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ピーテル・パウル・ルーベンス『ライオンたちのすみかにいるダニエル』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2013年07月01日(月)16時42分 | 編集 |
2013年7月1日(月)


目次
1. キュロス2世
2. ダレイオス大王
3. ライオンたちの穴
4. 原題


今回取り上げる作品は、ピーテル・パウル・ルーベンス作『ライオンたちのすみかにいるダニエル』です。

ピーテル・パウル・ルーベンス『ライオンたちのすみかにいるダニエル』225

1. キュロス2世


ダニエルが壁に現れた文字を解読した後、その夜の内に新バビロニア王ベルシャザルは殺されました。

そして文字で予言された通り、新バビロニアはキュロス2世が率いるアケメネス朝ペルシアによって滅ぼされました。

紀元前539年のことです。

キュロス2世はアケメネス朝ペルシアの初代王です(在位:紀元前550-紀元前529)。

アラビア半島北部の新たな支配者となったキュロス2世は、新バビロニアの宮廷に仕えていたダニエルをそのまま重用しました。


2. ダレイオス大王


時代は下り、アケメネス朝ペルシアは第三代の王ダレイオス1世(在位:紀元前522-紀元前486)の治世となりました。

ダレイオス1世はダレイオス大王とも呼ばれています。

ダニエルは引き続きダレイオス大王にも側近として仕えましたが、ユダヤの神への信仰は変わることなく保ち続けています。

知性に優れたダニエルはペルシア宮廷においても数々の功績を打ち立てます。
ダレイオス大王にとっては有能な部下を持っていることは結構なことです。

ところが異邦人のダニエルの名声が高まることは、ペルシア人側近たちにとっては必ずしも好ましいことではないのです。

そこでダニエルを陥れるために側近たちは次のような難癖をつけました。

「ダニエルは王を差し置いて神に祈りを捧げている。
これは禁令を犯している!」

ダニエルがユダヤの神に祈りを捧げている行為は、ペルシアの法令に違反するという申し立てです。
確かにこのような禁令がペルシアでは定められています。

そうすると王としてもダニエルを処罰せざるを得ません。
優秀であるがゆえに周囲からの妬みを買ったダニエルは刑罰を受けることになりました。


3. ライオンたちの穴


ダニエルに課せられた罰はライオンたちのすみかに一晩入るというものでした。

これはライオンによって食い殺されることを意味します。
事実上の死刑ですね。

法律の規定に則り、ダニエルはライオンたちの穴に入れられてしまいました。
ダニエルは絶望的な状況の中でユダヤの神に一心に祈りました。

そして夜が明けてペルシアの係官が入り口を塞いでいた重石をどけて中を覗いてみると、何とダニエルは生きていたのです。

ダニエルは刑に服し一晩中ライオンたちと共に過ごしました。
にも関わらず無傷のままで夜明けを迎えたのです。

ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)が描いているのは夜明けのダニエルの姿です。
無事に夜を過ごしこうして再び朝を迎えることが出来たことを神に感謝しているところです。

ルーベンスが描くライオンたちは全てが獰猛な表情を浮かべています。
神に選ばれなかった者であれば確実に食い殺されているはずです。

前景には頭蓋骨や骨が描かれています。
今までにここへ入れられた者は、全てライオンの餌食になっているということですね。

神に選ばれたダニエルはここでも奇跡を示したのです。

この後、ダニエルを陥れた奸臣たちはダレイオス大王の命により家族もろともライオンの洞窟へ投げ込まれました。

神に救われないその者たちはあっという間にライオンに飛びかかられ、骨までも噛み砕かれて死に至りました。


4. 原題


ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)が制作した『ライオンたちのすみかにいるダニエル』は、英語ではDaniel in the lions' denと言います。

a denは野獣のすみかという意味です。

この作品はワシントンのナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art, Washington, DC)で見ることが出来ます。




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