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ヴィルヘルム・トリューブナー『ラピテス族とケンタウロス族の戦い』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年08月13日(土)15時29分 | 編集 |
2011年8月13日(土)


目次
1. ラピテス族の王ペイリトオス
2. ヒッポダメイア
3. エウリュティオンの蛮行
4. 色情狂ケンタウロス族
5. 原題


今回取り上げる作品は、ヴィルヘルム・トリューブナー作『ラピテス族とケンタウロス族の戦い』です。

2011年8月13日ヴィルヘルム・トリューブナー『ラピテス族とケンタウロス族の戦い』403

1. ラピテス族の王ペイリトオス


アテナイの王テセウスは、ラピテス族の王ペイリトオスと盟友関係にありました。

ラピテス族は、テッサリア地方を地盤とする民族です。
テッサリア地方は、ギリシア北部のエーゲ海に面した地域を指します。

ペイリトオスは、イクシオンとディアとの間に生まれた息子です。

イクシオンは、ヘラに欲情した廉(かど)でタルタロスへと送られ、火焔車に縛り付けられて、永遠に回転し続けるという神罰を受けています。

イクシオンについては、2011年7月1日(金)の記事『ホセ・デ・リベーラ『イクシオン』 loro2012.blog』を参照して下さい。


2. ヒッポダメイア


さて、ペイリトオスは、ブテスの娘ヒッポダメイアと結婚することになりました。

ブテスは、アテナイ王パンディオン1世の息子で、双子の兄弟に、王位を継いだエレクテウスがいます。
今、シリーズで扱っているテセウスは、パンディオン1世の5代後の王ということになります。

系譜を示します。

アテナイ初代王ケクロプス→クラナオス→アムピクテュオン→エリクトニオス→パンディオン1世→エレクテウス→ケクロプス2世→パンディオン2世→アイゲウス→テセウス

初代王ケクロプスは、軍神アテナをアテナイの守護神に選んだ王でしたね。

詳しくは、2011年4月30日(土)の記事『ノエル・アレ『ミネルヴァとネプチューンの争い』 loro2012.blog』を参照して下さい。

2代王クラナオスの時代に、デウカリオンの大洪水が発生したと言われています。

デウカリオンについては、2011年3月23日(水)の記事『ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリョーネ『ピュラとデウカリオン』 loro2012.blog』を参照して下さい。

3代王アムピクテュオンは、デウカリオンとピュラの間に出来た息子で、古代ギリシア人の祖であるヘレンの弟にあたります。

系譜を示します。

イアペトス→プロメテウス→デウカリオン→アムピクテュオン

4代王エリクトニオスは、ヘパイストスが処女神アテナに欲情して襲いかかり、脹ら脛に射精した後、アテナがその精子を拭き取った羊皮を大地に捨てた時に、誕生したのでしたね。

エリクトニオスについては、2011年5月1日(日)の記事『ピーテル・パウル・ルーベンス『エリクトニオスの誕生』 loro2012.blog』を参照して下さい。

5代王パンディオン1世は、トラキア王テレウスの援軍を受けて、テーバイ王ラブダコスとの戦争に勝利しました。

その後、パンディオン1世が、長女のプロクネをテレウスに差し出した話については、2011年7月23日(土)の記事『ピーテル・パウル・ルーベンス『テレウスの宴』 loro2012.blog』を参照して下さい。

過去の記事の復習のような感じになりましたが、本題に戻りますね。

ブテスの双子の兄弟エレクテウスが、パンディオン1世の後を継いでアテナイ王になったため、ブテスはアテナ神殿の神官になりました。

そのブテスの娘がヒッポダメイアで、これからペイリトオスと結婚しようとしているわけです。


3. エウリュティオンの蛮行


テセウスは、ペイリトオスの盟友として、結婚式に列席します。

この結婚式には、オリンポスの神々や、イクシオンの血を引くケンタウロス族の面々も、招かれていました。

イクシオンは、ペイリトオスの父ですが、ケンタウロス族の父でもあるのです。
ケンタウロス族の母は、ヘラに似せた雲の人形ネペレでしたね。

ペイリトオスは、近親者ということでケンタウロス族の者たちを披露宴に招待したのですが、このことが大惨事を招くことになります。

さて、結婚披露宴の最中、ペイリトオスとテセウスは、用足しのために一旦席を外しました。

葡萄酒を大量に飲んで、酩酊していたケンタウロス族の一人エウリュティオンは、2人が宴会場から離れて行く様子を見ていました。

そして、この隙を逃さず、あろうことか、花嫁のヒッポダメイアの前に進み出て、勃起したペニスをこれ見よがしに見せたのです。

嫌がるヒッポダメイアの恥じらった表情が、余計にエウリュティオンの欲情をそそり、エウリュティオンは、ついには、その巨大化したペニスを、ヒッポダメイアの柔らかな手で握らせようと、その手を掴(つか)みにかかります。

このエウリュティオンの蛮行を発端にして、元来好色なケンタウロスたちは、婚礼の場に集まった女性たちに次から次へと襲いかかります。

葡萄酒に酔った勢いで暴れ出したケンタウロス族を抑えられるのは、ペイリトオスとテセウス以外にはいません。

しかし、まだ2人は、披露宴会場から離れた所にいて、会場で起きている異変には気づいてはいません。


4. 色情狂ケンタウロス族


ケンタウロス族たちは、抱きついた女性の太ももやお尻に、無理やりペニスを押し付けたため、披露宴会場には悲鳴が飛び交い、せっかくのめでたい席が修羅場と化します。

ケンタウロス族の中には、捕まえた女性に体を密着させ、射精し終わるまでは離さないという者まで現れ、もはや収拾がつかない状態になっています。

ケンタウロス族の父であるイクシオンが、ヘラだと思い込んだネペレの膣内に射精した事件を思い起こさせますね。

ドイツの画家ヴィルヘルム・トリューブナー(1851-1917)は、婚宴の場で女性たちに手を出すケンタウロス族と、何とか女性たちを、魔の手から防御しようとするラピテス族の男たちを描きました。

前景向かって左端では、ケンタウロス族の一人が、女性の服をほぼ剥ぎ取り、その柔らかな肉体を、勝ち誇ったように肩の上に載せています。

身動きを封じられた女性の顔には、これから強姦されるのではないかという恐怖心が、滲(にじ)み出ています。

画面後景の右端では、3人の女性たちがケンタウロス族に追いかけられて、逃げ惑っています。
早く助けに行かないと、彼女たちは、女体に飢えたケンタウロス族の餌食になってしまいます。


5. 原題


ヴィルヘルム・トリューブナー(Wilhelm Trübner)が描いた『ラピテス族とケンタウロス族の戦い』は、ドイツ語ではKampf der Lapithen und Kentaurenと言います。

Kampfが、戦い、という意味です。
この作品は、個人所有となっています。





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