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ピーテル・パウル・ルーベンス『パリスの審判』(その1)
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年12月13日(火)14時49分 | 編集 |
2011年12月13日(火)


目次
1. 羊飼いになった王子
2. 伝令役ヘルメス
3. 美女コンテストの開始
4. 豊満な肉体美
5. 復讐の女神アレクト
6. 原題


今回取り上げるのはピーテル・パウル・ルーベンス作『パリスの審判』(その1)です。

2011年12月13日ピーテル・パウル・ルーベンス『パリスの審判』(その1)243

1. 羊飼いになった王子


ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)が描いているのはパリスが美しき女神たちを前にして審判をしている場面です。

画面向かって右側に腰掛けた状態で描かれている男性がパリスです。

ルーベンスは作品の中に何頭か羊を描いています。

後景中央に2頭の羊が大きく描かれていますし、後景向かって右端にも数頭が小さく描かれていますよね。

さらにパリスの両脚の間には犬が1匹います。
これは牧羊犬(ぼくようけん)と言って、放牧中の羊の見張りをするよう訓練を受けた犬です。

羊と牧羊犬、及び「王子」らしからぬ貧しい身なりでパリスを描くことによって、ルーベンスはパリスが羊飼いであったということを表現しているわけです。


2. 伝令役ヘルメス


パリスの後方で翼の付いた帽子ペタソスを被り、赤いマントを身につけているのはヘルメスです。
左手に持っている杖はケリュケイオンと呼ばれています。

神々への伝令役ヘルメスは人間界のイデ山においてパリスが下した審判について、すぐさま神々へ報告する任務を負っていたわけです。


3. 美女コンテストの開始


パリスの前に現れた三女神は惜しげもなく衣服を脱ぎ捨て、いよいよ地上における女神たちの美女コンテストが開始されました。

これだけの美女たちが豊満な肉体美を誇示して至近距離にいるわけですから、パリスの下半身は制御出来なくなっていたはずです。

我慢できる男などいませんね。

ルーベンスがパリスの下半身に濃紺の布を掛けた状態で描いているのは、同じ男としてパリスの高揚した精神状態が読めるからです。

パリス少年は怒濤(どとう)のように押し寄せる性欲と闘いながら、それでも健気(けなげ)に審査員の役割を果たそうとしています。

ただ、パリスの性的興奮が最高潮に近づき男根が完全に勃起していることは女神たちにはバレていますけどね。


4. 豊満な肉体美


画面中央で背を向けて立っているのがヘラです。
ヘラの足元には聖鳥である孔雀がいます。

ルーベンスはヘラを題材として女性の首筋から背中にかけての美しさを描きました。

三女神の中央にいて横顔を見せているのはアプロディーテです。
画面向かって左端でアプロディーテの脱ぎ捨てた衣装を片付けているのは息子のエロスです。

ルーベンスはアプロディーテを題材として女性の膨(ふく)よかな腹部や時折見え隠れする豊かな乳房の美しさを描きました。

画面向かって一番左にいて私たちに体の前面を見せているのがアテナです。

ルーベンスはアテナを題材として女性の脇の下から乳房にかけての柔らかさ、さらには肉付きの良い太股や脹ら脛の美しさを描きました。

アテナの右足の脹ら脛のあたりに描かれているのは兜ですね。

それから枝にぶら下げられて腰の位置に見えているのは楯アイギスです。
アイギスに描かれているのはメドゥーサですね。

その楯の上方に黒くて分かりづらいのですが梟(ふくろう)が描かれています。
オレンジ色の布の左側ですね。

ルーベンスがなぜ梟を描いているかというと、梟はアテナの聖なる象徴と捉えられているからです。
ギリシア神話においてはヘラの聖鳥が孔雀で、アテナの聖鳥が梟です。

3人の女神はかなり膨(ふく)よかな姿で描かれていて、現代の「痩身美」の基準からすると「美しくない肉体」という評価をされてしまいそうです。

もちろん、男女それぞれ好みの問題もあると思いますが、私はこのような熟した肉体に美しさを感じます。

マスコミなどでさんざん煽(あお)られて「痩身こそが美である」と信じ込まされている女性が多いのだとしたら、それは女性だけでなく男性にとっても不幸なことなのです。

男性の多くは女性の痩せこけた肉体を望んではいません。

体質的に特に難点がないにも関わらず甘い物などを我慢して食事量も可能な限り減らし、「痩せていることが美しいのだ」と自分に言い聞かせている女性が増えることは痩身業界やダイエット食品業界にとっては歓迎されるのかも知れません。

しかし、多くの一般男性は女性が切実に思っているほど「女性の痩身美」を求めているわけではないのですよ。


5. 復讐の女神アレクト


この作品においてはパリスが右手に持って差し出している林檎を受け取るべく、アプロディーテが左足を一歩前に進めていますね。

実はこのアプロディーテの動きがパリスの下した判断を示唆しているのですが、審査結果についてはルーベンスの別の作品で紹介します。

なおヘラの頭上、空中に描かれているのは復讐の女神アレクトです。

右手に松明を持って口を開いて何やら言葉を発しながら空を進んでいます。
左手に握り締めているのは蛇ですね。

アレクトは親殺しや偽誓の罪を犯した者に復讐する女神です。
あるいは若者の無礼、客への非礼、権力者の横柄な態度もその対象となります。

この美女コンテストの後、スパルタにおいてパリスがとった行動はアレクトの復讐対象になるということを予告しているのでしょうね。

ここから、パリスやトロイ王家の運命が大きく変わっていくのです。


6. 原題


ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)が制作した『パリスの審判』は英語ではThe Judgement of Parisと言います。

この作品はロンドンにあるナショナル・ギャラリー(The National Gallery)で見ることが出来ます。





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