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ピーテル・パウル・ルーベンス『テレウスの宴』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年07月23日(土)16時36分 | 編集 |
記事のタグ: プラド美術館
2011年7月23日(土)


目次
1. アレスの子テレウス
2. アテナイ王女ピロメラ
3. ピロメラ強姦事件
4. タペストリー
5. 懺悔とは何か?
6. プロクネとピロネラの、その後
7. 原題


今回取り上げる作品は、ピーテル・パウル・ルーベンス作『テレウスの宴』です。

2011年7月23日ピーテル・パウル・ルーベンス『テレウスの宴』 47mythol

1. アレスの子テレウス


テレウスは、トラキアの王で軍神アレスの子です。
系譜を示します。

ゼウス→アレス→テレウス


トラキアは、現在のバルカン半島東部に同定されています。

ギリシア中部の国アテナイとテーバイとの間で、国境線を巡り紛争が起きました。

アテナイ王パンディオンは、テーバイ王ラブダコスを打ち負かすために、トラキア王テレウスに援軍を求めます。

テレウスの協力でテーバイとの戦争に勝利したパンディオンには、娘が二人いました。
長女はプロクネ、次女はピロメラといいます。

パンディオンは協力してくれた見返りとして、長女のプロクネをテレウスに差し出しました。

なお、この戦いで敗れたテーバイ王ラブダコスの孫が、オイディプスです。
系譜を示します。

ポセイドン→アゲノール→カドモス→ポリュドロス→ラブダコス→ライオス→オイディプス


2. アテナイ王女ピロメラ


トラキアにやって来たプロクネは、夫テレウスとの間に息子のイテュスを生みました。
しばらくは平穏な日々が続いていたのですが、ある日、事件が勃発します。

プロクネの妹ピロメラが、アテナイからトラキアへと、姉を訪ねて来ました。
姉妹は、久々の対面に喜びます。

その傍らで、ピロメラの豊満な肉体を見て、喜んだ人物がいました。
トラキア王テレウスです。

テレウスは、日頃、プロクネとセックスをしていましたが、毎度同じセックスの繰り返しで、プロクネの体にも飽きてきた頃でした。

そこへ、プロクネよりも若い、熟れた体のピロメラが現れたわけです。
権力者テレウスが、指を咥えて遠くから見守っているはずがありません。


3. ピロメラ強姦事件


テレウスは、プロクネが席を外している隙を狙って、言葉巧みにピロメラを連れ出します。
そして、人目につかない小屋に連れ込んで、強姦しました。

姉プロクネの異国での生活ぶりを見に来ただけのピロメラは、不幸にも、テレウスの毒牙にかかってしまいました。

権力者の性欲ほど、手に負えないものはありません。

一般の男性でも、権力者と同様に性欲は強いのですが、大人としての分別を持っているため、強姦などを妄想することはあるかも知れませんが、実行など決してしません。

ところが、権力者の地位に君臨する男どもは、自分なら何をやっても許されると勘違いしているフシがあります。

特に、セックスに関しては、分別など葬り去って、やりたいようにやる、という人生を選ぶのが権力者の常です。

権力者は、一般男性と比べると、日々、衆人環視の中で命の危険を感じながら生きているわけですから、過度にストレスが溜まることは理解できます。

また、そのストレス解消のために、一般男性以上にセックスによる快楽を求め、マンネリ化したセックスを避けるために、複数の女性を囲っておくという行動に出るのも、まあ、一歩譲って、認めてやってもいいかも知れません。

なぜなら、囲われている女性たちには、一応の同意がありますし、その権力者は、自分が囲った女性たちの経済面は、ちゃんと不足がないように面倒を見ているはずだからです。

権力者の経済力のほとんどの部分は、不正の蓄財によって維持されているわけですが、まあ、それでも、司法の目を誤魔化す狡賢(ずるがしこ)さを発揮して、時代の流れを読む先見性がある人物であるという評価も出来るかも知れません。

けれど、女性の気持ちや体調を丸っ切り無視して、衣服を剥ぎとって強姦に及ぶことは、たとえ権力者であっても許されません。

仮に、そんな蛮行に及んだのであれば、その権力者は賠償責任を果たした上で、死をもって償うべきです。


4. タペストリー


強姦されたピロメラは、射精を終えたばかりのテレウスに対して、この件を公表すると言いました。

強姦事件を公表されたら、王としての威厳を損なうと考えたテレウスは、即座に、ピロメラの舌を切り落としたのです。

これでピロメラは発言を封じられ、そのまま小屋に幽閉されてしまったのでした。

舌を切られたピロメラは、姉プロクネに強姦事件の存在と自分の居場所を知らせるため、タペストリーを作成します。

タペストリーとは、壁掛けなどに使われる室内装飾用の織物の一種です。
色とりどりの糸で、風景や人物像などを織り出す点に特徴があります。

ピロメラが織り上げたタペストリーは、小屋を管理している王の下男(げなん)によって、王妃プロクネの手元に届けられました。

その下男は、王から一切の事情は知らされず、小屋にいる女性の身の回りの世話をするよう命じられていたのです。

一方、プロクネは、ピロメラが突如として姿を消したので、その身を案じていたのでした。
届けられたタペストリーの真意を見抜いたプロクネは、妹ピロメラの置かれている状況を理解します。

プロクネは、早速、小屋に赴き、閉じ込められているピロメラを救出しました。
そして、二人で王テレウスに報復する手段を相談します。

その結果、王子のイテュスを殺害し、釜で煮ることにしたのです。


5. 懺悔とは何か?


プロクネとピロメラは、イテュスを殺害した後、料理の中にイテュスの遺体を混ぜ、テレウスの食事として供しました。

ルーベンス(1577-1640)が描いているのは、イテュスの首をテレウスに投げつけようとしている姉妹の姿です。

向かって左端に描かれているのが、トラキア王テレウスです。

テレウスは、食材の中身が息子の遺体であることを知りました。
そして、右手に掴んだ刀で、姉妹を殺害しようとしています。

この期に及んでも、テレウスは自分の地位を守ることしか考えていません。
自分にとって不都合な真実を知る姉妹は、殺してしまえば良いという暴論の持ち主です。

権力者とは、懺悔という言葉とは無縁の者、という定義ができるかも知れませんね。
人間というのは、お金と人事権を持てば持つほど、謝罪の気持ちは薄れていくものなのでしょうね。

謝罪とは、賠償責任の履行である、これが私の持論です。


6. プロクネとピロネラの、その後


さて、剣を振り回す暴君テレウスの魔の手から、もうこれ以上は逃げ切れないと判断した姉妹は、鳥の姿に変えて欲しいと神に祈りました。

そして、2人の切なる祈りは、神に通じました。

姉プロクネは、ナイチンゲールになりました。
ナイチンゲールは、サヨナキドリと呼ばれる場合もありますね。

妹ピロメラは、ツバメになりました。

強姦魔テレウスは、賠償責任の履行など、さらさらする気がありません。
そんなテレウスは、罰として、ヤツガシラという鳥に姿を変えられました。


7. 原題


ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)が描いた『テレウスの宴』は、スペイン語ではBanquete de Tereoと言います。

Banqueteは、宴会という意味です。

この作品は、プラド美術館(Museo Nacional del Prado)で見ることが出来ます。







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