ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『悔悛するマグダラのマリア』

- -
2011年1月13日(木)


目次
1. 髑髏
2. 原題


2011年1月8日(土)の記事『ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『懺悔するマグダラのマリア』 loro2012.blog』で、ティツィアーノ作『懺悔するマグダラのマリア』を取り上げました。

今回取り上げる作品も、ティツィアーノが描いた同じ趣旨の作品『悔悛するマグダラのマリア』です。

2011年1月13日ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『悔悛するマグダラのマリア』420

1. 髑髏


ティツィアーノ(1490頃-1576)は画面向かって右下に髑髏(どくろ)を描いています。
髑髏は死の象徴です。

マグダラのマリアは娼婦として生きた前半生を後悔し、死ぬほどの覚悟で悔悛の日々を送ったことが示されています。

懺悔というのは血を流すぐらいの苦しみがないと、天にはその心が伝わらないということでしょう。

髑髏の上に載っている書物は聖書だと思います。

救いの言葉は聖書の中にあると信じて、マリアが日々聖書を読んでいたであろうというティツィアーノの解釈ですね。

大粒の涙を零(こぼ)すマリアの端正な顔は、実在の女性であることを感じさせるような描き方になっています。

ふくよかな腕、豊麗な乳房、どれをとっても現実の女性が悔悛し苦しんでいる姿としてこの一場面が捉えられています。


2. 原題


ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio)が制作した『悔悛するマグダラのマリア』は、ロシア語ではКающаяся Мария Магдалинаと言います。

каятьсяは懺悔するという意味の不完了体動詞ですので、Кающаясяもその関係の語だと思いますが正確なところは不明です。

この作品はエルミタージュ美術館(Государственный Эрмитаж)で見ることが出来ます。