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フラ・アンジェリコ『受胎告知』 プラド美術館版
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2010年11月17日(水)14時29分 | 編集 |
記事のタグ: プラド美術館
2010年11月17日(水)


目次
1. 受容するマリア
2. 楽園追放
3. 知恵の木の実
4. 原題


今回取り上げる作品は、フラ・アンジェリコ作『受胎告知』です。

2010年11月17日フラ・アンジェリコ『受胎告知』329


1. 受容するマリア


アンジェリコ(1387-1455)が描いたこの『受胎告知』は、神のお告げをマリアが受け入れた瞬間を描いています。

マリアは大天使ガブリエル同様に、胸の前で両腕を交差させています。
異界の天使と同じ態度をとることで、心の調和を示そうとしているのだと思います。

神の子を宿したマリアの表情には、諦観のようなものが感じられますよね。

両者ともに腰をかがめて相手に対する敬意を示し、目線が同じ位置で表されていることが印象的です。

マリアの右膝の上で開いている書物は、旧約聖書です。
旧約聖書『イザヤ書』には、

「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。」

という一節があります。

受胎告知の時、ちょうどマリアはこのページを読んでいたということになっています。

この日は3月25日であったとされていて、この9ヶ月後の12月25日をイエスの誕生日としているのです。

計算が合いませんが、そのようになっています。


2. 楽園追放


マリアに当たっている強烈な光の源を見ると、2人の男女が見えますよね。
この人達は誰なのでしょうか?

画面向かって左端に描かれた男女は、アダムとイヴですね。
楽園から追放されてしまったという絶望的な心境で、トボトボと歩いているところです。

右側にいるアダムは苦悩の表情を浮かべていますが、左にいるイヴはどうでしょうかね。
背中を丸めて両手を絡ませているところから、決して心安らかではないことは感じられます。

しかし、毅然と顔を上げてその視線の先にいるアダムを睨んでいるようにも見えますよね。
アンジェリコの描くイヴは、あまり責任を痛感していないようにも見受けられます。


3. 知恵の木の実


イヴが蛇に唆(そそのか)されて知恵の木の実を食べてしまい、アダムにも勧めてしまったことが失楽園の原因です。

知恵の木の実は、後世、リンゴで象徴されています。
しかし、旧約聖書『創世記』にはリンゴだと明記されているわけではないようですね。

神の逆鱗に触れた2人は、エデンの園を離れます。
そして、厳しい荒野で労働や出産の苦しみを味わっていくことになります。

人類の祖がこのような神罰を受けた原因は、神の言いつけを守らなかったからです。
要するに、神に対して服従しなかったというということですね。

一方、マリアはどうでしょうか?

男女の関係が無いにも関わらず、突如妊娠したと異界の大天使に告げられ、仰天しながらもその趣旨を短時間で理解し、受容しました。

ユダヤの神が求める絶対的な服従を体現したのが、マリアだったわけです。

その後、マリアは月満ちてイエスを産むのですが、妊娠期間中も神の意志を疑うことなど無かったのでしょうね。

アンジェリコは、マリアの絶対的な帰依の姿勢を浮き彫りにするために、あえて創世記のアダムとイヴを同じ画面の中に描いたのだと思います。


4. 原題


『受胎告知』は、スペイン語では『La Anunciación』、イタリア語ではAnnunciazioneと言います。

修道士でもあったフラ・アンジェリコ(Fra Angelico)は、イタリアのルネサンス期に活躍した画家です。

アンジェリコは、『受胎告知』という題名の作品を数点描いています。
今回取り上げた『受胎告知』は、1426年頃の制作とされています。

この作品は、マドリッドのプラド美術館(Museo Nacional del Prado)が所蔵しています。





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