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ローラン・ド・ラ・イール『グラウコスとスキュラ』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年10月02日(日)00時30分 | 編集 |
2011年10月2日(日)


目次
1. 元漁師グラウコス
2. 海神グラウコス
3. 美女であるがゆえの不幸
4. 怪物スキュラの誕生
5. 原題


今回取り上げる作品は、ローラン・ド・ラ・イール作『グラウコスとスキュラ』です。

2011年10月2日ローラン・ド・ラ・イール『グラウコスとスキュラ』416

1. 元漁師グラウコス


グラウコスは、元々は漁師でした。

ある日、グラウコスは薬草を口にしたことがきっかけで、海の中へ入って行きたいという衝動を覚え、次第にその欲望を抑え切れなくなっていきます。

その薬草には、自制心を破壊するような、特殊な成分が含まれていたのでしょうね。

そして、グラウコスは、ついに意を決して、海の中へ飛び込みます。
海の神々に迎え入れられたグラウコスは、人間の部分を洗い流されて、神となりました。


2. 海神グラウコス


海神となったグラウコスは、ある日、シチリア島へ赴きました。
そして、島に暮らす美女スキュラを一目見て、好きになりました。

グラウコスは熱烈に求愛するのですが、スキュラは恋愛には関心がありません。
グラウコスの努力も虚しく、スキュラは逃げてしまいました。

美しいスキュラを諦め切れないグラウコスは、キルケの元に相談に訪れます。

キルケとは、魔術と薬学に造詣(ぞうけい)が深い魔女です。
太陽神アポロンの娘で、クレタ王妃パシパエは姉妹にあたります。

グラウコスは、キルケの魔術を頼ってでも、スキュラを自分に振り向かせようとしたわけですね。

ところが、思わぬ展開が待ち受けます。
キルケが、グラウコスに恋をしてしまったのです。


3. 美女であるがゆえの不幸


グラウコスは、キルケに求愛されましたが、スキュラへの思いを断ち切ることが出来ないため、キルケの愛を受け入れることが出来ません。

キルケは、自分に対して一向に靡(なび)かないグラウコスを見て苛立ちを覚えますが、だからと言って、グラウコスへの愛が冷めることはなく、むしろグラウコスへの思いは、より一層募って行きます。

そこで、キルケは、グラウコスの愛を勝ち取るために、その障害となっているスキュラを傷めつけることにしました。

美しいスキュラの容姿を化け物に変えてしまえば、グラウコスのスキュラに対する愛情も冷めていくと踏んだわけです。

スキュラは何も悪いことはしていないのですが、キルケの魔術の犠牲者となるのです。

スキュラにとっては、あまりにも理不尽な展開ですが、ギリシア神話では美女は間違いなく不幸になって行くのですよ。


4. 怪物スキュラの誕生


キルケは毒薬を製造し、呪いの言葉と共に入江に流し込みました。
そして、何も知らないスキュラがその入江に入った途端、体に異変が起きました。

スキュラの両脚は消え失せ、その代わりに6つの犬の頭と12本の犬の足が下半身に生えてきたのです。
上半身は美しいままなのですが、下半身は怪獣に変えられてしまいました。

スキュラは、変わり果てた自分の姿に絶望します。

そして、こんな姿では誰からも愛されないと悟り、自暴自棄に陥(おちい)って、次第に凶暴な性格へと変貌していきます。

やがてスキュラは、メッシーナ海峡にそそり立つ岩と化し、海峡を通行する船を襲う怪物となりました。

一人の純真無垢な美女は、こうして得体の知れない不気味な存在にされてしまったのです。

海を挟んで反対側には、同じく魔物のカリュブディスが住んでいますので、メッシーナ海峡を通行する船は、この2つの怪物によって襲われ、難破させられていくことになります。

なお、メッシーナ海峡とは、シチリア島とイタリア本土の間にある海峡のことです。

フランスの画家ローラン・ド・ラ・イール(1606-1656)は、グラウコスに求愛されているスキュラの姿を描いています。

この時点では、まだスキュラは美しい乙女の姿をしていますね。
スキュラの後ろにいて、弓を引いているのはエロスです。

思い通りに行かない愛は、時に悲劇をもたらし、関わった者の人生を大きく狂わせていきます。


5. 原題


ローラン・ド・ラ・イール(Laurent de La Hyre)が描いた『グラウコスとスキュラ』は、英語ではGlaucus and Scyllaと言います。

この作品は、ロスアンゼルス市にあるポール・ゲッティ美術館(The J. Paul Getty Museum)で見ることが出来ます。





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