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本木雅弘主演ドラマ『運命の人』を見た感想
記事URL  カテゴリ | 日本ドラマ | 2012年03月21日(水)00時27分 | 編集 |
2012年3月21日(水)


目次
1. 現在の沖縄が抱える諸問題の原点
2. 国家の税金より、他人のセックスに興味がある人々
3. 論点は何だったのか?
4. 近未来に直結する罪
5. 国家を守るのは誰か?


1. 現在の沖縄が抱える諸問題の原点


TBSテレビの1月~3月期のドラマ『運命の人』を見ました。

主演の本木雅弘が演じていた弓成亮太は、毎日新聞記者の西山太吉(1931-)をモデルとしています。
大森南朋が演じていた山部一雄は、読売新聞の渡辺恒雄(1926-)をモデルとしています。

このドラマは、辣腕記者の西山が佐藤栄作内閣(任期:1964-1972)において実現した沖縄返還に際して、日本政府とアメリカのニクソン政権(任期:1969-1974)との間に不透明な資金の流れがあったことを暴き、それを契機として多くの人々の人生が変わって行く様を描いています。

この沖縄返還密約事件に関する裁判は1978年に西山記者の有罪が確定したことで終結を見たのですが、原作の山崎豊子は正しいことをした記者が国家権力によって職を奪われ、その結果として言論の自由が反故(ほご)にされたことがその後の沖縄が抱える諸問題の一因になっているという捉え方をしています。

つまり、もしあの裁判で西山記者が無罪を勝ち取り、さらには佐藤内閣が行った密約の事実が公になっていれば、国民の沖縄に対する見方や感情も変わったでしょうし、政府が実行する沖縄政策にも大幅な軌道修正を要求できたはずだということです。

ところが残念ながら、正義の西山記者には執行猶予付きとは言え有罪判決が下り、その結果西山は世論から非難される立場へと転落して行きます。

その原因は言葉のすり替えです。


2. 国家の税金より、他人のセックスに興味がある人々


当初、この事件は「沖縄返還密約事件」として捉えられていたのですが、その後「外務省機密漏洩事件」という言葉に置き換えられ、挙句の果てには「西山と外務省女性事務官とのセックス事件」へと変貌して行きました。

西山と女性事務官が国家公務員法違反の疑いで逮捕、起訴されたのは1972年のことですが、当時の世論は沖縄返還協定に関わる使途不明な税金の行方にはあまり関心を示さず、むしろ西山が外務省の女性事務官と不倫関係になり、西山がその事務官と何度もセックスをする見返りに機密情報を手に入れたという誤った情報に飛びついたわけです。

西山記者の名誉のためにも私がここで申し上げたいのは、1972年当時にこの事件に関して報道された「種々の事実」の中にはテレビの視聴率を上げるために「歪曲された事実」も数多く含まれていたし、また雑誌の販売部数を上げるために「捏造された事実」も少なからず存在したということです。

西山の愛人問題が「事実」だったとしても、事件の本質と比べればそれは極めて些細なものに過ぎません。

一方の徹底究明するべき政府の裏切り行為については、佐藤内閣の巧妙な広報戦略が功を奏し、やがて完全に隠蔽されてしまったのです。

マスコミが本筋である税金不正使用問題を蚊帳の外に置き、瑣末なセックスの話題ばかりに光を当てるような報道体制を敷いたため、この裁判では何が論点になっているのかさえ知らない国民が増加し、そのことを憂う有識者がいたとしても発言の場を与えられなかったというのが「真実」だと思います。

今の時代であれば有識者でなくても、ブログやSNSを利用して世に自説を問うということも出来るのですが、当時はマスメディアを使って意見を述べることしか方法がない時代だったのです。


3. 論点は何だったのか?


事件の論点は憲法学の側面としては、民間人の西山を国家公務員法違反の罪で裁くことが出来るかということでした。

政治的側面の論点としては政府が国会の場で税金の使い途を明らかにせず、国民に知らせるべき情報を隠蔽した場合に内閣や官僚の責任はどこまで追求できるのかということだったわけですが、この点は裁判の場でも取り上げられることはありませんでした。

その意味では裁判所も大失態を犯したと言えるでしょう。

残念ながらいつの時代でも、国民は小難しい税金や法律にはあまり興味を示さず、セックスや不倫あるいは醜聞といったものに目を奪われてしまうのです。

マスコミ界がそのような国民を対象として番組制作や雑誌作りをしている以上、セックス絡みの話題に多くの放送時間や紙面を割くのは、ある意味仕方のないことです。

卑近な例としては2011年にニューヨークで起きたストロスカーン事件でも、フランスやアメリカのマスコミはセックス絡みの話題なので徹底的に放送枠を確保し、ストロスカーンの日々の動向を報道していましたね。

時代や民族が違ってもマスコミの体質は変わらないようです。

ということは、時代が進み世代が交代しても、社会を構成する一般人の関心領域には大きな変化は見られないということの裏返しでもあります。

話を戻しますが、「正」の西山が失業に追い込まれ「邪」の佐藤が訴追もされず、挙句の果てにはノーベル平和賞という名誉まで手に入れて平穏無事にこの世を去ったというのは、やはり理不尽さを感じます。

何も知らない国民がマスコミに煽られて事件の全貌を解明するための入口として、まずは西山の愛人問題に好奇の目を向けるのは良いと思います。

しかし、事件の出口を追い求める国民が残念ながら当時の日本には少なかったために、結果として佐藤は首尾よく逃げ切ることが出来たわけです。

しかも、未だに佐藤の名誉は剥奪されてはいません。


4. 近未来に直結する罪


沖縄の基地問題やアメリカ兵による蛮行事件は、未だに沖縄で暮らす人々に暗い影を落とし続けています。

その大元の原因は、もちろんアメリカとの戦争に負けたことなのですが、戦後25年が経過した時点で佐藤は新たな原因と前例を作ってしまいました。

平たく言うとアメリカが脅しをかければ日本政府はいくらでも資金を出し、表面的には日本が資金提供したことを隠すという前例です。

現在、沖縄に駐留するアメリカ軍のグアム移転に関する経費を日本とアメリカでどのように負担するかという交渉が行われていますが、政府発表の負担額、つまり日本のマスコミが発表した負担額は率直に言うと信用できません。

なぜなら自民党政権が倒れようとも日本政府を引き継いだ者たちは、「現実的な判断」と称して国民の知らないところでいくらでも外国と密約を結び、その結果国会に報告できない「裏の資金」が大量に動いていることがある程度予想されるからです。

そして、それらの「裏金」は公式には「存在しないもの」として公にはされないため、マスコミが暴かない限りあるいは機密情報が漏洩しない限り、野党を含めた国民には一切知らされずに年月だけが過ぎて行くのです。

さらに、諸外国との密約を果たすことで減少してしまった「裏金」を補填するためにも、政府からは増税が叫ばれ政府の方針に逆らえないマスコミを通じて増税不可避という世論が形成され、やがて国民は絶望し結果的には政府の決めたことを受け入れざるを得ない状況に追い込まれてしまうのです。


5. 国家を守るのは誰か?


今後、西山記者のような骨のある人物がマスコミ界に現れなければ、日本はアメリカなどの諸外国に食い物にされて大東亜戦争の敗北以来続いている属国としての地位から抜け出ることは出来ないのだろうと思います。

もちろん、私も「第二の西山記者」の登場を待っているだけではなく、私の立場で出来る限りの戦いはして行きますよ。

近い将来に日本に生まれて来る子孫の生活を守るためにも、私たち現役世代の戦いはまだまだ続くのです。

その戦いに勝利を収めるためにも、外国語の素養は必須のものとなります。

なぜなら、この日本を属国化しているのは日本語を母国語としない諸国家であり、彼らは属国内だけ使われている日本語など修得する気持ちがないからです。

先方のそういう意識を変えられない以上、私たち日本人が語学力を身につけるしかありません。

ただ、語学力の基礎になるのは母国語の言語能力であり、外国語だけを学んでいても真の語学力は決して身につかないことはこのブログでも再三述べているところです。

日本が属国化されていることの象徴が沖縄の現状であり、沖縄の未来を変えることは日本の未来、引いては東アジアの未来を変えることになるのです。

なお、この「沖縄の未来を変える」という方向性は、今私が思いついて打ち出したものではなく、40年も前に既に西山太吉が打ち出していたものです。

この40年間で日本は多くのことを成し遂げて来ましたが、西山が目指した属国化からの脱却は未だに実現されてはいません。

沖縄の現状を見れば一目瞭然なのです。


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