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アンニーバレ・カラッチ『ヘラクレスの選択』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年07月10日(日)13時05分 | 編集 |
2011年7月10日(日)


目次
1. 甘美な世界
2. 匿名による快楽の追求
3. 苦闘の歴史
4. 原題


今回取り上げる作品は、アンニーバレ・カラッチ作『ヘラクレスの選択』です。

2011年7月10日アンニーバレ・カラッチ『ヘラクレスの選択』232

1. 甘美な世界


イタリアの画家アンニーバレ・カラッチ(1560-1609)が描いているのは、快楽の道と苦難の道との狭間で迷うヘラクレスの姿です。

画面中央で、棍棒を抱えて全裸で座っているのがヘラクレスです。
ボカシが入っていますが、ちゃんとペニスも描かれていますね。

ヘラクレスの両側には、2人の女神が立っています。

向かって右の女神は、快楽の象徴です。
下半身には薄衣を身につけ、豊満な太股をヘラクレスに対してさり気無く披露しています。

上半身の左側には衣服を身につけることなく、ヘラクレスの視線を釘付けにする戦術です。
ヘラクレスは、目のやり場に困ったという表情を浮かべていますね。

向かって右端に描かれている様々な備品は、全て快楽の仲介をするものとして捉えられています。
右下隅にあるのは楽器で、その上には2つの仮面が見えます。

楽器は人間の生活にとって必要な音楽を生み出しますが、その音楽によって人間の欲情が駆り立てられる可能性があるのも事実です。

その観点から、この絵では、楽器は快楽の象徴として解釈されていると言って良いでしょう。


2. 匿名による快楽の追求


仮面は、さらに直裁的に、淫欲の象徴と解されます。

ヨーロッパでは、仮面をつけて素性(すじょう)を隠した上で、男女が出会い、愛の言葉を交わすという文化が発達しました。

仮面を付けていれば、素性がバレないので、男女ともに、一夜限りの、通常では絶対にしないような卑猥なセックスも楽しめるということですね。

妖艶な女神の前方には、豊かな緑が広がっています。
木々が生い茂り、生命力に充ち溢れた世界です。

ところが、誰もが望むであろうこの快楽の世界は、必ずしも幸せをもたらすとは限りません。
なぜなら、快楽は度を越すと、身の破滅につながるからです。

そのことは、アダムとイヴの時代から人類はわかっていたはずです。
それでも快楽の追求を止めないのが、普通の人間の悲しさです。

偉大な人間になるためには、淫蕩な世界への憧れは、どこかで断ち切る必要があるのです。


3. 苦闘の歴史


向かって左側の女神は、美徳の象徴です。

赤い衣装を身につけた女神が指さす先には、曲がりくねった険しい山道が続いています。
山道には、緑の木々など全くと言っていいほど、見当たりません。

快楽の代表格であるセックスは、人間の心身に潤いをもたらし、生きる活力を与えますが、この山道は、それとは全く対極にある、乾き切った世界で、ここから生きる活力を得るのは、凡人にはまず不可能でしょう。

山道の行き着く先には、一頭の馬が見えます。
これは、ペガサスです。

ペガサスは、ペルセウスがメデューサの首を切った時に生まれ出た馬で、教養や名声を示すものとして捉えられています。

ペガサス誕生の経緯は、2011年6月20日(月)の記事『フランチェスコ・マッフェイ『メデューサの首をはねるペルセウス』 loro2012.blog.fc2.com』を参照して下さい。

向かって左下で、書籍を開いているのは詩人です。

この詩人は、快楽の道を捨てて難行に立ち向かった英雄の生き方を、記録に残す人物として描かれています。

快楽を捨て去るという美徳を敢えて選択するからこそ、後の世代から英雄と崇め奉られることを示しています。

ヘラクレスは、検討した末に苦難の道を選択しました。
快楽と苦難の両方の道を提示され、苦難の道を選ぶことを「ヘラクレスの選択」と言います。

ただヘラクレスは、その人生において、幾人かの女性に興味を示し、妻を何人も娶ることになります。
ヘラクレスにとっての苦難の道とは、必ずしも童貞を貫くことを意味したわけではありません。


4. 原題


アンニーバレ・カラッチ(Annibale Carracci)が描いた『ヘラクレスの選択』は、イタリア語ではScelta di Ercoleと言います。

sceltaが、選択という意味です。

この作品は、ナポリにあるカポディモンテ美術館(Il Museo Nazionale di Capodimonte)で見ることが出来ます。





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