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ニコラ・プッサン『黄金の子牛の崇拝』
記事URL  カテゴリ | 旧約聖書絵画 | 2012年09月08日(土)10時48分 | 編集 |
2012年9月8日(土) 1本目


目次
1. モーゼ不在時の出来事
2. 兄アーロン
3. 原題


今回取り上げる作品は、ニコラ・プッサン作『黄金の子牛の崇拝』です。

2012年9月8日ニコラ・プッサン『黄金の子牛の崇拝』239

1. モーゼ不在時の出来事


ユダヤの神は、偶像崇拝を否定します。
いかなる理由があろうとも、偶像を作成しそれを拝むという行為は、命令違反となります。

モーゼがユダヤの民と一緒にすぐ傍で活動していた時は、指導者モーゼの目が光っていますので、そのようなことを考えたり話題にしたりする者はいませんでした。

ところが、モーゼが神に呼ばれシナイ山に登っている間に、ユダヤ民族は神との約束を反故(ほご)にしました。

ニコラ・プッサン(1594-1665)が作品の中央に描いているように、金色の仔牛像を拵(こしら)えて拝んでしまったのです。

彼らがこのような愚行に及んでいる最中、モーゼは山頂にて神から『十戒』を授かっていました。

命を懸けて神との対話に臨み、ありがたくも十戒を授かったモーゼは、同胞にこのことを伝える義務があります。

ところが、急ぎ下山したモーゼを待っていたのは、目を疑うような光景でした。
金色の仔牛像がテーブルの上に安置され、踊り狂って騒いでいるだけの民衆の姿です。

指導者が不在だと、自制心のない部下はこのような生活態度に成り果てるということですね。


2. 兄アーロン


モーゼには、アーロンという兄がいました。

アーロンはモーゼがシナイ山に登っていて不在の間に、ユダヤ民族を取りまとめる役割を担っていました。

にも関わらず、アーロン自身が仔牛像の作成に関わって、民衆をあらぬ方向へと先導していたのです。

画面向かって右の、木の前で白い服を頭から身につけている男がアーロンです。

指導者モーゼがなかなか下山して来ないので、しびれを切らしたという事情もあったでしょう。

しかし、下々の者はともかく、兄であるアーロンだけはそういった人々の焦りや不安を、言葉の力で解消してあげる責任があったはずです。

弟が命がけで神と対話していることの意味を、この兄は全く理解していなかった、ということになりますね。

画面後景の向かって左側で、石板を掲げて地面に叩きつけようとしているのがモーゼです。
民の乱れた生活ぶりを目にして、堪忍袋の緒が切れたという様子です。

モーゼの右にいるのは、ヨシュアです。
ヨシュアはモーゼ亡き後、ユダヤ民族の指導者に指名される人物です。


続きます。


3. 原題


ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin)が制作した『黄金の子牛の崇拝』は、英語ではThe Adoration of the Golden Calfと言います。

adorationが、崇拝、という意味です。

この作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリー(The National Gallery)で見ることが出来ます。





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