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ピーテル・パウル・ルーベンス『エリクトニオスの誕生』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年05月01日(日)12時20分 | 編集 |
2011年5月1日(日)


目次
1. ヘパイストスの密かな恋心
2. 揺ぎ無い処女の誓い
3. 恋愛やセックスは悪か?
4. ヘパイストスの精液
5. 大地の女神ガイア
6. アテナの制裁
7. 原題


今回取り上げる作品は、ピーテル・パウル・ルーベンス作『エリクトニオスの誕生』です。

2011年5月1日ピーテル・パウル・ルーベンス『エリクトニオスの誕生』230

1. ヘパイストスの密かな恋心


アテナイの守護神となった女神アテナは、日頃使っている武具を鍛えてもらうためにヘパイストスの鍛冶場を訪れました。

軍神でもあるアテナは常に武具を研ぎ澄ませておく必要があるのです。

ヘパイストスは作業を終えて鍛えられた武具をアテナに渡します。

アテナが礼を言って立ち去ろうとすると、ヘパイストスが怪しい目つきで近づいて来てアテナの手を握ろうとします。

ヘパイストスにはアプロディーテという正妻がいましたが、結婚以来一度も性交したことはありません。

ヘパイストスはアプロディーテが全く自分のことを相手にしてくれないので、妻と性交することは諦めざるを得ません。

しかし、ヘパイストスは性的には正常な男神です。

美貌の妻からセックスすることを拒絶されているヘパイストスは性的には生殺しの状態となり、極度の欲求不満に陥っています。

ヘパイストスは時々鍛冶場を訪れるアテナの知的で勇敢なところに、密かに想いを寄せるようになっていたのでした。

そして、ヘパイストスは無謀にも処女神アテナとの性交に及ぼうとしたのです。


2. 揺ぎ無い処女の誓い


当然のことながら、アテナはヘパイストスの求愛を断固拒否します。

アテナは処女の誓いを立てている女神です。
他の神々にもそのことは知れ渡っています。

アテナは相手が誰であろうと断じて性交はしません。
性交どころかアテナは男神と手を握ったこともないのです。

アテナにとってはそうした行為は不潔なものなのです。
アテナは処女であり続けることが最も理想的な状態であると考えています。

もちろんアテナは、性交によってもたらされる快楽があることは頭の中ではわかっています。

しかし、実際にその類の行為に及ぶことに対しては、頑(かたく)ななまでに拒否反応を起こすのです。


3. 恋愛やセックスは悪か?


アテナは自分自身の性的快楽を徹底的に抑制しているだけでなく、他者に対しても同様の禁欲的な生き方を求めます。

いつの時代でもどの民族でも男女を問わず、セックスをする相手がいない場合、溜(たま)った性欲を処理するためにオナニーをすることになります。

それが人として自然な行為なのですが、処女神アテナはオナニーすらも完全否定します。

アテナは性的快楽を感じることに伴いペニスやクリトリスが勃起することを、悪であると決めつけています。

セックスにせよオナニーにせよその行為の最中に男女ともに体液が迸(ほとばし)る瞬間が何度もあるのですが、アテナはこの体液を不浄なものと捉えていて忌み嫌っています。

処女神アテナの思考は、ある意味偏屈ですし極めて宗教的だと言えるでしょう。

ただ、ギリシア神話においてこのような処女神が創造され、物語から削除されることなく現代まで語り継がれてきたのは、人間がこの世を生きる上で何か示唆するものがあるからなのでしょうね。


4. ヘパイストスの精液


ヘパイストスの身の程知らずな求愛事件に話を戻します。

アテナは欲情したヘパイストスの手から逃げようとして、早足でその場から立ち去ろうとします。
しかし、脚の悪いヘパイストスは懸命にアテナの太股(ふともも)に抱きつきました。

ヘパイストスは、処女神にして知恵の女神であるアテナの豊麗な太股に触れたのです。
そして、ヘパイストスの勃起した男根はアテナの柔らかな脹ら脛に接しました。

アテナは持っていた武具でヘパイストスの肩や背中を叩きました。
しかし、ヘパイストスは太股に回した腕を離そうとはしません。

アテナが逃げようとすればするほど、ヘパイストスの硬くなった男根とアテナの柔らかな脹ら脛が擦(こす)れ合います。

アテナは持っていた武具でヘパイストスの頭を何度も殴りつけました。
そしてやっとの思いで、太股を抱いていたヘパイストスの腕を振りほどいたのでした。

アテナはヘパイストスに対する猛烈な嫌悪を感じながら歩き始めます。
すると、足首に向かって何か流れていく感触を得ました。

見ると膝から下に大量の白濁液がついています。
ヘパイストスはあの殴られ続ける状況の中で絶頂に達したのでした。

ヘパイストスの溜(たま)りに溜った大量の精液が、処女神アテナの脹ら脛にぶちまけられたのです。

アテナは脹ら脛や膝の裏に飛び散った精液を見て大きな憤りを感じました。
そして、羊皮を使ってヘパイストスの出した大量の精液を素早く拭き取ります。

アテナは、不潔な精液が美しい指に付着しないように細心の注意を払いました。
アテナは吐き気がする思いで、ヌルヌルと流れ落ちていく精液を完全に拭(ぬぐ)ったのでした。

そして、その精液付きの羊皮はすぐに大地に捨てられました。


5. 大地の女神ガイア


アテナが大地に捨てたヘパイストスの精液が付いた羊皮は、女神ガイアによって受け入れられました。
そしてガイアはその場で子供を身ごもりました。

間もなく、上半身が人間で下半身が蛇のエリクトニオスが誕生したのです。
結果的に、ヘパイストスとアテナの子が生まれてしまったわけです。

図らずも母となったアテナは、生まれたばかりのエリクトニオスをアテナイ王ケクロプスの元へ預けることにしました。

ケクロプスはエリクトニオス同様に大地の女神ガイアから生まれ出た存在です。

ケクロプスは上半身が人間で下半身が蛇の姿をしていました。
アテナは同じ出自のケクロプスにしばらくの間エリクトニオスを預かってもらおうと考えました。

アテナが訪問した時にケクロプスは不在でしたが、ケクロプスの娘たち三人がいました。

アテナはエリクトニオスをかごの中に入れて、中が見えないようにして娘たちに渡しました。

娘たちはかごの中身が気になりますが、アテナは決して中を覗いてはいけないと言い残してその場を去りました。


6. アテナの制裁


アテナイの初代王ケクロプスの娘たち三人は、好奇心に負けてアテナの言いつけを破ってしまいます。

フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)が描いているのは、三姉妹が預かったかごの中を覗いている場面です。

かごの中に横たわっているのはエリクトニオスです。

三姉妹はこの後、アテナの言いつけを守らなかった罰として狂気を吹き込まれました。
そして、アクロポリスから身を投げて自殺したのです。

アクロポリスとは神殿や砦が築かれている小高い丘を指します。

エリクトニオスは、その後アテナの神殿で育てられることになります。
そして長じてアテナイ王となりました。


7. 原題


ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)が描いた『エリクトニオスの誕生』は、英語ではThe Discovery of the Child Erichthoniusと言います。

この作品は、リヒテンシュタイン公国(Fürstentum Liechtenstein)の首都ファドゥーツ(Vaduz)にある、リヒテンシュタイン侯コレクション(Sammlungen des Fürsten von und zu Lichtenstein)で見ることが出来ます。





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