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アントワーヌ・コイペル『エステルの失神』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2013年04月04日(木)14時34分 | 編集 |
記事のタグ: ルーヴル美術館
2013年4月4日(木)


目次
1. 失神するエステル
2. 原題


今回取り上げる作品はアントワーヌ・コイペル作『エステルの失神』です。

2013年4月4日アントワーヌ・コイペル『エステルの失神』257

1. 失神するエステル


アントワーヌ・コイペル(1661-1722)が描いているのは王を前にして気絶しているエステルの姿です。
ユダヤ人大虐殺を阻止するという重責を担い、王に向かって自分の意見を述べている内にエステルは失神しました。

極度の緊張感と重圧から自制心を失うところまで追い込まれたわけですね。
元来色白のエステルですが完全に血の気が引いています。

王に対する自分の発言一つで多くの同胞の命が左右されることになります。
王の機嫌を損ねるような言動は一切慎まなくてはなりません。

エステルは王妃とは言え、決して王に対して近い立場にあったわけではありません。
当時は王から呼び出されていない者が自己都合で王の前に参上するのは死罪に相当すると看做されていました。

雲の上の存在であるクセルクセス1世に対してエステルは自らの意見を述べることになります。
エステルは足が震える思いどころか実際に気絶してしまいました。

画面中央でエステルの左腕を取っているのがクセルクセス1世です。
皆の前で失神するほどの思いを持って謁見に臨んだエステルを優しく支える王の姿が描かれています。

結果的にエステルはユダヤ人大虐殺計画を推進している大臣ハマンを同席させた上での酒宴を王に開催することを確約させたのです。

見事な外交手腕です。

しかし、あくまでも酒宴の開催が決まっただけであり、エステルにとってはまだ試練が続きます。
来る酒宴の場で王が大虐殺の実行を思い止まるように説得することが次の課題となります。


続きます。


2. 原題


アントワーヌ・コイペル(Antoine Coypel)が制作した『エステルの失神』はフランス語ではL'Évanouissement d'Estherと言います。

l'évanouissementが気絶という意味です。
この作品はルーヴル美術館(Musée du Louvre)で見ることが出来ます。




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