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フアン・デ・フランデス『キリストとサマリアの女』
記事URL  カテゴリ | 新約聖書絵画 | 2014年02月11日(火)14時18分 | 編集 |
記事のタグ: ルーヴル美術館
2014年2月11日(火) 


目次
1. サマリア人とは何か?
2. 分け隔てしないイエス
3. 原題


今回取り上げる作品は、フアン・デ・フランデス作『キリストとサマリアの女』です。

フアン・デ・フランデス『キリストとサマリアの女』492


1. サマリア人とは何か?


古代イスラエルの第3代王ソロモン(在位:紀元前965-紀元前925頃)が亡くなった後、王国は南北に分裂しました。
北はイスラエル王国、南はユダ王国と呼ばれています。

イスラエル王国はサマリアを首都として不安定ながらも国家体制を維持していました。
しかし紀元前721年にアッシリアのサルゴン2世(在位:紀元前722-紀元前705)によって滅ぼされてしまいます。

サマリアにいたイスラエル王国の大多数の人々は奴隷としてアッシリアへと連行されました。
その後サマリアはアッシリア人の植民地と化しました。

サマリアの地に残った一部のユダヤ人たちと新たに移住して来たアッシリア人との間には、多くの混血児が生まれることになります。

このユダヤとアッシリアの混血児たちをサマリア人と呼んでいます。
そして正統なるユダヤ人たちは、後にこのサマリア人を差別し迫害していくことになるのです。

なぜなら、サマリア人には憎き敵であるアッシリアの血が入っているからです。
さらにサマリア人はユダヤ教の伝統を軽視し、アッシリアの宗教を受容する姿勢を示しました。

宗教的に異なる方向へ突き進んだサマリア人を正統なるユダヤ人が許容するということはあり得ないわけです。


2. 分け隔てしないイエス


フランドルの画家フアン・デ・フランデス(1460頃-1519頃)が描いているのは、井戸端でサマリア人女性に水をもらおうとして声をかけているイエスの姿です。

ユダヤ人がサマリア人に声を掛けるというのは、当時のユダヤ人の感覚からするとあり得ないことです。
サマリア人からしても、ユダヤ人に話しかけられるということはまず経験したことがないぐらいのことです。

それぐらいユダヤ人とサマリア人は仲の悪い間柄だったわけです。
しかしイエスはそのような分け隔ては一切しません。

イエスは民族や国家などという枠組みにとらわれることなく教えを広めていました。

イエスは水を飲みたいと思った時に井戸端にいた女性に頼んだだけなのです。
偶然その女性がサマリア人だったというだけです。

他のユダヤ人であれば、水を飲みたくても相手がサマリア人なら話しかけずに水を飲むことを我慢するはずです。
なぜならユダヤ人にとってサマリア人は差別すべき対象だからです。

イエスは説法の中でこういったユダヤ人の視野の狭さを徹底的に批判しました。
批判するだけでなく、この話のように実際にサマリア人との関わりを持ちました。

イエスの教えには対象となる相手を差別するという側面はありません。
ここがユダヤ教とキリスト教の決定的な違いだと思われます。

イエスはこのサマリア人女性に次のように言いました。

「この水を飲む者は誰もがまた渇く。しかし私が与える水を飲む者は渇くことがないのだ。」


3. 原題


フアン・デ・フランデス(Juan de Flandes)が描いた『キリストとサマリアの女』は、フランス語ではLe Christ et la Samaritaineと言います。

この作品はルーヴル美術館(Musée du Louvre)で見ることが出来ます。




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