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ヨアン・グリフィズ主演映画『アメイジング・グレイス』を見た感想
記事URL  カテゴリ | 外国映画 | 2013年12月23日(月)11時04分 | 編集 |
2013年12月23日(月) 


12月13日(金)にNHKBSプレミアムで、ヨアン・グリフィズ主演の映画『アメイジング・グレイス(原題:Amazing Grace)』を見ました。

ヨアン・グリフィズが演じるウィリアム・ウィルバーフォース(1759-1833)は奴隷貿易廃止を訴えたイギリスの国会議員です。

18世紀のイギリスは、リヴァプールとシエラレオネ及び西インド諸島を結ぶ三角貿易を行っていました。
シエラレオネはアフリカの大西洋岸に位置する国で1961年に独立するまではイギリスの植民地でした。

イギリス人がアフリカで購入した黒人は奴隷化され西インド諸島における砂糖精製所に売却され、イギリス人が消費する砂糖を生産するために過酷な労働を強いられていました。

当時のイギリス人の大半はそのことを疑問にも思わず、ウィリアム・ウィルバーフォース(William Wilberforce)のように奴隷貿易廃止を訴える人は少数派でした。

ウィルバーフォースと同時期にイギリス王位にあったのはジョージ3世(在位:1760-1820)です。

ウィルバーフォースは自分同様奴隷制に反対の立場を取っているバーバラ・スプーナーと出会い、1797年に結婚しています。

バーバラを演じているのはロモーラ・ガライです。

ヨアン・グリフィズ主演映画『アメイジング・グレイス』を見た感想 401


かつて奴隷船の船長として奴隷貿易の最前線に立っていたジョン・ニュートン(1725-1807)は、シエラレオネから西インド諸島に到着するまでの間、船の中に閉じ込められた奴隷たちがどんな劣悪な環境に置かれていたかを知っており、やがて非道な職務に嫌気が差して船長を辞め聖職者の道を歩むことになります。

その後イギリス国教会の牧師となったジョン・ニュートンは1779年に讃美歌集を出版しているのですが、この賛美歌集の中に『アメイジング・グレイス』が収録されているのです。

映画の題名は『アメイジング・グレイス』ですが、映画の主題は賛美歌とはあまり関係がなくウィルバーフォース下院議員の半生に焦点を当てています。

ウィルバーフォースはジョン・ニュートンと親交があり、奴隷船の悲惨な状況を元船長から直接聞かされていました。

奴隷貿易を廃止することが議員としての一義的な使命と痛感したウィルバーフォースは、ケンブリッジ大学で知り合って以来の親友ウィリアム・ピットらと力を合わせて奴隷貿易廃止法案を策定し議会を通過させるべく奮闘します。

ウィリアム・ピット(1759-1806)は、父親と同姓同名のため区別するために小ピット(William Pitt the Younger)と呼ばれています。

小ピットは24歳で首相となり第一次内閣を組閣し(任期:1783-1801)、フランス革命後に成立した革命政権を嫌悪してフランスに対しては強硬姿勢で臨み、国王を戴くイギリスが政治的に進むべき方向性を示した政治家です。

第二次内閣を組閣した小ピットは(任期:1804-1806)、ナポレオン政権に対抗するために神聖ローマ帝国などと協調して第三次対仏大同盟を結成しましたが想定した成果を上げることは出来ず、奴隷貿易廃止法案も未決のまま失意の中で1806年に病没します。

ウィルバーフォースらが使命と考えた奴隷貿易廃止法案は、ようやく1807年に国王ジョージ3世の裁可を受けて成立しました。

映画ではここまでの出来事が描かれていますがイギリスの奴隷制度自体はこの後も続いており、奴隷制廃止法がイギリス議会で成立したのは1833年のことです。

国王はウィリアム4世(在位:1830-1837)でした。

ウィルバーフォースは1825年に病に倒れて議員辞職しており、奴隷制廃止法が成立する1ヶ月前に死去しています。


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