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アンブロージョ・ロレンツェッティ『悪政の寓意』
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2010年09月06日(月)12時32分 | 編集 |
2010年9月6日


テレビでの放送日:2010年5月17日(月) 番組名:名画への旅(NHKBShi)

目次
1. 悪政の寓意
2. 原題


今回取り上げる作品は、アンブロージョ・ロレンツェッティ作『悪政の寓意』です。

2010年9月6日アンブロージョ・ロレンツェッティ『悪政の寓意』1 211

1. 悪政の寓意


フレスコ画全体の規模がかなり大きいため、この画像だと細部が良く見えません。
部分的に拡大した画像は以下です。

2010年9月6日アンブロージョ・ロレンツェッティ『悪政の寓意』2 457

この作品には、悪政の象徴として角の生えた悪魔のような存在が描かれていますね。
その男の向かって右に立っている獣は、この世のものではありません。

畜生道に堕ちた人間の、成れの果ての姿を描いているのでしょうか。

アンブロージョ・ロレンツェッティ(1290頃-1348)が活躍したのは、14世紀前半のシエナです。

その当時において、人間が獣に生まれ変わったり異形のものに姿を変えるという思想があったのかどうかはわかりません。

しかしいずれにしても作者はこのような光景を目にしたか、あるいは心の中で思い描いたはずです。
この時代にはもう既に、悪魔的なるものへの恐れという意識が人々の間に広まっていたのでしょうね。

角の生えた男の背後にいる3人の人物は、着ている物や表情からするとそんなに悪い存在には思えません。
ただ、この有翼の人物たちが何をしようとしているのかまではわかりません。

悪政を行う男の心を変えようとしているのか、右手に持った剣によって制裁を加えようとしているのか・・・。

中景の向かって一番左に座っている男の左腕に巻き付いているのは蛇ですね。
その向かって右隣にいる男が膝の上に載せている動物も黒いしっぽが生えていて気味が悪いですね。

前景中央にいる手足を縛られた男は正義の象徴なんだそうです。
正義を封じ込めてこそ悪が栄えるという発想は、いつの時代にも存在したということの証ですね。


2. 原題


『悪政の寓意』はイタリア語ではAllegoria del Cattivo Governoと言います。
allegoriaは寓意、il cattivo governoが悪い政府という意味です。

cattivoという形容詞はいろんな意味があります。
主に「道徳的に悪い」という文脈で用いる語ですね。

この作品はイタリア中西部の街シエナ(Siena)のプッブリコ宮殿(Palazzo Pubblico)で見ることが出来ます。

2010年9月5日の記事『アンブロージョ・ロレンツェッティ『善政の寓意』 loro2012.blog』で取り上げた『善政の寓意』と今日取り上げた『悪政の寓意』の2つは実は個別の作品ではありません。

この2つ以外にもプッブリコ宮殿の壁には、アンブロージョ・ロレンツェッティが連作として描いたフレスコ画が残っています。

総称的には『善政の寓意と効果及び悪政の寓意と効果』と訳せる題名がついています。
イタリア語では、Allegoria ed Effetti del Buono e del Cattivo Governoとなります。

effettoは効果とか結果という意味です。
ここでは複数形として使われていますのでeffettiになっているわけです。




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