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サンドロ・ボッティチェッリ『ベトリアへ帰還するユーディットと侍女』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2013年08月13日(火)15時33分 | 編集 |
2013年8月13日(火)


目次
1. 引き上げるユーディット
2. 史実なのか?
3. オペラ
4. 原題


今回取り上げるのは、サンドロ・ボッティチェッリ作『ベトリアへ帰還するユーディットと侍女』です。

サンドロ・ボッティチェッリ『ベトリアへ帰還するユーディットと侍女』454


1. 引き上げるユーディット


未明の内に陣営を抜けだしたユーディットと侍女は、ホロフェルネスの首を掲げて祖国の街ベトリアへと戻ります。

サンドロ・ボッティチェッリ(1445-1510)は、右手に剣を握り締め、胸を張って祖国の街へと向かうユーディットを描いていますね。

固く結ばれた口元に、ユーディットの意志の強さと計画を首尾良く実行した自信が見て取れます。
侍女は布でくるんだホロフェルネスの頭を自らの頭上に乗せて、ユーディットに付き従っています。

屈強なアッシリア軍に制圧されてしまうのでないか、という不安を抱えながら待っている同胞たちに、逆転勝利が間近であることを示しているわけです。

この後、将軍を失ったアッシリア軍はべトリアの街から退散することになるのです。


2. 史実なのか?


さて、旧約聖書外典に載っているこの話は本当にあった出来事なのかというと、疑問視する専門家が多いのも事実です。

まず、ユーディットたちが暮らすベトリアという街がどこにあるのかが不明です。
架空の町ではないかという説が通説となっています。

それからホロフェルネスを派遣したアッシリアのネブカドネザルを、新バビロニア王国の2代目の王であるネブカドネザル2世とする説があるのですが、これも疑わしいです。

実在したアッシリア王国には、ネブカドネザルという王がいたとは確認されていません。

また、史実としてのバビロン捕囚を行ったネブカドネザル2世(在位:紀元前605-紀元前562)をこの『ユーディット記』の登場人物であるネブカドネザルと同一視するには根拠が不十分です。

従って、現在ではこの『ユーディット記』に書かれていることは、架空の話ではないだろうかという意見が主流となっています。


3. オペラ


ユーディットの話とは関係ありませんが、ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が作曲したオペラ『ナブッコ』に登場するナブッコとは、新バビロニア王国のネブカドネザル2世のことです。

『ナブッコ』はイタリア語でNabuccoと綴りますが、原作となった戯曲の題名は『ナブコドノゾール(原題:Nabucodonosor)』と言います。

Nabucodonosorとはネブカドネザル2世のことです。

このオペラはある程度旧約聖書に記された史実を踏まえた内容になっていますので、舞台はエルサレムだったりユーフラテス河畔だったりします。

イタリア人は第3幕で歌われる合唱曲『行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って』に対する思い入れがかなり強いようですが、設定としてはこれはユダヤ民族の望郷の歌です。


4. 原題


サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)が制作した『ベトリアへ帰還するユーディットと侍女』は、イタリア語ではGiuditta e la sua ancella tornano a Betuliaと言います。

Giudittaはユーディット、ancellaは侍女という意味です。
tornanoは戻るという意味の動詞tornareの3人称複数形の活用です。


旧約聖書絵画シリーズは今回を持って完結となります。
これまで絵画シリーズ3部作としてギリシア神話絵画シリーズと旧約聖書絵画シリーズを発表して来ました。

次回からは最終シリーズとなる新約聖書絵画シリーズが始まります。




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