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ティントレット『受胎告知』
記事URL  カテゴリ | 新約聖書絵画 | 2013年08月29日(木)16時01分 | 編集 |
2013年8月29日(木)


目次
1. ティツィアーノの弟子
2. 驚愕するマリア
3. 口元を開くマリア
4. 黒い翼
5. 原題


今回取り上げる作品は、ティントレット作『受胎告知』です。

ティントレット『受胎告知』263


1. ティツィアーノの弟子


ティントレット(1518-1594)はヴェネツィア出身の画家で、ティツィアーノ(1485頃-1576)の弟子に当たります。

本名は別にあるのですが家業が染物屋(la tintoria)でしたので、そこからティントレット(Tintoretto)と呼ばれるようになりました。

『受胎告知』はティントレットが1585年前後に制作した作品ですが、先人に当たるレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)とサンドロ・ボッティチェッリ(1444-1510)が描いた『受胎告知』と比較してみましょう。


2. 驚愕するマリア


レオナルド・ダ・ヴィンチ 153


上掲のレオナルド・ダ・ヴィンチ作『受胎告知』におけるマリアの表情からは、異形の大天使を目の当たりにしているという驚きや恐怖は微塵も感じられません。

レオナルドの『受胎告知』からは、マリアの人間性というものはあまり感じられませんね。

もしかしたら大天使ガブリエルとマリアは既に面識があったのかしら、と疑りたくなるような描き方がなされています。

下掲のサンドロ・ボッティチェッリの『受胎告知』で描かれたマリアの顔つきにも、目を見開き恐怖の叫び声を張り上げるような人間らしさは表現されていないと思います。

サンドロ・ボッティチェッリ 316


一方ティントレットの描くマリアは上空を漂う異界の者への恐怖心が最大の主題になっていて、椅子から転げ落ちそうな臨場感が伝わって来ます。

一般人の感覚で受胎告知という場面を想像するならば、このティントレットの解釈が最も人間の女性らしい態度であると言えるでしょう。


3. 口元を開くマリア


ティントレット版受胎告知で描かれたマリアに人間らしさを決定的に与えているのは、彼女の開いた口元です。

恐らく16世紀初頭までの聖母マリアを題材とした制作現場においては、大天使を目の当たりにした恐怖によって我を忘れてしまい、口元が開いたままになっているマリアを描くという試みはほとんどなされなかったのではないかと思います。

たとえルネサンス様式を採用して人間らしさを如実に表現する意図が画家にあったとしても、聖母マリアの口元を開かせるまでには至らなかったのではないかと思います。

その意味ではこのティントレット(1518-1594)が描き切ったマリアの口元は、画期的な描写であっただろうと思われます。

異界の存在に接して動揺し驚愕し自分を見失う寸前のマリアを最も人間らしく描いたのは、ティントレットだと言えるでしょう。


4. 黒い翼


大天使ガブリエルの上方を漂う有翼の天使たちは光が当たっていないということもあるのですが、何だか気味悪いですよね。

黒い翼にする必要があるのでしょうか?
そして、こんなにたくさん空中に浮かばせる必要があるのでしょうか?

しかも、廃墟のような場所にマリアは暮らしていますよね。
この辺りの意図は、私にはよく分かりません。


5. 原題


ティントレットが描いた『受胎告知』は、イタリア語ではAnnunciazioneと言います。

この作品は、ヴェネツィアにあるサン・ロッコ大信徒会(Scuola Grande di San Rocco)が所蔵しています。
なお、この語句におけるScuolaは信徒会集会所という訳が当てられています。




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