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ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『ヴィーナスと時の寓意』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2012年03月23日(金)23時50分 | 編集 |
2012年3月23日(金)


目次
1. トロイ王家の傍流
2. セックスの女神から学ぶべきこと
3. ローマ建国の祖の誕生
4. 原題


今回取り上げる作品は、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作『ヴィーナスと時の寓意』です。

2012年3月23日ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『ヴィーナスと時の寓意』495

1. トロイ王家の傍流


イタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(1696-1770)が描いているのは、トロイ王家の血を引くアイネイアスが誕生した場面です。

まずは、アイネイアスの先祖の系譜を見ておきましょう。

トロイという国名の元となった王は、トロスです。
トロスには3人の息子がいて、イロス、アッサラコス、ガニュメデスと言います。

ガニュメデスは、ゼウスによって神々の世界へと拉致され、宴会の給仕として働くことになります。
イロスの息子がラオメドンで、ラオメドンの息子がプリアモスです。

プリアモスはトロイ陥落時に殺害され、トロイ王国最後の王となった人物です。
パリスは、プリアモスの息子です。

まとめるとこうなります。

トロス→イロス→ラオメドン→プリアモス(トロイ王家滅亡)→パリス


アッサラコスの息子がカピュスで、カピュスの息子がアンキセスです。
アンキセスとアプロディーテとの間に生まれた息子が、アイネイアスです。

まとめるとこうなります。

トロス→アッサラコス→カピュス→アンキセス→アイネイアス→アスカニウス


従ってアイネイアスの家は、トロイ王家の傍流ということになるわけです。


2. セックスの女神から学ぶべきこと


アイネイアスは、アプロディーテを母とします。

アプロディーテは、セックスこそが神々の世界を動かして行く原動力になると信じていて、様々な相手と愛の遍歴を重ねて行く女神です。

多くの男神たちと性交することを通じて、自分一人では生み出すことの出来ない快感を手にし、その積み重ねにより、女神としての霊力を蓄えて来たのです。

これを人間の女性に置き換えれば、女性がセックスを通じて快感を得て、その積み重ねにより、美貌に磨きをかけ、色気を蓄えていく、ということになるわけですね。

女性が色気を蓄積するには、ある程度の男性遍歴が必要です。

20代の女性が、熟女の持つ色気を醸し出すことができないのは、積み重ねや訓練が足りないからなんですね。

セックスにせよ、学問にせよ、スポーツにせよ、何ごとに対しても粘り強く、諦めず、日々の訓練を怠らなかった者だけが、真の実力を蓄えることができるのです。


3. ローマ建国の祖の誕生


そんなアプロディーテが、人間の男性アンキセスと性交することになりました。
この二人の性交渉の原因は、最高神ゼウスが作ったとされています。

アプロディーテは、これまでに、「本業」である愛と性の女神の役割を果たすべく、多くの神々と人間たちとを結びつけて来ました。

その結果、神と人間を両親とする子がたくさん生まれ、特殊な能力を備えた彼らは、この世を良くするために様々な活躍をして来ました。

ところが、アプロディーテ自身は、これまでに人間の子を生んだことがありませんでした。

そこでゼウスがアプロディーテに、人間の子を生ませようとして恋を吹き込んだのです。
そしてアプロディーテが恋に落ちた相手は、トロイ王家の血を引くアンキセスでした。

中景向かって左で、豊満な上半身を披露しているのがアプロディーテです。
前景向かって右の、有翼の老人は、時間を偶像化したものです。

「時間」が両手に抱いているのが、アイネイアスです。

「時間」に守護されたアイネイアスは、トロイ陥落の中を生き延びて、やがてローマ建国の祖となっていくのです。

いよいよ、このギリシア神話絵画シリーズも、最終章のアイネイアスのところまで辿り着きました。
最終回まで、あと少しです。


4. 原題


ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(Giovanni Battista Tiepolo)が描いた『ヴィーナスと時の寓意』は、英語ではAn Allegory with Venus and Timeと言います。

この作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリー(The National Gallery, Trafalgar Square, London)で見ることが出来ます。





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