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フランシスコ・デ・スルバラン『ヘラクレスの死』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年11月05日(土)12時37分 | 編集 |
記事のタグ: プラド美術館
2011年11月5日(土)


目次
1. ネッソスの罠
2. オイカリアの王女イオレ
3. デイアネイラの疑心
4. 焼け爛れる体
5. 原題


今回取り上げる作品はフランシスコ・デ・スルバラン作『ヘラクレスの死』です。

2011年11月5日フランシスコ・デ・スルバラン『ヘラクレスの死』273

1. ネッソスの罠


ヘラクレスはネッソスがデイアネイラを強姦しようとする姿を見て、急ぎ1本の毒矢を放ちました。
矢は見事にネッソスに命中しネッソスの蛮行は阻止されました。

デイアネイラの貞節はギリギリのところで守られたのです。

この矢はかつてヘラクレスが退治した怪物ヒュドラの猛毒の血が塗られていました。
死んで行くネッソスには矢に毒が塗られていることが分かりました。

美貌の人妻とセックスをするという思いを遂げられなかったネッソスは、絶命する直前に傍にいたデイアネイラに嘘を吹き込みます。

「将来、もしヘラクレスが他の女に心を奪われたとしても、この自分の血をヘラクレスに与えれば必ず妻であるあなたの元へ戻るであろう・・・。」


ネッソスが言ったことを真に受けたデイアネイラは彼の血を容器に移し、後方から近づいて来るヘラクレスに気付かれないように衣服の中にしまい込みました。

しかし、この血にはヒュドラの猛毒が混じっているのです。

ネッソスの罠とも気づかずにデイアネイラはこの猛毒入りの血を保管し、後日ヘラクレスに対して使うことになるのです。


2. オイカリアの王女イオレ


この後、ヘラクレスはオイカリア王エウリュトスを討つために出発します。
かつてヘラクレスはオイカリア王女イオレとの結婚話が成就しなかったことがありました。

それが契機となりヘラクレスは二度目の狂気をヘラから吹き込まれました。
そしてヘラクレスはデルフォイの神託に従いオンファレへの無償奉仕を余儀なくされたのでした。

それ以来ヘラクレスはイオレとの結婚を認めるという約束を反故にしたエウリュトスを恨んでいたのです。

ヘラクレスは兵を集めてオイカリアへ進軍します。
そしてヘラクレスはオイカリアの街を征服し、王エウリュトスや王子たちを皆殺しにします。

但し、美貌の王女イオレだけは捕虜として生かしておくことにしました。

戦いを終えたヘラクレス一行は帰途エウボイアに立ち寄りました。
エウボイアとは現在のエーゲ海にあるユービア島に同定されています。

ヘラクレスはエウボイアにおいてオイカリア戦の勝利をゼウスの神殿に報告しようと考えました。

神殿において祭祀を執り行い生贄を捧げる場合は、それに相応しい衣服を身につける必要があります。

ところが、戦争の帰途エウボイアの神殿に立ち寄ったヘラクレスは儀式用の衣服を持っていませんでした。

そこで伝令使のリカスを妻デイアネイラの元に遣わして、祭祀用の服を持って来るように命じたのです。


3. デイアネイラの疑心


宮廷に到着したリカスはデイアネイラに戦勝報告をします。
それと同時に美貌の王女イオレがヘラクレスの捕虜になったことを告げました。

美貌のイオレがヘラクレスの捕虜になったということは間もなく愛人になるということです。
デイアネイラの心はざわめきます。

その時、死ぬ間際のネッソスから聞かされた言葉が頭をよぎりました。

そしてネッソスの血を入れた容器を取り出し、祭祀用の衣服に血を浸した上でリカスに渡したのです。

もちろん、この血にはネッソスのものだけでなく怪物ヒュドラの猛毒の血も混じっています。
何も知らないリカスはデイアネイラから渡された祭祀用の衣服を携えてエウボイアに戻りました。


4. 焼け爛れる体


リカスから衣服を受け取ったヘラクレスは早速身につけて祭司を開始しました。

衣服に染み付いていたヒュドラの猛毒はヘラクレスの体温によって温められていきます。
そして猛毒はヘラクレスの皮膚から染み渡り全身を駆け巡ります。

間もなくヘラクレスの肉体は高熱を発しながら腐り始めました。
夫の愛を失いたくないというデイアネイラの女心が完全に裏目に出てしまったわけです。

スペインの画家フランシスコ・デ・スルバラン(1598-1664)はヘラクレスがリカスから受け取った衣服によって身を焼かれている場面を描きました。


5. 原題


フランシスコ・デ・スルバラン(Francisco de Zurbarán)が描いた『ヘラクレスの死』はスペイン語ではMuerte de Hércules, abrasado por la túnica del centauro Nesoと言います。

Nesoはネッソスのことです。

この作品はプラド美術館(Museo Nacional del Prado)で見ることが出来ます。





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