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レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2010年07月25日(日)14時43分 | 編集 |
記事のタグ: ウフィッツィ美術館
2010年7月25日


ラジオでの放送日:2009年11月29日(金)、30日(土) 
講座名:イタリア語で”聴く”ルネサンスの名画 講師:松浦弘明

第9週 帰属問題の難しさ ーレオナルドへの帰属に対する疑問ー
目次
1. 疑義の根拠
1) 顔
2) 平凡な木々
2. それでもレオナルド
3. 原題


第9週では、レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』を取り上げます。

2010年7月25日レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』1 154

松浦先生は「あくまで私見なので」と断った上で(テキスト237ページ)、この作品がレオナルドへ帰属されていることに疑いの目を向けています。


1. 疑義の根拠


1) 顔


第8章で取り上げた下掲の『キリストの洗礼』の中に描かれた左端の天使の表情と、『受胎告知』に描かれたマリアの表情を比べてみましょう。

2010年7月25日レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』2 406


『洗礼』の天使は、イエスの脱いだ衣を丁重に抱きかかえ、イエスを真剣な眼差しで見つめています。

天使の表情からは、この歴史的な場面に当事者として参加している意識が伝わってきますよね。
天使の体全体から、愛情や温もりを感じ取ることが出来ると思います。

ところが『受胎』のマリアは、大天使ガブリエルを目の前にしてどこか他人事のような表情をしています。

冷静と言えば冷静なのですが、未知なるものに対する畏怖の念や戸惑いといったものが画面からは伝わってきません。

ガブリエルの表情もどこか素っ気なさが感じられ、劇的な場面と言うには今ひとつ迫力に欠けるような気もします。


2) 平凡な木々


ガブリエルの背後に描かれている木々は、どこか単調で「写実」とは言えない描き方になっていると思われます。

また、ガブリエルが降り立っている花壇の描写も稚拙の感は拭えませんよね。


2. それでもレオナルド


ただ現時点で、世界中の専門家達がこの作品をレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)に帰属させている理由も当然あるわけです。

例えば、マリアやガブリエルが身につけている衣装の写実的な表現技法は、容易に他者が真似出来ないものであろうと判断されています。

登場人物を人間らしく描くという、ルネサンスの精神を見事に具現した作品であることは疑う余地がありません。

レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)がこの作品を完成させたのは、1472年から1475年頃と推定されています。

前回取り上げた『キリストの洗礼』が1475年頃の作品とされていますので、ほぼ同時期の作品ということになりますね。


3. 原題


『受胎告知』は、イタリア語ではAnnunciazioneと言います。
annunciare Zが、Zを告げる、という意味で、そこから派生した語ですね。





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