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ジョン・ヴァンダーリン『ナクソス島で眠るアリアドネ』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年08月03日(水)15時20分 | 編集 |
2011年8月3日(水)


目次
1. クレタ島脱出後のテセウス
2. ディオニュソスの命令
3. アリアドネとの別れ
4. 眠り続けるアリアドネ
5. 原題


今回取り上げる作品は、ジョン・ヴァンダーリン作『ナクソス島で眠るアリアドネ』です。

2011年8月3日ジョン・ヴァンダーリン『ナクソス島で眠るアリアドネ』261

1. クレタ島脱出後のテセウス


アテナイの王子テセウスはミノタウロスを退治した後、赤い糸で協力してくれたアリアドネと、その妹パイドラと共に、クレタ島を離れました。

パイドラは父王ミノスの暴君ぶりに、日頃から嫌気がさしていましたので、姉アリアドネがテセウスと共にクレタ島を離れると聞き、一緒について行くことにしたのです。

パイドラは、後に、アテナイ宮廷において、一騒動起こす女性です。

アテナイへの途次、テセウス一行は食料補給のため、ナクソス島に立ち寄ります。
ナクソス島には、ディオニュソスが暮らしていました。

ディオニュソスは葡萄酒の神なのですが、ナクソス島の守護神でもあるのです。
ディオニュソスは、ナクソス島にやって来たアリアドネを遠くから一目見て、恋に落ちたのです。


2. ディオニュソスの命令


ナクソス島に着いたその夜、テセウスは、初めてアリアドネとセックスをし、お互いの愛を確認しました。

テセウスとアリアドネは、クレタ島で出会ってから、このナクソス島に辿り着くまで、二人っきりの時間を楽しむ精神的なゆとりがありませんでした。

異国の島ナクソスにおいて、ようやく2人は、落ち着いた心でお互いの肉体を確かめ合うことが出来たのです。

テセウスに優しく愛撫されたアリアドネは、誰憚(はばか)ることなく歓喜の声を上げ、昇天した後は、2人で抱き合いながら眠りにつきました。

深い眠りに落ちたテセウスの夢の中に、ディオニュソスが現れました。
そして、アリアドネを妻にするのは、ディオニュソスであることを告げたのです。

さらに、ディオニュソスは、アリアドネをこのナクソス島に置き去りにすれば、アテナイへの航海の安全を保証すると言いました。


3. アリアドネとの別れ


眠りから覚めたテセウスは、まだ眠っているアリアドネの可愛い横顔を見つめながら、夢の中でディオニュソスが告げた内容を思い返していました。

アテナイ王子という立場のテセウスは、船に乗っている自国の者たちを、無事にアテナイまで導くことが最大の責務です。

確かに、アリアドネの協力がなければ、ミノタウロスを倒すことは出来ませんでしたし、祖国クレタ島を捨ててまで自分について来てくれた女性を、初めて訪れた未知の島に置き去りにするのは、かなり気が引けました。

しかも、つい数時間前までは、テセウスは、アリアドネとアテナイでずっと暮らすつもりでいたのです。

もちろん、セックスの際、テセウスはアリアドネの膣内に射精しましたので、もしかしたら、アリアドネはこの一度の交わりで、テセウスの子を身ごもったかも知れません。

テセウスは悩みましたが、最終的には、航海の安全を最優先にすることを決意します。
アリアドネが船に同乗していると、ディオニュソスの怒りを買って、船が難破する危険性があります。

テセウスは、ディオニュソスの命令を受け入れ、アリアドネをこのままナクソス島に置き去りにすることにしたのでした。


4. 眠り続けるアリアドネ


テセウスは、まだ眠っている従者たちを起こし、予定が急遽変更になったため、朝早くに出航することを伝えます。

従者たちは、テセウスから、とにかく早く出発出来るように準備しろと、厳命を受けていましたので、未明の慌ただしい出発作業の中で、とりあえず手近にあった黒い帆を張って、出発準備を整えました。

黒い帆と白い帆の意味合いについては、2011年8月1日(月)の記事『Johann Michael Rottmayr『テセウスに糸を手渡すアリアドネ』 loro2012.blog』を参照して下さい。

妹のパイドラは周囲の音に気づいて目覚め、出発が早まったのだと理解して、アテナイ人たちが出発準備をしている船に、急いで向かいました。

パイドラは、船に乗り込む際、姉アリアドネは当然、テセウスに導かれて乗船しているものと思い込んでいましたので、姉の姿を確認はしませんでした。

こうして、テセウスたちはアリアドネ一人をナクソス島に残して、アテナイへと向かったのでした。

アリアドネは祖国であるクレタ島を捨て、父王ミノスや母パシパエとも別れ、テセウスについて来ました。

ところが、テセウスはアリアドネが眠っている隙に、ナクソス島を離れてしまったのです。

アメリカの画家ヴァンダーリン(1775-1852)が描いているのは、ナクソス島に一人取り残されたアリアドネが、何も知らずに眠っているところです。

テセウスに見捨てられたアリアドネは、この後、ディオニュソスと出会うことになります。


5. 原題


ジョン・ヴァンダーリン(John Vanderlyn)が制作した『ナクソス島で眠るアリアドネ』は、英語ではAriadne Asleep on the Island of Naxosと言います。

この作品は、アメリカのペンシルヴァニア州フィラデルフィアにあるペンシルヴァニア美術アカデミー(Pennsylvania Academy of the Fine Arts)で見ることが出来ます。





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