映画とドラマと語学、そして株式投資へ
| ホーム loro2012 |
| 投稿 |
ヤーコブ・ヨルダーンス『メレアグロスとアタランテ』 プラド版
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年10月27日(木)00時47分 | 編集 |
記事のタグ: プラド美術館
2011年10月27日(木)


目次
1. 親族よりも美女を選んだメレアグロス
2. メレアグロスの最期
3. メレアグロスの死後
4. 原題


今回取り上げるのは、ヤーコブ・ヨルダーンス作『メレアグロスとアタランテ』です。

2011年10月27日ヤーコブ・ヨルダーンス『メレアグロスとアタランテ』 プラド版 213

1. 親族よりも美女を選んだメレアグロス


フランドルの画家ヤーコブ・ヨルダーンス(1593-1678)が描いているのは、自分の判断に不満を漏らす叔父たちを手にかけようとするメレアグロスの姿です。

画面中央で、左肩に黄色い衣服を掛けているのがメレアグロスです。
右手は剣の柄(つか)を握り締め、すぐにでも引きぬいて周囲にいる叔父たちを殺そうとしています。

向かって右で、左の乳房を露にしている女性がアタランテです。

アタランテは、右手でメレアグロスの右手を抑え、剣を引き抜かせないように留めています。
この剣を抜いた時は、メレアグロスは親族殺人を犯すことになるのです。

しかし、叔父たちから猪の頭部を寄こせとしつこく言われ、メレアグロスは完全にいきり立っています。

戦利品としての猪の頭部は、ついにアタランテの手から奪い取られて、叔父たちの手に渡ってしまいました。

この様子を見たメレアグロスは、王子としての自分の立場を忘れ、剣を抜いて叔父たちをメッタ切りにしてしまいます。

息子メレアグロスが美女に心を奪われた結果、兄弟たちを殺された王妃アルタイアは、母としてメレアグロスの命を終わらせることにします。


2. メレアグロスの最期


実は、メレアグロスが生まれた時、運命の三女神モイライが現れて、アレスの息子であるメレアグロスに3つの贈り物をしていました。

モイライは複数形で、単数形だとモイラと言います。

モイライの内の一人、生命の糸を割り当てる役割を担うラケシスは、英雄としての人生を授けました。
生命の糸を紡ぐクロトは、高貴な地位を約束しました。

そして、生命の糸を切る役割を担うアトロポスは、王家の屋敷の中にある炉の中で、薪が燃え尽きて無くなるまでの人生を保証しました。

この話を聴いていた王妃アルタイアは、モイライが姿を消した後、薪に水をかけ、火を消してしまいます。

こうすれば、薪が燃え尽きることがなくなるので、生まれたばかりのメレアグロスがいつまでも生きられると考えたのです。

王子メレアグロスが親族を殺したという一報が王宮にもたらされた後、アルタイアは隠しておいた薪を取り出して火をつけました。

女の色香に惑わされて、王家に繋がる者たちを殺すという蛮行をなした息子の命を、自分自身の手で終わらせようとしたのです。

猛烈な炎の中で、薪はあっという間に燃え尽きました。
こうして、メレアグロスは突然死したのです。


3. メレアグロスの死後


メレアグロスには、クレオパトラという妻がいました。

王妃アルタイアと王太子妃クレオパトラは、メレアグロスが急死したことを聞いて、縊死(いし)しました。

母と兄を一時(いちどき)に亡くした王女たちは、悲嘆に暮れ、生きる希望を失います。
その姿を見ていたアルテミスは、メレアグロスの姉妹たちを、ほろほろ鳥の姿に変えたのです。

ただし、アルテミスが変身の術を行使する前に、ディオニュソスが自分の娘であるデイアネイラと、もう一人の王女ゴルゲの2名だけは人間のまま生かして欲しいと頼みました。

その甲斐あって、この2人はホロホロ鳥に変身させられる魔法を回避することが出来ました。

ゴルゲはディオニュソスの娘ではありませんが、デイアネイラと仲が良かったという理由で助けられたと言われています。

デイアネイラは、この後、ヘラクレスの妻となり、結果的にヘラクレスを死へと追い込むことになります。

アタランテは、メレアグロスの死後、ヒッポメネスという男性と結婚することになるのですが、その話は次回に続きます。


4. 原題


ヤーコブ・ヨルダーンス(Jacob Jordaens)が描いた『メレアグロスとアタランテ』は、スペイン語ではMeleagro y Atalantaと言います。

この作品は、プラド美術館(Museo Nacional del Prado)で見ることが出来ます。





関連記事