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Laurent de La Hyre『テセウスとアイトラ』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年07月06日(水)16時40分 | 編集 |
2011年7月6日(水)


目次
1. 後継ぎのいないアイゲウス
2. トロイゼン王女アイトラ
3. ポセイドンの息子
4. トロイゼンでの養育
5. テセウス誕生
6. 原題


今回取り上げる作品は、Laurent de La Hyre作『テセウスとアイトラ』です。

2011年7月6日Laurent de La Hyre『テセウスとアイトラ』 Laurent_de_la_La_Hyre_002

1. 後継ぎのいないアイゲウス


アテナイ王アイゲウスには、長い間、子供が授かりませんでした。

どうしても後継ぎが欲しいアイゲウスは、子が出来ない理由を知るためにデルフォイの神託を伺いに出掛けます。

デルフォイは、現在のバルカン半島南端に位置します。
コリンティアコス湾を挟んで、その南にはペロポネソス半島があります。

従ってデルフォイは、アテナイから見ると西に位置する街であるということになります。

デルフォイの神託は、次のように与えられました。

「アテナイに帰り着くまでは、酒袋から突き出た注ぎ口を開くな。」


アイゲウスは、このアポロンの神託が意味するところを理解出来ませんでした。
デルフォイからアテナイへと帰る道すがら、アイゲウスはトロイゼン王ピッテウスの元を訪れます。

トロイゼンは、ペロポネソス半島の東端の街です。
トロイゼンとアテナイ間は、エーゲ海によって隔てられています。

ピッテウスはアイゲウスから神託の内容を聞かされて、その真意を理解しました。
ピッテウスが解明した神託の真意とは、以下のようなものでした。

「アテナイへの帰途、最初にアイゲウスが性交した女性との間に、後継ぎが生まれるであろう。」


2. トロイゼン王女アイトラ


ピッテウスには、美貌の娘アイトラがいました。

2011年7月4日(月)の記事『ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『ペガサスに乗ったベレロポン』 loro2012.blog.fc2.com』で述べましたが、アイトラは、コリントスの王子ベレロポンと知り合い、恋に落ちました。

しかし、2人の懇(ねんご)ろな関係は長くは続かず、ベレロポンは早々にトロイゼンを離れてしまいました。

独身で暮らす娘アイトラを見ながら、ピッテウスは、このままでは孫の顔を見ることが出来ないかも知れないと、日頃から焦りを募らせていたのです。

そこへちょうどアイゲウスが、不思議な神託と共にやって来たわけです。

食事の際、給仕するアイトラは異国の王アイゲウスに恋心を抱きました。
その様子を見ていたピッテウスは、娘の心情を理解しました。

神託を実現するための様々な環境が、整ったのです。

ピッテウスは、アイゲウスにどんどん酒を勧めて、程良く酩酊させました。
そして食事が終わった後、娘のアイトラに、アイゲウスを寝室まで送り届けるよう命じたのです。

アイトラの肩を借りて寝室へと入ったアイゲウスは、アイトラの柔らかな肉体に触れている内に、欲情しました。

美貌のアイトラも初めからそのつもりで、アイゲウスの体に豊満な乳房をそれとなく押し付けたりしていました。

女は「セックスがしたい」と言葉には出しませんが、柔らかな体を男に密着させることで、その意志を表します。

男にとって女性の柔らかい肉体は、ある意味、神秘的であり、余程の事情がない限り、女性の体に触れたらまず間違い無く勃起します。

ベッドに横になったアイゲウスは、半ば酩酊しているとは言え、ペニスは既に勃起して制御が効かない状態になっています。

いかに長旅で疲れていても、ペニスがこんな状態では、すぐに眠りに落ちるはずがありません。

アイゲウスは、熱い眼差しで自分を見つめているアイトラの手をとってベッドに招き入れ、セックスを始めました。


3. ポセイドンの息子


アイゲウスとアイトラが性交している最中に、ポセイドンが現れました。

しかし、性的快楽を感じている真っ最中のアイゲウスとアイトラは、ポセイドンの存在には気づきません。

ポセイドンは、アイゲウスと同じようにアイトラと性交に及びます。
そして、アイゲウスよりも僅かに早く、アイトラの膣内に射精したのです。

しかしアイゲウスは、ポセイドンが自分と同時進行でアイトラと性交しているとは、夢にも思っていません。

もちろん、アイトラも絶頂に達して、全ての思考が停止していますので、アイゲウス以外の相手と同時にセックスをしたのではないかと、疑う余地などありません。

こうして、アイトラはポセイドンの子を身ごもりました。


4. トロイゼンでの養育


数カ月して、アイトラが懐妊していることが分かりました。

アイトラが妊娠した子の実の父親は、海神ポセイドンです。
しかし、アイゲウスは、アイトラのお腹にいる子が自分の子であると、確信しています。

本来であれば、アイゲウスは、アイトラを連れてアテナイ宮廷へ戻り、アイトラはアテナイで子を出産するべきところです。

ところが、アテナイ宮廷にはアイゲウスの弟パラスがいて、次の王位を虎視眈々と狙っていました。
王位を狙うパラスにとっては、兄アイゲウスに、このまま後継ぎがいない方が都合が良いのです。

もしアイゲウスが異国の王女アイトラを伴ってアテナイへ帰国し、アイトラが子を出産した場合、パラス派閥の者たちがその子を殺す可能性があるとアイゲウスは考えたのでした。

そこでアイゲウスは、生まれて来る子の養育をアイトラ及びトロイゼン宮廷に任せて、自分はトロイゼンを去ることにしたのです。

アイトラからすれば、自分の元から、かつてはベレロポンが去り、今また、アイゲウスが去ろうとしています。

ギリシア神話においては、美女には幸せな日常生活などありません。
美人は、徹底的に不幸になっていくのがギリシア神話です。

アイゲウスは別れ際に、アイトラに次のように申し渡しました。

「生まれて来る子には、父親がアテナイ王であることをすぐに教えてはならない。その子がこの岩を動かせるほどに逞(たくま)しく成長した時、真実を告げてくれ。」

アイゲウスはそう言って、岩の下に自らの剣とサンダルを隠しました。

将来、アイゲウスの前にこの剣を持ち、このサンダルを履いた少年が現れた場合、その少年こそが、アイゲウスの血を引く子であると判断できるように、仕掛けを施しておいたのです。

アイゲウスは身重のアイトラと別れて、エーゲ海を渡ってアテナイへと帰って行きました。


5. テセウス誕生


月満ちて、アイトラはトロイゼン宮廷で男の子を生みました。
その子は、テセウスと名付けられました。

結果的にアポロンの神託は実現し、アテナイ王アイゲウスには後継ぎが生まれたわけです。

但し、アイトラはアテナイ宮廷にテセウスの存在が知れ渡るのを避けるために、息子が生まれたことやその名前をアイゲウスに伝えることは控えました。

フランスの画家Laurent de La Hyre(1606-1656)が描いているのは、成長したテセウスが母の指示で岩を動かしている場面です。

岩の下には、かつてアイゲウスが隠した剣とサンダルが見えています。

向かって右に立っている豊満な美女は、テセウスの母アイトラです。
アイトラは右手の人差指で、剣とサンダルを指し示しています。


6. 原題


Laurent de La Hyreが描いた『テセウスとアイトラ』は、英語ではTheseus and Aethraと言います。

この作品は、ブダペストにある美術館(Museum of Fine Arts)で見ることが出来ます。





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