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レンブラント・ファン・レイン『ポティファールの妻から告訴されるヨセフ』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2012年07月10日(火)12時32分 | 編集 |
2012年7月10日(火)


目次
1. 冤罪
2. 嘘がまかり通る世界
3. 原題


今回取り上げる作品は、レンブラント・ファン・レイン作『ポティファールの妻から告訴されるヨセフ』です。

2012年7月10日レンブラント・ファン・レイン『ポティファールの妻から告訴されるヨセフ』368

1. 冤罪


レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)が描いているのは、帰宅したポティファールに妻が、ヨセフの強姦未遂事件をでっち上げ、訴えているところです。

画面向かって右に立っているポティファールは、妻の真剣な訴えに耳を傾けています。

妻は、向かって左の前景に描かれている、ヨセフの赤いマントを動かぬ証拠として、捏造した強姦未遂事件の顛末を語っています。

貞淑な妻を、あろうことか奴隷のヨセフが強姦しようとした、という話に仕立て上げていくのです。

ベッドを挟んだ後方で、力なく佇んでいるのは、ヨセフです。

権力者ポティファールの凄みのある姿に、無実のヨセフが気圧(けお)されている様子が描かれています。

なお、旧約聖書『創世記』には、ヨセフがこの場面に立ち会った、という記述はありません。
この場にヨセフが描かれているのは、あくまでもレンブラントの創作です。


2. 嘘がまかり通る世界


妻は、ポティファールに次のように言います。

「実は、私は、以前からヨセフに言い寄られていました。
再三断ったのですが、今日はついに、力づくで犯されそうになりました。
辛うじて、無傷でしたが、明日以降も、襲われるかも知れませんので、恐ろしいです。」

涙ながらに切々と訴える妻の顔を見ていると、夫は、妻の言っていることが真実なのだろうと判断しますね。

ポティファールは、奴隷のヨセフが、妻の熟れた肉体を日々、セックスの対象として見ていたことを知り、激怒します。

夫に限らず、性的辱めを受けたという女の訴えを聞いた者は、無条件で女の発言内容を信じる傾向にあります。

「女が泣いているのだから、悪いのは男のはずだ。
女は悪くない。

女が性欲を露にして、男に言い寄ることはないはずだ。
女は悪くない。

女には全くその気はなかったのだが、男の性欲の餌食になったのだ。
女は悪くない。

女には、それほど性欲はないはずだ。
女は悪くない。

悪いのは、全て男だ。
なぜなら、女が泣いているからだ。」

社会全体が、こういう思考を巡らすことによって、性的冤罪事件を捏造した女に加担していくのです。
このあたりが、人間の限界であり、人間の本質なのです。

旧約聖書は、被害者が提出した物的証拠すらも、真実の証明にはならないことを教えているわけです。

しかし、旧約聖書の時代から数千年が経過した現代でも、痴漢冤罪事件などで人生を狂わされた男性も、少なからずいます。

男女を問わず、人間には、まだまだ賢くなる余地は残されている、と信じたいですけどね。

さて、奴隷という身分を弁(わきま)えて、弁明しなかったヨセフは、ポティファールの命令により、獄に放り込まれることになりました。


3. 原題


レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt Harmensz. van Rijn)が制作した『ポティファールの妻から告訴されるヨセフ』は、英語ではJoseph Accused by Potiphar's Wifeと言います。

accuse Zは、Zを告訴・告発する、という意味です。

告訴とは、犯罪の被害者が犯罪の事実を申告することです。
一方、告発とは、被害者以外の第三者が、犯罪の事実を申告することです。

一般語としては、告訴も告発も混同されて使われているかも知れませんが、法律用語としては、告訴と告発は明確に区別されます。

この作品は、ワシントンのナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art, Washington, DC)で見ることが出来ます。





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