれるブリセイス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月13日(金)18時55分 | 編集 |
2012年1月13日(金)


目次
1. ブリセイスを迎えるアガメムノン
2. 原題


今回取り上げる作品は、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作『アガメムノンの元へ連れて行かれるブリセイス』です。

2012年1月13日ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『アガメムノンの元へ連れて行かれるブリセイス』287

1. ブリセイスを迎えるアガメムノン


イタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(1696-1770)が描いているのは、ブリセイスがアガメムノンの元へと連れて来られる場面です。

前景中央で立っているのが、総大将アガメムノンです。
中景で、白い服を着て二人の兵士に付き添われて歩いているのが、ブリセイスです。

ブリセイスはアキレスの陣地における愛人でしたが、今日からはアガメムノンの愛人となる運命です。


2. 原題


ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(Giovanni Battista Tiepolo)が描いた『アガメムノンの元へ連れて行かれるブリセイス』は、英語ではEurybates and Talthybios Lead Briseis to Agamemmonと言います。

この作品は、イタリア北東部の街ヴィチェンツァ(Vicenza)にあるVilla Valmarana "Ai Nani"で見ることが出来ます。





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ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『アキレスの憤慨』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年01月11日(水)13時15分 | 編集 |
2012年1月11日(水)


目次
1. 神官の娘クリュセイス
2. アポロンの呪い
3. リュルネソス王妃ブリセイス
4. 権力に屈するアキレス
5. 原題


今回取り上げる作品は、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作『アキレスの憤慨』です。

2012年1月11日ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『アキレスの憤慨』422

1. 神官の娘クリュセイス


クリュセイスとは、クリュセ市にあるアポロン神殿の神官クリュセスの娘です。
クリュセがどのあたりに存在した街なのかは、分かっていません。

トロイ戦争の一環として、アガメムノンがテーベを攻撃した折、偶然テーベを訪れていたクリュセイスは、ギリシア軍の捕虜となりました。

テーベは、現在のアナトリア半島北西部にあった街に同定されています。
アナトリア半島は、アジア大陸最西部に位置し、トルコ領です。

クリュセイスを気に入ったアガメムノンは、戦地の愛人として囲うことにします。

クリュセイスの父クリュセスは、娘がテーベにおいて敵の総大将アガメムノンの捕虜となったことを知りました。

そして、クリュセスはテーベにあるアガメムノンの陣地を訪れて、娘クリュセイスの返還を求めます。

しかし、アガメムノンはクリュセスの嘆願を拒絶します。
戦地で女体に飢えていたアガメムノンは、クリュセイスの美しい体を手放す気などなかったのです。

クリュセスは、必死の嘆願も虚しく、アガメムノンによって追い返されてしまいます。


2. アポロンの呪い


テーベを後にし、クリュセに戻ったクリュセスは、娘クリュセイスの返還を願ってアポロンに祈りを捧げます。

アポロンは、神官クリュセスの祈りを聞き、願いを叶えてやることにしました。

アポロンは、アガメムノンが率いるギリシア軍に向かって大量の矢を放ち、多くの兵士の命を奪いました。

そして、疫病を流行らせ、ギリシア軍を混乱に陥(おとしい)れます。

この状況を見たアキレスは、総大将アガメムノンに対してクリュセイスを返還するよう進言しました。

アガメムノンはアキレスの提案をしぶしぶ受け入れ、愛人クリュセイスを返還することに同意します。
但し、一つだけ条件を出しました。

それは、自分の愛人クリュセイスを手放す代わりに、アキレスの愛人ブリセイスを我がものにするという内容でした。


3. リュルネソス王妃ブリセイス


ブリセイスとは、リュルネソス王ミュネスの妻です。
リュルネソスとは、トロイ近郊の都市です。

トロイ戦争において、アキレスはリュルネソスを攻撃して陥落させました。
リュルネソス王ミュネスは、アキレスによって殺されました。

寡婦となった美貌の王妃ブリセイスは、アキレスの捕虜となりました。
そして、アキレスの戦地における愛人となっていたのでした。


4. 権力に屈するアキレス


ブリセイスをアガメムノンに渡すなどということは、アキレスには到底受け入れられない条件です。
激昂したアキレスは、刀を抜いてアガメムノンに斬りかかろうとしました。

イタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(1696-1770)が描いているのは、アキレスの暴挙を止めるアテナの姿です。

向かって左端に立っているのが、アガメムノンです。
その向かって右にいるのは、アガメムノンに向かって刀で斬りかかろうとしたアキレスです。

アキレスの髪を右手で掴んで、アキレスの動きを抑制しているのが軍神アテナです。
後景には、ギリシア軍の兵士たちがこの有様をじっと見つめている様子が描かれています。

アキレスは、アテナに制止されてアガメムノンを討つことを諦めました。

アガメムノンは、トロイ戦争におけるギリシア軍の総大将です。
いつの時代でも、組織に所属している者は最高権力者に逆らうことは出来ません。

アキレスは忌々(いまいま)しい思いで、総大将アガメムノンの我儘(わがまま)を受け入れました。


5. 原題


ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(Giovanni Battista Tiepolo)が描いた『アキレスの憤慨』は、英語ではThe Rage of Achillesと言います。

この作品は、イタリア北東部の街ヴィチェンツァ(Vicenza)にあるVilla Valmarana "Ai Nani"で見ることが出来ます。





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