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レンブラント・ファン・レイン『ダビデの手紙を持つバテシバ』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2013年02月23日(土)13時10分 | 編集 |
記事のタグ: ルーヴル美術館
2013年2月23日(土)


目次
1. バテシバの苦悩
2. 女の道は一本道
3. 人妻を孕ませるダビデ
4. ウリヤの最期
5. 原題


今回取り上げる作品は、レンブラント・ファン・レイン作『ダビデの手紙を持つバテシバ』です。

2013年2月23日レンブラント・ファン・レイン『ダビデの手紙を持つバテシバ』339


1. バテシバの苦悩


レンブラント(1606-1669)が描いている熟れた女性はバテシバです。

バテシバが右手に持っているのは、古代イスラエルの第2代王ダビデ(在位:紀元前1000頃-紀元前961頃)からの手紙です。

手紙の内容は一言で言えば、王宮へ来て欲しいということですね。
王から王宮へ来て欲しいと言われたということは、要するに愛人になれということです。

ですから、手紙をもらったバテシバは困惑の表情を見せているわけです。

バテシバがダビデからの手紙を受け取った時、軍人である夫のウリヤは仕事に励んでいました。
つまり、彼は戦場にいて命がけでイスラエル王国のために戦っていたのです。

夫は不在ですし相談出来る相手もいない・・・、
仮に誰かに相談したところで結論は初めから決まっているわけです。

作品においてレンブラントは逡巡し困惑するバテシバを描いています。

彼女は日常生活の中で、その美貌と豊満な肉体を隠すこと無く水浴びをしていただけです。
その水浴びの場を偶然ダビデに見初められたがために、バテシバの人生には大きな転機が訪れます。

しかし、その転機は決してバテシバが望んでいたものではありませんでした。


2. 女の道は一本道


このような内容の手紙が届けられた時、バテシバの女心は大きく揺れ動きました。

断りたいが相手は夫の上司でもある・・・。
夫の生殺与奪権は上司であるダビデが握っている・・・。

自分がこの誘いを断れば何らかの嫌がらせが夫の身に降りかかるだろう・・・。
残念ながら女性である自分の取る道は1つしかない・・・。

現代のドラマでも取り上げられるような題材が、3000年前のイスラエルにおいても存在したということですね。
もしかしたら、現代でも現実のこととして類似体験している女性がいるのかも知れません。

男女を問わず権力者の性欲が原因で普通の小さな幸せを奪われた者がいるとすれば、権力を不当に行使した人間は恥を知るべきですね。

旧約聖書で述べられていることは、現代を生きる私たちにも当てはまることが多いと思います。


3. 人妻を孕ませるダビデ


意を決してバテシバはダビデの待つ王宮へ向かいました。

美貌の人妻を手に入れたダビデは彼女を即妊娠させてしまいます。
ゴリアテの額に石を命中させた時のような、寸分の狂いもない正確さで人妻を孕(はら)ませます。

ダビデは外しません。
必ず命中させるのです。

但し、ダビデはバテシバを妊娠させるつもりはありませんでしたので、善後策を練る必要に迫られます。


4. ウリヤの最期


そこで戦地にいた夫のウリヤを呼び戻し今までの労をねぎらう言葉を述べた上で、いったんバテシバとの普通の生活に戻るよう提案します。

要するにウリヤとバテシバに愛の夫婦生活をさせて、数カ月後にバテシバから生まれて来る子がウリヤの子であるとウリヤに思わせる作戦に出たわけです。

ところが仕事熱心なウリヤは、このダビデの提案を拒否します。

ウリヤはダビデに対して「妻バテシバとの生活は喉から手が出るほど欲しいのですが、戦地に残して来た部下たちのことを思うと自分だけが良い思いをすることは許されないのです」と述べました。

このような正論を言われてしまいダビデの作戦は失敗に終わります。

仕方なくダビデは、ここまで国家を思い部下を思う有能な兵士のウリヤを最も命の危険がある前線へと配置替えしたのです。

結果ウリヤは戦場の露と消えました。
もちろん上司と妻との不貞については何も知らずに・・・。

ダビデは卑怯です。
古代イスラエルの英雄だろうが何だろうが、ダビデは卑劣な男であると言わなければなりません。

現在フィレンツェの市庁舎前広場でその全裸の姿を晒しているダビデは、生きている時にこういうことをやっていた男でもあるのです。


5. 原題


レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt Harmensz. van Rijn)が描いた『ダビデの手紙を持つバテシバ』は、フランス語ではBethsabée au bain tenant la lettre de Davidと言います。

Bethsabée au bainは水浴のバテシバということです。
tenantはtenirの現在分詞で掴んでいるという状態を表しています。

この作品はルーヴル美術館(Musée du Louvre)の所蔵となっています。




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