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唐沢寿明主演ドラマ『白い巨塔』を見た感想
記事URL  カテゴリ | 日本ドラマ | 2014年02月12日(水)16時22分 | 編集 |
2014年2月12日(水) 


1月14日(火)から28日(火)までフジテレビで、唐沢寿明主演のドラマ『白い巨塔』を見ました。

元々このドラマはフジテレビで2003年10月から2004年3月までに全21回で放映されたドラマです。

原作本である山崎豊子著『白い巨塔』は週刊誌『サンデー毎日』に1963年から連載されたもので、1968年1月から1969年1月にかけて行われた東大紛争にも大きな影響を与えたと言われています。

『白い巨塔』はこの唐沢寿明版を含めてこれまで3度、テレビの連続ドラマになっています。

1回目は佐藤慶が主演で1967年にNETテレビで放映されました。
NETテレビは現在のテレビ朝日の前身です。

2回目は田宮二郎が主演で1978年にフジテレビで放映されました。

さて、唐沢寿明が演じる財前五郎は42歳で国立浪速大学医学部第一外科の助教授です。

ドラマの前半では財前助教授が岳父の財前又一らの協力を得て、第一外科教授の椅子を手に入れるまでが描かれます。

国立大学の医学部外科では、医師としての学識や手術の腕前よりも人間関係や政治力あるいは資金力によって教授になれるかどうかが決まるという知られざる世界を白日の下に晒しています。

ドラマの後半では財前教授が手術を行った患者が急死し、遺族が治療方針の説明不足を不服として財前を訴えるという医療過誤裁判が描かれています。

前半の白熱した教授選に比べると後半の裁判はやや冗長ぎみで、財前側が公判を有利に進めるためにあれこれと姑息な手段に打って出る様子が事細かに描かれている一方、財前が外科医としての卓越した腕を振るう場面はほとんど描かれていませんでした。

『白い巨塔』は医療ドラマというよりは医学部に勤務する人々の人間関係ドラマであり、医療よりむしろ政治に重きが置かれていると感じました。

その一つの証左として、財前助教授の師匠である東(あずま)貞蔵第一外科教授は財前を教授にさせないために様々な対策を打つのですが、日本外科医学会会長で東都大学第二外科主任教授の船尾悟から政治工作の稚拙さを指摘される場面が描かれています。

東教授はどちらかというと学究肌であり、弟子の財前が華々しく手術の成果を上げて行く姿を間近で見て嫉妬を越えて憎しみに近い感情を抱いています。

弟子が自分を上回る名声を得ていく事実を素直に受け入れられない俗物・東貞蔵を石坂浩二が好演しています。
医学部に限らず、こういう小人物の上司って世の中にたくさんいるんでしょうね。

幼い頃から苦学を重ねようやく国立大学医学部教授という地位を得た財前は、生涯を通じて全力で働き続けた人間でありまだまだやり残したことがあったため、40代後半という若さでこの世を去ることは到底受け入れられなかったはずです。

いつの時代でも人生の目標を見つけられず技術を磨く努力を厭い漫然と生きている若者が多い中、財前は浪速大学医学部に合格して奨学金を得ながら優秀な外科医になるための道を邁進していきます。

財前が子供の頃に父親が他界した後、実母の黒川きぬは内職をして岡山の県立高校へ進学させてくれました。
黒川きぬは池内淳子が演じています。

財前が妻の杏子と一緒に西宮市夙川の豪邸に住んでいる一方、きぬは実家である岡山県和気郡に一人で暮らしています。

財前は給料の一部を仕送りしており、母親への電話連絡も欠かしません。

財前五郎は野心家で目立ちたがり屋であるという側面が強調されがちですが、野心の裏付けとなる技術の鍛錬を怠らず学業を疎かにせず、40代後半で亡くなるまで人一倍働いて何千人という患者の命を救って来たのです。

財前が肺がん及び脳へのがん転移で死んだ後、きぬが病室に到着し「五郎、よく頑張ったねえ。ご苦労様でした。」と亡骸に向かって労(ねぎら)いの言葉をかける名場面があります。

このドラマが最初に放映された2004年の時点ではまだ30代後半だった私も、現在では財前の年齢と同じ40代後半になり、きぬのこの慈愛に満ちた台詞はまるで自分に言われているように感じて深く感情移入しました。

財前五郎が心から信頼を寄せて深く愛した女性は妻の杏子ではなく、バーの経営者・花森ケイ子です。

黒木瞳が演じる愛人の花森ケイ子は立場的に財前が亡くなった直後の病室には入ることが出来ず、寂しく病院の廊下を歩いて去って行く場面があります。

妻以上に財前を思い心を通わせ性的にも満足させて来たケイ子が、愛人という立場的なものが理由で死に目に会えないというこの世の現実が淡々と描かれていて、かえって心に深く残りました。


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