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ジャック=ルイ・ダヴィッド『マラーの死』
記事URL  カテゴリ | ヨーロッパ王家絵画 | 2011年02月14日(月)16時28分 | 編集 |
2011年2月14日(月)


目次
1. 急進派マラー
2. ジャコバン派議員ダヴィッド
3. 原題


今回取り上げる作品は、ジャック=ルイ・ダヴィッド作『マラーの死』です。

2011年2月14日ジャック=ルイ・ダヴィッド『マラーの死』432


1. 急進派マラー


1793年7月、革命後のフランスにおいて恐怖政治を行っていた政治家ジャン=ポール・マラー(1743-1793)が暗殺されました。

ジャン=ポール・マラー(Jean-Paul Marat)は、庶民が支持するジャコバン派の指導者の1人でした。

ジャコバン派は、富裕層を支持基盤とするジロンド派と議会で激しく対立し、最終的に独裁体制を築くことになります。

その過程で多くのジロンド党員がマラーによって粛清され、ギロチンにかけられていきました。

このマラーが行った政治のあり方に憎悪を抱いた1人のジロンド派の女性がいました。
シャルロット・コルデー(Charlotte Corday)と言います。

シャルロット(1768-1793)はフランス国家のため、急進的なマラーを殺害する決心をし、マラー宅を訪れました。


2. ジャコバン派議員ダヴィッド


マラーは持病の皮膚病に悩まされており、シャルロットが訪問した時は治療のための入浴をしている最中でした。

庶民の味方を標榜するマラーは、貧しい身分であると言うシャルロットを快く迎え入れ、風呂に入りながら彼女の訴えを聞いていたわけです。

実際には貴族の出身でジロンド派を支持していたシャルロットは、隠し持っていたナイフでマラーを刺殺したのです。

この殺害現場を作品の中に描いたのが、ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David)です。

ダヴィッド(1748-1825)は画家であると同時に、この時点ではジャコバン派の議員でもありました。

従って、ダヴィッドにとっては同志を殺害されたということになるわけです。

マラーを英雄視して、その死を神聖なものと人々が受け取るような作品を描いたのです。

右手をだらりと下げた構図は、ミケランジェロが制作した彫刻『ピエタ』をモデルとしています。
サン・ピエトロ大聖堂に展示されているこの作品を知らないキリスト教徒はいないはずです。

この死せるキリストに似せる形でマラーの死を美化し、民衆のために命を落とした殉教者という印象を深く植え付けようとしたわけです。

マラーの暗殺後、ダヴィッドはこの作品をすぐに完成させました。

ジャコバン派にとっては英雄であったマラーを讃えるために、この作品はフランス議会の議場にまで掲げられることになったのでした。


3. 原題


『マラーの死』は、フランス語ではLa Mort de Maratと言います。
la mortが、死、という意味です。

この作品は、ブリュッセルにあるベルギー王立美術館(Musées royaux des beaux-arts de Belgique)の所蔵となっています。





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