ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『懺悔するマグダラのマリア』

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2011年1月8日(土)


目次
1. ティントレットの師匠
2. 原題


今回取り上げる作品は、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作『懺悔するマグダラのマリア』です。

2011年1月8日ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『懺悔するマグダラのマリア』420

1. ティントレットの師匠


ティントレット(1518-1594)の師匠にあたるティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1490頃-1576)は、『懺悔するマグダラのマリア』という主題で何点か作品を残しています。

今回の作品は、フィレンツェのピッティ美術館(別名パラティーナ美術館)が所蔵する作品です。
完成は1532年頃とされていますので、ティツィアーノが40歳代前半の作品です。

ルネサンス期の代表作とも言える絵画だけあって、写実主義が徹底されています。

ティツィアーノの描くマグダラのマリアは、聖書の中の女性と言うよりは、現実に存在している生身の女性として描かれているように思います。

画面向かって左下に描かれているのは、香油の入った壺です。

磔刑死したイエスの遺体は金曜日の夕方に、日が暮れるまでの僅かな時間を使っていったん墓に埋められました。

マグダラのマリアは日曜の早朝に、イエスの遺体に香を塗るために墓へ赴いたと伝えられています。
このことを踏まえて、ティツィアーノは香壺を描いているわけです。


2. 原題


ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio)が制作した『懺悔するマグダラのマリア』は、イタリア語ではSanta Maria Maddalenaと言います。

イタリア語の題名には、「懺悔する」という語は使われていません。

この作品は、フィレンツェにあるパラティーナ美術館(Galleria Palatina)で見ることが出来ます。