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ジョアッキノ・アッセレート『タンタロス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年06月30日(木)16時20分 | 編集 |
2011年6月30日(木)


目次
1. リュディア王タンタロス
2. ネクタルとアンプロシア
3. ペロプス殺害
4. 未来永劫の渇きと飢え
5. ペロプス復活
6. 原題


今回取り上げる作品は、ジョアッキノ・アッセレート作『タンタロス』です。

2011年6月30日ジョアッキノ・アッセレート『タンタロス』+Tantalus_Gioacchino_Assereto_circa1640s_convert_20121211162153

1. リュディア王タンタロス


タンタロスは、リュディアの王です。
リュディアは、現在のトルコ西部に同定されています。

タンタロスの父は、クロノス、ゼウス、オケアノスなど諸説あります。
タンタロスは、妻エウリュアナッサとの間にペロプスを儲けます。

ペロプスは後年リュディアを離れ、ペロポネソス半島の西部地域を支配する王となりました。
ペロポネソスとは、ペロプスの島という意味です。

ペロプスの息子には、テセウスの祖父にあたるトロイゼン王ピッテウスがいます。
系譜を示します。

タンタロス→ペロプス→ピッテウス→アイトラ→テセウス


2. ネクタルとアンプロシア


タンタロスは人間でしたが、ゼウスと親交を持ち、オリュンポスで開催される神々の饗宴に招かれることもありました。

オリュンポスでの饗宴において、タンタロスは、ネクタルと呼ばれる神酒やアンプロシアと呼ばれる神饌(しんせん)を口にすることを許可されていました。

ネクタルとアンプロシアを口にしていたタンタロスは、やがて不死の体を得ました。
後に、この不死の体を得たことがタンタロスには災いとなります。

タンタロスは饗宴の帰り際に、ネクタルとアンプロシアを神々の目を盗んで懐に入れるという行為を繰り返していました。

窃盗の常習犯ですね。

そして、ネクタルとアンプロシアをリュディアに持ち帰った後、周囲の者に配ったりしていました。

他の者達が手にすることの出来ないネクタルやアンプロシアを気前よく配ることで、タンタロスは自分の存在価値を高めようとしていたわけです。

持ち出し禁止だと分かっていながら、平気で盗みを行い、元手ゼロで、部下たちに恩を売っていたわけです。

悪党とは、このことです。

権力者の寵愛を受けた者が、次第に奢りたかぶって、分別を弁(わきま)えない行動に出たわけですね。

いつの時代でも、こういう勘違いをしている人間がいるのです。


3. ペロプス殺害


タンタロスの無分別は、まだまだ続きます。

ある時、タンタロスは神々をリュディアの宮廷に招きました。
タンタロスは、宮廷料理を用意するに当たり、その暴君ぶりを遺憾なく発揮します。

何と、あろうことか、息子ペロプスを殺害し、その人肉を切り刻んで、神々に提供するシチューの中に入れたのです。

デメテルを除く神々は、シチューの中身に気づいて手を付けませんでした。

しかしデメテルは、娘ペルセポネをハデスに誘拐されて精神的に塞ぎ込んでいた時期だったため、そのシチューの中身にはさしたる関心を払わず、そのまま口にしてしまったのでした。

ペルセポネの誘拐事件については、2011年5月13日(金)の記事『ピーテル・パウル・ルーベンス『ペルセポネの略奪』 loro2012.blog.fc2.com』を参照して下さい。

ネクタル盗難事件や、デメテルのシチュー事件などが神々の怒りを招き、タンタロスはタルタロスへと送られることになりました。


4. 未来永劫の渇きと飢え


タルタロスに到着したタンタロスには、永劫の処罰が待ち受けていました。

タンタロスは、沼の上に枝を広げた果樹に、その体を吊るされることになりました。
沼の水は徐々に満ちて、やがてタンタロスの顎までは届くようになります。

そこでタンタロスが水を飲もうと水面に口を近づけた途端、水位は一気に下がってしまうのです。
これでは、タンタロスは渇きを癒すことが出来ません。

また、タンタロスが枝に実っている果実に手を伸ばそうとした途端、下から風が巻き起こり果実は手の届かない位置まで上昇します。

これでは、タンタロスは飢えを凌ぐことが出来ません。

タンタロスはリュディア王だった時に、不死の体を得ていました。

この不死の体が徒(あだ)になり、タンタロスは死ぬことも出来ず、水と果実が手に入らない状況の中で未来永劫生き続けることになったのです。

イタリアの画家ジョアッキノ・アッセレート(1600-1649)は、タンタロスが果実を口にしようとしている場面を描いています。

果実は、タンタロスの目の前にあります。
しかし、この距離が絶対に縮まらないために、タンタロスは果実を口にすることが出来ないのです。

わずか数センチの距離ですが、タンタロスにとっては永遠に埋めることの出来ない隔たりとなっています。

英語でtantalizeは、「(相手が欲しい物を)見せびらかして焦(じ)らす」という意味ですが、このタンタロスの話が語源になっています。

どうせ手に入らないのであれば、その対象物が目に入らない方が幸せですよね。
目の前に欲しい物があるのに、意地悪をされて手に入らないのは、精神的にも疲れ果てていきますね。


5. ペロプス復活


ゼウスはこのようにして、傲慢なタンタロスに罰を与えました。

その後、ゼウスは、タンタロスによって殺された息子のペロプスについては、ヘルメスに命じて切り刻まれた体をシチューの中から寄せ集め、生き返らせる処置を取りました。

ただ、デメテルが左肩の肉にあたる部分を食べてしまったので、生き返ったペロプスには、その部位だけが不足しています。

そこで、デメテルは象牙で出来た肩をペロプスに与えました。

こうして、ペロプスは再び命を獲得したのでした。

ペロプスが復活したことにより、後に、ミノタウロスを退治することになるテセウスが、この世に生を享(う)けることにつながっていきます。

もう一度、系譜を示します。

タンタロス→ペロプス→トロイゼン王ピッテウス→王女アイトラ→テセウス


6. 原題


ジョアッキノ・アッセレート(Gioacchino Assereto)が描いた『タンタロス』は、英語ではTantalusと言います。

この作品は、ニュージーランド北部の街オークランド(Auckland)にあるオークランド美術館(Auckland Art Gallery)で見ることが出来ます。







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