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ピーテル・パウル・ルーベンス『パンとシュリンクス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年06月02日(木)16時36分 | 編集 |
2011年6月2日(木)


目次
1. 獣人
2. 管楽器
3. 原題


今回取り上げる作品は、ピーテル・パウル・ルーベンス作『パンとシュリンクス』です。

2011年6月2日ピーテル・パウル・ルーベンス『パンとシュリンクス』217

1. 獣人


パンとはギリシア神話における神の一種で、羊の群れを監視することが役割です。

ルーベンス(1577-1640)の作品で見られるように、上半身は人間ですが下半身は獣です。
また、頭部に山羊のような角があるのが特徴です。

そのパンが、性交の相手として目を付けたのがシュリンクスです。

シュリンクスは、処女神アルテミスに付き従うニンフです。
シュリンクスはアルテミスの考えに賛同し、セックスを忌み嫌うべきものと捉えています。

シュリンクスは、セックスだけが目的で言い寄って来るパンなど、全く相手にしないでいました。
しかし、好色なパンはペニスを勃起させながら、しつこく追いかけて来ます。

逃げる以外に手立てのないシュリンクスは、ついに川岸まで来てしまいました。

これ以上逃げ道がないことを悟ったシュリンクスは、川のニンフに頼んで自分自身を葦に変えてもらったのです。

ルーベンスの絵において、パンは両手で葦を掴(つか)んでいます。
この葦は、シュリンクスが変身した姿なのです。

従って、作品に描かれているシュリンクスの熟れた肉体は、もはやパンには見えていないわけですね。

パンは、あと一歩のところでシュリンクスを捕まえ損ねました。

パンがシュリンクスの豊麗な肉体に抱きつこうとした瞬間には、シュリンクスは既に葦になっていました。

シュリンクスは左手で股間を隠し、股を閉じて、ペニスが膣内に挿入されることを断固として拒否する態度を示しています。

シュリンクスは自身の処女を、こうして首尾良く守り通すことが出来たのです。

しかし、シュリンクスのニンフとしての生命も、この瞬間に終わってしまいました。


2. 管楽器


水辺の葦になってしまったシュリンクスを偲んで、パンは葦で楽器を作りました。
その楽器は、パンパイプやパンフルートと呼ばれています。

2011年6月2日ピーテル・パウル・ルーベンス『パンとシュリンクス』2 525


管楽器と化したシュリンクスは、日々、獣(けだもの)であるパンに触られ、吹かれ続けました。
ギリシア神話では、美女は必ず不幸になるのです。


3. 原題


ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)が制作した『パンとシュリンクス』は、ドイツ語ではPan und Syrinxと言います。

この作品は、ドイツのヘッセン州の都市カッセルにある美術館(Die Museumslandschaft Hessen Kassel)で見ることが出来ます。





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