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ピーテル・パウル・ルーベンス『キリスト昇架』
記事URL  カテゴリ | 新約聖書絵画 | 2014年06月22日(日)20時30分 | 編集 |
2014年6月22日(日) 


目次
1. フランダースの犬
2. アントウェルペン大聖堂
3. 人間の残虐性
4. 原題


今回取り上げるのはピーテル・パウル・ルーベンス作『キリスト昇架』です。

ピーテル・パウル・ルーベンス『キリスト昇架』216


1. フランダースの犬


ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)が描いたこの作品は『キリスト降架』という作品と共に、1975年に放送されたテレビアニメ『フランダースの犬』の最終回で登場しました。

主人公ネロが吹雪の中、最後の力を振り絞ってアントウェルペン大聖堂を訪れ、念願叶ってルーベンスの当該作品を見た後、天に召されるという筋書きでした。

愛犬パトラッシュもネロに寄り添って冷え切った大聖堂の中で死んで行くという悲劇的な結末が視聴者の涙を誘ったのでした。

1975年というと私はまだ小学生でした。
ルーベンスやベルギーの何たるかも知らず毎週テレビで『フランダースの犬』を見ていました。

原作の小説『フランダースの犬』(原題:A Dog of Flanders)はイギリス人作家ウィーダ(Ouida)が1872年に書き上げたものです。

現在も『キリスト昇架』と『キリスト降架』の2枚の作品はアントウェルペン大聖堂で見ることが出来ます。


2. アントウェルペン大聖堂


アントウェルペンとはベルギーの都市の名前です。

現地の公用語であるオランダ語で読むとアントウェルペン(Antwerpen)になりますが英語読みをするとアントワープ(Antwerp)です。

2004年の秋に私はクラブツーリズムのパックツアーに参加して実際にアントウェルペン大聖堂へ行って来ました。

小学生の頃とは異なりベルギーの何たるかは多少は知っていましたが、ルーベンスの何たるかはほとんど分かっていませんでした。

2004年当時の私にとっては絵画とはあくまでも「見るもの」でしたので案内者の説明を聞きながら『キリスト昇架』と『キリスト降架』を眺めて、それで終わりでした。

私にとって絵画が「見るもの」から「学ぶもの」へと変わったのは、このブログにおいて絵画シリーズを始めた2010年からなのです。

絵画関連の最初の投稿記事は、2010年5月19日の『ジョット・ディ・ボンドーネ『天使と聖人を伴なう玉座の聖母子』』です(loro2012.blog)。


3. 人間の残虐性


ルーベンスに限らず十字架上のイエスを描いた絵画を見るといつも思うことがあります。
それは、人間とはここまで他者に対して残酷な仕打ちを行えるものなのだろうかという疑問です。

イエスを十字架に架けた者たちはイエスの両掌に釘を打ち込み両足を重ねてその上から釘を打ち込んでいます。

ルーベンスはイエスの手足から出血する量を抑え気味に描いていると思われますが、実際には夥(おびただ)しい量の出血が見られたのだろうと思います。

ルーベンスの描く男性像はイエスも含めて皆が筋骨逞(たくま)しいですよね。
聖書の話から想像する限りではイエスはもう少し貧相な肉体をしていたのではないかと思います。

ルーベンスはイエスのことを十字架を設置しようとする屈強な男たちに負けないぐらいの肉体美を誇る存在として捉えていたのでしょうね。

私はキリスト教徒ではありませんが、このイエスの磔刑(たっけい)という歴史的事実は絵画などを通して何度も目にしていますので、異民族の昔話という捉え方は出来ません。

人間という生き物の残虐性を知るという意味でも、こういった名画は後世に残していかなければならないと思っています。


4. 原題


『キリスト昇架』は英語ではThe Elevation of the Crossと言います。

the elevationは持ち上げること、the Crossは十字架という意味です。
The Raising of the Crossと呼ばれる場合もあります。




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