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Nikiphoros Lytras『死んだポリュネイケスの前のアンティゴネ』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年08月20日(土)15時36分 | 編集 |
2011年8月20日(土)


目次
1. テーバイ王クレオン
2. 王の命に逆らうアンティゴネ
3. アンティゴネの最期
4. アテナイ王テセウスの活躍
5. 原題


今回取り上げる作品は、Nikiphoros Lytras作『死んだポリュネイケスの前のアンティゴネ』です。

2011年8月20日Nikiphoros Lytras『死んだポリュネイケスの前のアンティゴネ』228

1. テーバイ王クレオン


アンティゴネは、父オイディプスがコロノスの森で亡くなった後、テーバイへと戻りました。
そして、アンティゴネは、摂政クレオンの息子ハイモンと恋仲になり、二人は婚約します。

その後、テーバイ対アルゴスの戦争は終結を迎え、ポリュネイケスは、弟王エテオクレスと相討ちして死にました。

エテオクレスの後を継いでテーバイ王となったのは、摂政のクレオンでした。

ポリュネイケスは、生前、クレオンに反目していましたので、王となったクレオンには、ポリュネイケスに対する積年の恨みがありました。

そこで、クレオンはポリュネイケスの遺体を弔うことを禁じ、地面に置き去りにするよう、テーバイの国民に命じたのです。

かつてはテーバイの王だったポリュネイケスの亡骸は、太陽や風に晒(さら)され、日に日に朽ちて行きます。


2. 王の命に逆らうアンティゴネ


アンティゴネは、兄ポリュネイケスの亡骸が腐敗し、鳥たちが啄(ついば)む様子を、テーバイ宮廷から毎日見ていました。

そして、アンティゴネは、いくら死体とは言え、兄の姿が日々、変わり果てて行くのを見るのが、いたたまれなくなりました。

アンティゴネは、ついに意を決して宮廷の外に出て、王クレオンの命令に逆らって、ポリュネイケスの遺体を埋め、ささやかな葬儀を行ってしまったのです。

ギリシアの画家Nikiphoros Lytras(1832-1904)が描いているのは、アンティゴネがポリュネイケスの遺体を埋葬しようとしている場面です。

クレオンの命令を破ったアンティゴネは、すぐに捕縛され、投獄されました。

クレオンは、息子ハイモンの婚約者であるアンティゴネを斬首に処すことが出来なかったため、アンティゴネを石牢に閉じ込め、光のない世界でそのまま朽ち果てるよう命じたのです。

このままでは、アンティゴネは、食べ物を与えられずに、餓死する日を待つだけになってしまいます。

しかも、外界から遮断された薄暗い石牢の中で、何も見えず、聴覚だけを頼りに生きて行くことになります。

結果的に、アンティゴネは、父オイディプスと似たような状況に追い込まれたわけです。


3. アンティゴネの最期


アンティゴネは、石牢に閉じ込められた数日後、縊死(いし)しました。
その訃報を聞いた婚約者のハイモンは絶望し、宮廷内の自室で縊死しました。

また、クレオンの妻エウリュディケは、息子ハイモンが自殺した後の姿を目の当たりにして、これ以上、生きる意味を見い出せなくなりました。

そして、エウリュディケもまた、息子の後を追って、縊死したのです。

結局、クレオンは、王という最高権力の地位を得る一方で、妻エウリュディケと息子ハイモンを失ったのです。


4. アテナイ王テセウスの活躍


クレオンは、ポリュネイケスの遺体だけでなく、アルゴス軍の兵士たちの遺体も、路上に放置していました。

アテナイ王テセウスは、アルゴス軍の兵士たちの遺体が放置されているという噂を耳にして、テーバイへとやって来ました。

テセウスは、クレオンが戦死者の遺体を弔わないのは、人の道に外れた振る舞いであると糾弾します。

テセウスは、クレオンが路上に遺棄された死体を埋葬する気がないのであれば、代わりにアテナイ軍の手で埋葬すると申し出ました。

クレオンが、この申し出を断った場合は、テーバイとアテナイとの戦争に発展することが見えていました。

アテナイとの戦争を回避したいクレオンは、テセウスの申し出を受け入れることにします。

こうして、アルゴス軍兵士の遺体は、アテナイ軍によって引き取られ、手厚く葬られたのでした。

テセウスは、元テーバイ王オイディプスの葬儀を行い、異国のアルゴス軍兵士たちの葬儀も行いました。

このあたりの、テセウスの人情味溢(あふ)れる働きは、名君と呼ばれるに相応しい活躍だと言えますね。

これで、オイディプスのシリーズはおしまいです。
明日からは、ヘラクレスの話を再開します。


5. 原題


Nikiphoros Lytrasが描いた『死んだポリュネイケスの前のアンティゴネ』は、英語ではAntigone in front of the dead Polynicesと言います。

この作品は、アテネにある美術館(The National Art Gallery and Alexander Soutzos Museum)で見ることが出来ます。





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