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アントワーヌ・ヴィールツ『麗しのロジーヌ』
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2010年12月17日(金)14時38分 | 編集 |
2010年12月17日(金)


テレビでの放送日:2010年3月15日(月) 
番組名:「怖い絵」で人間を読む(NHK教育) 講師:中野京子

目次
1. 疫病のない時代
2. 生の勝利
3. 原題


2010年12月16日(木)の記事『ピーテル・ブリューゲル『死の勝利』 loro2012.blog.fc2.com』で取り上げたピーテル・ブリューゲル(1525頃-1569)が活躍していた頃から300年ほど時代を先に進めます。

19世紀を生きた画家アントワーヌ・ヴィールツの描く『麗しのロジーヌ』はブリューゲルの『死の勝利』とは大きく異なる視点で生と死を捉え直しています。

2010年12月17日アントワーヌ・ヴィールツ『麗しのロジーヌ』1 508

1. 疫病のない時代


アントワーヌ・ヴィールツ(1806-1865)はベルギー出身の画家です。

彼が生きた時代のヨーロッパにおいてはペストという病気は医学の力によって既に克服されていました。

人々にとってペストという言葉は過去のものになっていたわけです。

さらにヴィールツは数千万人の命を奪ったスペイン風邪(インフルエンザ)の流行(1918-1919)を知らずに亡くなっている世代です。

今回の番組における主題として扱われた『死と乙女』を描いたエゴン・シーレ(1890-1918)はこのスペイン風邪が原因で、28年の人生を閉じました。

2010年12月17日アントワーヌ・ヴィールツ『麗しのロジーヌ』2 287


2. 生の勝利


ヴィールツ作『麗しのロジーヌ』からは死をも超越する「美の力」を信じようとする意志が感じられます。

絵画の中の女性は死の象徴としての骸骨の前でその豊満な肉体美を誇示し、瞳を毅然と見据えています。

死に対して真正面から向き合っているというよりは、死の先に広がっている世界を眺めているようにも感じられます。

女性の持つ気高さとみずみずしさをヴィールツは丹念に描きました。
左手の薬指には指輪が輝き、死を恐れない「根拠」を示しています。

そして、この女性が経済的にも恵まれた環境で日々暮らしていける身分にあることは意匠を凝らした髪飾りが示していると言えるでしょう。

若さ、美しさ、経済力、そして愛のある生活・・・、これらの力で死を圧倒し「生の勝利」を宣言している作品であると思います。

ブリューゲルの描いた『死の勝利』からは決して感じることの出来ない、生きるということに対する喜びがこの絵画の右半分には満ち溢れています


3. 原題


アントワーヌ・ヴィールツ(Antoine Wiertz)の描いた『麗しのロジーヌ』はフランス語ではLa Belle Rosineと言います。

この作品はブリュッセルにあるベルギー国立ヴィールツ美術館(Musée Wiertz)で見ることが出来ます。


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