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ジェイミー・フォックス主演映画『完全なる報復』を見た感想
記事URL  カテゴリ | 外国映画 | 2013年11月15日(金)14時16分 | 編集 |
2013年11月15日(金) 


11月6日(水)にテレビ東京で、ジェイミー・フォックス主演の映画『完全なる報復(原題:Law Abiding Citizen)』を見ました。

原題にあるlaw abidingは形容詞で遵法精神のある~という意味ですので、law abiding citizenは法律に従う市民という意味になります。

この場合の法律は、検察や判事と置き換えることが出来ます。

そしてこの原題には、裁判において有罪判決を得ることが出来た件数を増やすことで出世の階段を駆け上がって行く検事のあり方に対する皮肉が込められているのです。

ジェラルド・バトラーが演じるクライド・シェルトンはフィラデルフィアに家を構える有能なエンジニアで、妻と幼い娘と共に3人で幸せに暮らしていたのですが、ある日自宅に突如として侵入して来た2人組の男たちに暴行され縛り付けられてしまいました。

身動きが出来なくされたクライドの目の前で実行犯の一人はクライドの美人妻を強姦した上で殺害し、幼い娘も容赦なく殺害に及びました。

クライドは重傷を負いながらも一連の犯行を間近で見ており、犯人が逮捕された後、裁判の場で2人の暴漢は死刑になるものと確信していました。

ところが、残虐な殺人犯として起訴するための決定的な証拠が入手出来なかった検事のニック・ライスは、実行犯の一人クラレンス・ダービーと司法取引をして、公判において死刑ではなく懲役刑を求刑する見返りに有罪を認めるよう持ちかけました。

ニック・ライスを演じているのはジェイミー・フォックスです。

裁判長のローラ・バーチは実行犯の一人ルパート・エイムスに対しては死刑を宣告しましたが、司法取引に応じたクラレンス・ダービーは検察の求刑通り死刑にはせず数年の懲役刑に処しました。

クライドは、有罪率を上げるためにダービーとの司法取引を行った検事のライス及び検察の求刑を鵜呑みにした裁判長のバーチに対して強い義憤を覚え、この後復讐の鬼と化してこの裁判に関わった全ての司法関係者に対する報復殺人を繰り返して行くことになります。

不当判決から10年後、完全なる報復を果たすための準備が整ったクライドは、いよいよ一人ずつ関係者を抹殺して行くことにします。

まずは死刑になるべきだったクラレンス・ダービーへの恨みを晴らし、次にダービーの法廷弁護を担当した弁護士も標的にします。

さらに不適当な判決を下した裁判長のローラ・バーチを血祭りに上げ、ニック・ライスの部下サラ・ローウェルらを爆殺しました。

サラ・ローウェルを演じているのはレスリー・ビブです。

ジェイミー・フォックス主演映画『完全なる報復』を見た感想 252


検事のニック・ライスは裁判官や検事仲間などが次々に殺されて行く様子を目の当たりにして、いつ何時(なんどき)自分及び家族が狙われても不思議ではないという恐怖感を抱きます。

ニックにもクライドと同様に、妻と幼い娘がいました。
そしてクライドの復讐の手は、いよいよニックの妻と娘にも及ぶのです。

クライドは元々はこんな狂人ではありませんでした。
平凡な家庭人だったクライドをここまでの復讐鬼に変えてしまったのは、10年前に下された不当判決が原因です。

クライドにとって殺害された妻や娘の無念を晴らす唯一の方法は、実行犯が死刑判決を受け死刑が執行されることでした。

ところが、裁判結果は検事の出世欲が原因で捻じ曲げられたものとなり、司法取引に関与して懲役刑を勝ち取った弁護士は多額の報酬を得て豪勢な生活をしています。

また、間違った判決を下した判事は権力者の立場に安住して何の疑問も後悔も感じずに、これまで通りの暮らしを続けているのです。

少なくともクライドの目にはそのように映っていました。

法律に従う市民(law abiding citizen)とは、検察と判事の法的権力に服従せざるを得ない弱い市民という意味合いで使われています。

私たち市民は法的権力が行った誤審に対して服従し泣き寝入りすることが正しいのか、あるいはクライドのように自らの人生を捨ててでも私怨を晴らすことが正しいのか、人類普遍とも言える奥深い主題を扱っている作品です。

この映画は私的制裁の是非を問うだけでなく、死刑制度の存廃問題にまで踏み込んだF・ゲイリー・グレイ監督の意欲作だと思います。


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