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アレッサンドロ・アッローリ『スザンナと長老たち』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2013年07月07日(日)14時24分 | 編集 |
2013年7月7日(日)


目次
1. 蛮行
2. 不当裁判
3. 神の裁き
4. 原題


今回取り上げる作品は、アレッサンドロ・アッローリ作『スザンナと長老たち』です。

アレッサンドロ・アッローリ『スザンナと長老たち』580


1. 蛮行


裁判官という立場も弁(わきま)えず、長老たちはスザンナの肉体に襲いかかりました。
アレッサンドロ・アッローリ(1535-1607)の作品では、向かって左の男がスザンナの右腕を封じ込めています。

向かって右の男は、左手をスザンナの股間の中へ押し入れようとしています。

スザンナの右脇腹を掴んでいる右手の四本の指は、気味が悪いほど細長いですね。
昆虫の脚のようです。

好色な醜い顔をスザンナの左の乳房に押し当てて、美貌の人妻の体を出来る限り触りまくらないと損だという意志が窺えます。

好色老人たちの股間はもう爆発寸前だったでしょう。
しかし結果的には、この老人たちはこれ以上の行為には及びませんでした。

徹底的に抵抗する姿勢を示したスザンナは、辛うじて貞節を守ることが出来ました。


2. 不当裁判


性欲を満たすことが出来なかった長老たちは、予めスザンナに告げた通りに彼女を不倫の罪で訴えました。
青年ダニエルとの密会現場を見たと偽証して、スザンナを死罪に陥(おとしい)れようと画策するのです。

謂(いわ)れのない咎(とが)によりスザンナは逮捕されます。
そして裁判にかけられるのですが、これは形式的にも完全なる不当裁判です。

なぜなら目撃者、告発者そして裁判官が全て同一人物だからです。

この長老二人の職業は裁判官です。
従って、彼らはスザンナの運命を自分たちの権限で左右出来る地位にあるわけです。

卑劣とはこのことです。

この長老たちは裁判官としての権威だけを振りかざす狼藉者です。
ところが残念ながら、「裁判官」がそのように証言しているのだから正しいのだろうと捉えるのが世論です。

無実のスザンナは絶体絶命の状況に追い込まれました。


3. 神の裁き


長老二人の目撃証言を裁判官でもある当人たちが決定的な証拠と認め、スザンナは死罪を言い渡されました。
完全なる冤罪です。

しかし、ここで神が青年ダニエルに発言権を与えました。
ダニエルが法廷で述べた言葉は、次のようなものでした。

「私はこの女性の血には責任はない。」

難しい言い回しですが、要するに密会はしていないということを述べたわけです。
このダニエルの異議申し立てにより、長老たちの告発が虚偽のものであったことが明らかになりました。

悪事を白日の下に晒された長老二人は、規定により処刑されることとなりました。
既(すんで)の所でダニエルが真実を公言したおかげで、スザンナは身の潔白を証明することが出来たのです。

美しいことが罪であるはずがありません。
美しいものに襲いかかってでも欲望を満たしたいという邪な心が悪なのです。


4. 原題


アレッサンドロ・アッローリ(Alessandro Allori)が制作した『スザンナと長老たち』は、フランス語ではSuzanne et les vieillardsと言います。

les vieillardsが男の老人たちという意味です。

この作品は、フランス東部に位置するブルゴーニュ地方の都市ディジョン(Dijon)にあるLe Musée Magninで見ることが出来ます。




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