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グレゴリオ・ラッツァリーニ『バッカスの巫女たちに虐殺されるオルフェウス』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年10月21日(金)13時05分 | 編集 |
2011年10月21日(金)


目次
1. 無視されたディオニュソス
2. マイナスに虐殺されるオルフェウス
3. 傲慢な男には天罰を!
4. 男の価値とは何か?
5. 原題


今回取り上げる作品は、グレゴリオ・ラッツァリーニ作『バッカスの巫女たちに虐殺されるオルフェウス』です。

2011年10月21日グレゴリオ・ラッツァリーニ『バッカスの巫女たちに虐殺されるオルフェウス』206

1. 無視されたディオニュソス


バッカスは、ギリシア神話におけるディオニュソスに相当します。

オルフェウスは、父であるアポロンを最も偉大な神として信奉し、他の神々には全く興味を示さない生活を送っていました。

そんなオルフェウスの所に、ある日、葡萄酒の神ディオニュソスがやって来て、2人は知り合いとなりました。

オルフェウスはディオニュソスと知り合った後も、まるでディオニュソスに当てつけるかのように、あくまでも一本気にアポロンを崇め奉っています。

ディオニュソスは、オルフェウスが神である自分に全く関心を示さないことに、激しく苛立ちます。

業を煮やしたディオニュソスは、信仰の姿勢を改めないオルフェウスを懲らしめることとし、自分を信奉する女たちに、オルフェウスを虐殺するよう命じたのです。


2. マイナスに虐殺されるオルフェウス


ディオニュソスの熱狂的な女性信者は、マイナスと呼ばれています。

マイナスたちは、普段は普通の女性なのですが、葡萄酒を飲んで酩酊した後は、破廉恥な振る舞いを平気でする女性たちへと変化します。

そして、ある日、女性たちは葡萄酒を飲んで狂乱状態に陥った後、ディオニュソスの命令に従って、オルフェウスを虐殺するのです。

この女性たちは、常日頃から自分たちに全く興味を示さないオルフェウスを憎んでいました。

ディオニュソスの命令という大義名分を得た女性たちは、ここぞとばかりに、オルフェウスに対して襲いかかり、今まで冷淡にされて、恥をかかされて来た恨みを晴らそうとしたのです。

グレゴリオ・ラッツァリーニ(1657-1730)が描いているのは、理性を失ったマイナスたちが、寄ってたかってオルフェウスを殴りつけている場面です。

この事件により、オルフェウスは八つ裂きにされ、命を落としました。
そして、切断されたオルフェウスの首は、マイナスたちによって、河に投げ込まれたのでした。


3. 傲慢な男には天罰を!


オルフェウスは、エウリュディケに対する貞節を貫くために、周囲の女性たちの誘いを断っていたのですが、元来、オルフェウスは、女性たちが好意を寄せたくなるような色男だったため、そこに存在しているだけで、女性たちは色めき立ち、あわよくば、オルフェウスの愛を勝ちとって、自分のものにしたいと考えます。

そのために、女性たちはあれこれと手を尽くして、オルフェウスに言い寄り、贈り物をしたり、二人だけで会うための時間と場所を設定したりします。

本来、このようなことは、男性が女性に愛を告げる過程の中で行うことであり、女性の方からこうした働きかけをしてもらえる男性など、ほとんどいないと言っていいでしょう。

そんな女性からの求愛に事欠かない、恵まれた人生を神々から与えられておきながら、オルフェウスは、死んだ妻エウリュディケとの思い出の中だけで生きていこうとして、自分に好意を寄せてくれた女性たちを冷淡に扱い続けます。

モテる男が、女性たちに対して、このようなつれない態度を示すことは、古代ギリシア人の社会通念からしても、やはり、不遜(ふそん)だと受け止められたのだろうと思います。

女性の方から勇気を出して、言い寄って来てくれたにも関わらず、邪険にし、女性に恥をかかせて平気で生きて行くモテ男には、天罰が下るべきだという思いが、当時の女性社会だけでなく、男性社会にもあったのでしょうね。


4. 男の価値とは何か?


モテる男の価値というのは、言い寄って来た女性を尽(ことごと)く袖にして、優越感に浸ることではなく、何人の女性を自分の力で幸せにできたか、という点に求められるのだと思います。

女性が男に対して、恥を偲んで、遠回しにセックスをして欲しいと求めることも、場合によってはあるでしょうし、それは、人間の女性としては自然な感情の発露(はつろ)だと思います。

男が、女性からそのような申し出を受けたにも関わらず、考慮する素振りさえも示さずに、言下(げんか)に拒絶したら、その男は周囲から傲慢の誹(そし)りを受けるでしょう。

また、男から冷酷な反応を浴びせられて、恥をかかされ、惨めな思いで佇(たたず)む女性に対して、目もくれずに完全に背を向けて立ち去るというのは、分別のある男のすることではありませんね。

オルフェウスは、自分に思いを寄せてくれた女性たちに対して、一貫してこうした残酷な態度を取って来たわけですが、ある意味では、愛した妻エウリュディケすらも、完全には幸せに出来なかったわけで、彼のような恋愛に対する偏執的な性向を有する男性に対しては、ギリシアの神々は手厳しいのです。

2011年8月12日(金)の記事『ローレンス・アルマ=タデマ『ヒッポリュトスの死』 loro2012.blog.fc2.com』において、やはり恋愛に対して偏屈な考え方を持っているヒッポリュトスが、アプロディーテやポセイドンに呪いをかけられて、哀れな死に方をしたことを紹介しましたが、古代ギリシアの人々には、セックスを始めとして、男が持てる力を存分に発揮して女性を幸せにするべきだという意識が発達していたように思います。

そして、そうした社会通念に沿わない生き方を選んだ男が存在した場合には、集団から排除し、残酷なまでの死を与えてやればいいという思想が確立していたのだと思います。

次回は、河に投げ込まれたオルフェウスの首の行方について述べます。


5. 原題


グレゴリオ・ラッツァリーニ(Gregorio Lazzarini)が制作した『バッカスの巫女たちに虐殺されるオルフェウス』は、イタリア語ではOrfeo massacrato dalle Baccantiと言います。

massacrare Zは、Zを惨殺する、という意味です。

la Baccanteは、バッカスの巫女、と訳されますが、狂乱したディオニュソスの女性信者のことです。
オルフェウス虐殺には、複数のマイナスが関わっていますので、複数形のle Baccantiになっています。

この作品は、ヴェネツィアにあるCa' Rezzonicoと呼ばれる建物に所蔵されています。





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