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Claude Deruet『アマゾン族の出発』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年08月08日(月)16時52分 | 編集 |
記事のタグ: メトロポリタン美術館
2011年8月8日(月)


目次
1. アマゾン族のセックス
2. 男たちの末路
3. 軍事組織としてのアマゾン族
4. アンティオペの死
5. 原題


今回取り上げる作品は、Claude Deruet作『アマゾン族の出発』です。

2011年8月8日Claude Deruet『アマゾン族の出発』 EP1008

1. アマゾン族のセックス


女性だけのアマゾン族が、どうやって子孫を繁栄させているのかについて、触れておきましょう。

アマゾン族の女性たちが、どれだけ剛毅で頭脳明晰であったとしても、男性とセックスをしなければ、子孫の繁栄はありません。

そこで、彼女たちは、常日頃、アマゾンの領土を侵犯した男たちを捕虜にして、セックスの相手をさせていたのです。

日常的に、道に迷い、意図せずに領土侵犯してしまう男は、後を絶ちません。

アマゾン族とは関係ありませんが、2011年7月20日(水)の記事『ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『ディアナとアクタイオン』 loro2012.blog.fc2.com』で紹介したアクタイオンなどは、その好例と言えるでしょう。

このような不注意な男がたくさんいてくれるおかげで、彼女たちは、子孫を残すための道具としての男性には、事欠かないわけです。

その意味では、オレイテュイアは、テセウスが姉アンティオペを捕虜として連行した事件について憤(いきどお)っていましたが、自分たちが普段、男たちに対してしていることを考えると、大差ないわけですね。

人間の得手勝手さというのは、古代ギリシアの頃から発揮されていたのです。


2. 男たちの末路


なお、アマゾン族に捕まった男たちは、セックスの相手をさせられた後、女性の懐妊が確認できた時点で殺されていきました。

そうとは知らない男性たちは、複数の女性たちと、ただでセックスが出来る環境をむしろ歓迎し、夜毎のセックスに励みました。

3ヶ月ほどのセックス三昧の日々を楽しんだ後、哀れ、男たちは女性たちの策略も知らず、寝込みを襲われて、命を落としていったのです。

アマゾン族が男を殺した理由ですが、あくまでも、アマゾン族は女性だけで構成され、子孫繁栄以外の分野では何ら不都合のない体制が維持されていましたので、その中に見知った男性がいつまでも存在していると、秩序が乱れると判断されたからなのです。

秩序が保たれている状態を平和と呼びますが、平和を乱す原因を作るのは、いつの時代でも、決まって異分子なのです。

異分子は、やがては排除される運命にあります。

アマゾン族にとって必要なのは、差迷い込んだ男たちが有する子種(こだね)だけです。

首尾よく妊娠できた後は、彼女たちは、当該男性と、もはや寝起きを共にするつもりはありませんし、彼らの日常的な世話など、するはずもありません。

もちろん、そんな男に対して、彼女たちがそれ以上、セックスを許すことなど、あり得ないわけです。

男たちは、セックスの際、主導権を握って優位に立っているように錯覚していますが、アマゾン族の女性たちには、セックスを楽しむ意志も、オーガズムを味わいたいという欲求も、さらさらありません。

アマゾンの女性たちが、セックスの最中に思わず漏らす吐息や愛液は、人間の女性としての自然な反応に過ぎません。

彼女たちは、偉そうな態度でセックスをしている男に対して、ほんの僅かな愛情すらも抱いてはいないのです。

男の機嫌を損ねないように、自分たちの策略が見抜かれないように、セックスに対して適当に感じているフリをしているだけです。

しかし、男にはそのアマゾン族の真意が見抜けず、自分のセックスによって女性がオルガスムスを得たのだと勘違いをしているのです。

おめでたい男たちです。


3. 軍事組織としてのアマゾン族


アマゾン族においては、元々、セックス以外の分野は、国家防衛ですらも女性だけで不都合なく運営できているわけですから、子作りというただ一つの役目を果たし終えた男性は、組織にとっては用済みになるわけです。

また、それなりに腕力を有する男性は、女性たちにとって侮(あなど)れない存在でもありますので、万一の場合に備えて、早めに方(かた)を付けておいた方が、後顧(こうこ)の憂いがないというわけです。

それから、生まれた子が男の子であった場合には、アマゾン族にとって不必要な存在ですので、オイディプスのように山中に放置されて、野の獣たちの餌食となりました。

なお、オイディプスは、山中に捨てられた後、奇跡的に生き延びたのですが、そのあたりの経緯は、2011年7月24日(日)の記事『フランツ・フォン・シュトゥック『スフィンクス』 loro2012.blog.fc2.com』を参照して下さい。

フランスの画家Claude Deruet(1588-1660)は、武装したアマゾン族が、男たちを打ち破っている場面を描きました。

画面前景の向かって右端では、緑色の衣服や赤い衣服を身につけたアマゾン族の女性たちが、右手に槍を持って、男たちを突き殺しています。

画面向かって左端には、白馬に乗った女性が描かれていますが、兜や盾など、所持品からして、アマゾン族の女王かも知れません。


4. アンティオペの死


さて、テセウスからアテナイ王妃という破格の扱いを受け、一人の女性として愛されたアンティオペは、祖国アマゾンに弓を引いてでも、アテナイの街を守ろうとしました。

姉アンティオペの、そうした姿を見た妹のオレイテュイアは、裏切り行為と解釈して愕然としますが、こうなったら、もはや両者ともに後には引けません。

そして、戦争の序盤において、アンティオペは、敵の矢を受けて死にました。

オレイテュイアは複雑な気持ちを抱えながら、そのまま戦争を続行し、テセウスも、自分の子を産んでくれた女性を失った悲しみを堪(こら)えながら、戦争の指揮を執り続けました。

この戦争は四ヶ月に渡り、アテナイ軍は最終的に勝利を収めることが出来ました。
テセウスは、勝つには勝ちましたが、またしても近親者を失いました。

かつて、アリアドネと別れ、父アイゲウスを失い、今度は、妻アンティオペを亡くす・・・、テセウスの不幸は、これだけでは留まらず、まだまだ続くのです。


5. 原題


Claude Deruetが描いた『アマゾン族の出発』は、英語ではDeparture of the Amazonsと言います。

この作品は、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)で見ることが出来ます。







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