2010年12月22日(水)
目次
1. 騙(だま)されるわけ
2. 犯行の手口
3. 原題
4. 他国比較
今回取り上げる作品は、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作『女占い師』です。

1. 騙(だま)されるわけ
絵画の表題となっている占い師は、向かって右端に描かれています。
巧みな会話術で男性の関心を引きつけ、仲間の3人が盗みをしやすい環境を作り上げています。
この占い師は媚態を示すような女性ではありませんので、男性は警戒心を抱きません。
金持ちと思(おぼ)しき男性は、心からこの占い師のことを信用しているのでしょうね。
周囲に3人の女性がいることはもちろん認識はしていますが、その動きについては丸っきり注意を払ってはいません。
この4人が仲間であることすらも、気づいてはいないわけです。
まあ、カモとはこういう間の抜けた者のことを言うんですけどね。
この男は潤沢な財力を有し、家柄も良いのだと思います。
しかし、判断力や洞察力といった身を守る術が全く身についていないことが読み取れます。
2. 犯行の手口
画面向かって左端のスカーフを髪に巻いた女性が、男性の財布を抜き取ろうと右手の指先に神経を集中させています。
腰に位置している男性の右腕が下がってくる可能性がありますので、素早い行動が必要です。
その右側の黒髪の女性は、右手を差し出してその財布を受け取ろうとしているわけです。
財布を抜き取った後、万一男性に感づかれた場合は現行犯になってしまいます。
そういった事態に備えるために、左端の女性は財布を所持していないという状況を作ろうとしているわけですよ。
そして、「無実の私が疑われた!」と泣き叫んで、世論の同情を買おうという段取りなんでしょうね。
恐ろしいですね。
それから、向かって右から2番目の女性は、男性の金時計を刃物で切り取ろうとしています。
大胆極まりない犯行です。
切り取る際にはそれなりに音が出そうなものですが、この男は視覚及び聴覚の感性を磨く努力を普段怠っていますので、全く感じていないのでしょうね。
哀れですね。
3. 原題
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(Georges de La Tour)の描いた『女占い師』は、フランス語ではLa Diseuse de bonne aventureと言います。
la diseuseは、直訳すると、言う人、ということになります。
aventureは恋愛とか冒険といった語義がありますが、bonne aventureは成句で、運勢、という意味になります。
運勢を言う人ということで、占い師という意味になるわけです。
英語では、The Fortune Tellerと言います。
fortuneは、運勢、という意味ですね。
この作品は、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)の所蔵となっています。
4. 他国比較
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)の生きた時代の、各国の政体を見ておきましょう。
1) フランス
ルイ13世(在位:1610-1643)の時代です。
彼の母はマリー・ド・メディシス(1575-1642)です。
2) イングランド
ジェームズ1世(在位:1603-1625)の時代です。
現在のアメリカのヴァージニア州に、ジェームズタウン(Jamestown)と名付けられた植民地が建設されたのは1607年のことでした。
1607年以前にも、イングランドからアメリカ大陸東岸地域への植民活動は試みられていました。
しかし、原住民との戦いに敗れて失敗に終わっていました。
このジェームズタウンが、イングランドとしては最初の永続的植民地となりました。
植民地の名前は、時のイングランド王ジェームズ1世に由来します。
3) スペイン
フェリペ3世(在位:1598-1621)の時代です。
スペイン・ハプスブルク家は、この頃から衰退に向かいます。
4) 日本
徳川家光が、江戸幕府第3代将軍(在位:1623-1651)として君臨していた時代です。
家光の母は、お江(ごう)です。
お江(1573-1626)というのは、お市の方(信長の妹)の三女ですね。
家光は徳川家(父は徳川秀忠)だけでなく、織田家(お江の母方)や浅井家(お江の父方)の血を受け継いでいることになりますね。
また、家光の乳母は春日局(1579-1643)です。
2011年のNHK大河ドラマは、『江 姫たちの戦国』です。
お江の役は、『のだめカンタービレ』に出ていた上野樹里です。
目次
1. 騙(だま)されるわけ
2. 犯行の手口
3. 原題
4. 他国比較
今回取り上げる作品は、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作『女占い師』です。

1. 騙(だま)されるわけ
絵画の表題となっている占い師は、向かって右端に描かれています。
巧みな会話術で男性の関心を引きつけ、仲間の3人が盗みをしやすい環境を作り上げています。
この占い師は媚態を示すような女性ではありませんので、男性は警戒心を抱きません。
金持ちと思(おぼ)しき男性は、心からこの占い師のことを信用しているのでしょうね。
周囲に3人の女性がいることはもちろん認識はしていますが、その動きについては丸っきり注意を払ってはいません。
この4人が仲間であることすらも、気づいてはいないわけです。
まあ、カモとはこういう間の抜けた者のことを言うんですけどね。
この男は潤沢な財力を有し、家柄も良いのだと思います。
しかし、判断力や洞察力といった身を守る術が全く身についていないことが読み取れます。
2. 犯行の手口
画面向かって左端のスカーフを髪に巻いた女性が、男性の財布を抜き取ろうと右手の指先に神経を集中させています。
腰に位置している男性の右腕が下がってくる可能性がありますので、素早い行動が必要です。
その右側の黒髪の女性は、右手を差し出してその財布を受け取ろうとしているわけです。
財布を抜き取った後、万一男性に感づかれた場合は現行犯になってしまいます。
そういった事態に備えるために、左端の女性は財布を所持していないという状況を作ろうとしているわけですよ。
そして、「無実の私が疑われた!」と泣き叫んで、世論の同情を買おうという段取りなんでしょうね。
恐ろしいですね。
それから、向かって右から2番目の女性は、男性の金時計を刃物で切り取ろうとしています。
大胆極まりない犯行です。
切り取る際にはそれなりに音が出そうなものですが、この男は視覚及び聴覚の感性を磨く努力を普段怠っていますので、全く感じていないのでしょうね。
哀れですね。
3. 原題
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(Georges de La Tour)の描いた『女占い師』は、フランス語ではLa Diseuse de bonne aventureと言います。
la diseuseは、直訳すると、言う人、ということになります。
aventureは恋愛とか冒険といった語義がありますが、bonne aventureは成句で、運勢、という意味になります。
運勢を言う人ということで、占い師という意味になるわけです。
英語では、The Fortune Tellerと言います。
fortuneは、運勢、という意味ですね。
この作品は、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)の所蔵となっています。
4. 他国比較
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)の生きた時代の、各国の政体を見ておきましょう。
1) フランス
ルイ13世(在位:1610-1643)の時代です。
彼の母はマリー・ド・メディシス(1575-1642)です。
2) イングランド
ジェームズ1世(在位:1603-1625)の時代です。
現在のアメリカのヴァージニア州に、ジェームズタウン(Jamestown)と名付けられた植民地が建設されたのは1607年のことでした。
1607年以前にも、イングランドからアメリカ大陸東岸地域への植民活動は試みられていました。
しかし、原住民との戦いに敗れて失敗に終わっていました。
このジェームズタウンが、イングランドとしては最初の永続的植民地となりました。
植民地の名前は、時のイングランド王ジェームズ1世に由来します。
3) スペイン
フェリペ3世(在位:1598-1621)の時代です。
スペイン・ハプスブルク家は、この頃から衰退に向かいます。
4) 日本
徳川家光が、江戸幕府第3代将軍(在位:1623-1651)として君臨していた時代です。
家光の母は、お江(ごう)です。
お江(1573-1626)というのは、お市の方(信長の妹)の三女ですね。
家光は徳川家(父は徳川秀忠)だけでなく、織田家(お江の母方)や浅井家(お江の父方)の血を受け継いでいることになりますね。
また、家光の乳母は春日局(1579-1643)です。
2011年のNHK大河ドラマは、『江 姫たちの戦国』です。
お江の役は、『のだめカンタービレ』に出ていた上野樹里です。
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