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ディエゴ・ベラスケス『卵を料理する老婆と少年』
記事URL  カテゴリ | その他絵画 | 2011年01月09日(日)13時56分 | 編集 |
2011年1月9日(日)


テレビでの放送日:2010年4月9日(金) 
講座名:テレビでスペイン語 講師:貫井一美


目次
1. 二十歳前の画風
2. 卵と老婆
3. 左手の卵
4. 原題


「美術からひも解くスペイン vol.02」で取り上げられた絵画、ディエゴ・ベラスケス作『卵を料理する老婆と少年』をご紹介します。

テキスト:2010年4月号 50ページ

2011年1月9日ディエゴ・ベラスケス『卵を料理する老婆と少年』284

1. 二十歳前の画風


この作品は、ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)が故郷のセビリヤにいた頃に描いたものです。
製作年は1618年と確定されていますので、まだ二十歳にもなっていませんよね。

この若さでこの画風ですから、まさに天才です。

作者の名前を伏せられて、熟練した画家が描いた作品であると聞かされたら素直に信じてしまいますね。


2. 卵と老婆


赤い土鍋の中で調理されている卵が主題の一つになっていて、その柔らかい輪郭が際立っています。
焼き上がりつつある2つの卵以外にも、見事に描かれている要素がいくつかあります。

例えば、テーブルの上に載っている白い皿にはナイフの影が映っていますが、ちゃんとその影が向かって右側に湾曲していますよね。

主題の一人である老婆に対して、向かって左側から光が当たっていることが、ここにも抜かり無く表現されているわけです。


3. 左手の卵


老婆の左手には3つ目の卵が握られているのですが、これは料理をする立場になってみると不自然に思われます。

なぜかと言うと、土鍋の中にはこれ以上卵が入る余地は無いと思いますし、仮にあるとしたら最初から3つとも続けて割って中に入れれば良かったわけです。

あるいは、とりあえず2つの卵を焼き上げて皿に移してから、3つ目の卵を手にしてもちっとも遅くはありません。

にも関わらず、老婆はもう既に左手には卵を持って次の行動に移ろうとしています。

性急に事を運ぶ理由が何かあるのでしょうか?
しかし、無表情な老婆からは焦っている様子は感じられませんよね。

そして、2人の登場人物が共に両手に何かを持っていますよね。
これが見る者に忙(せわ)しなさを感じさせる要因となっているんだと思います。

焦っているわけではなさそうなのに、何となく忙しなさを感じさせる・・・、
こんな仕上がりになっている不思議な絵です。

前景にはすり鉢などの静物が数点描かれていますし、老婆同様少年も無表情です。

本来であれば、落ち着いた印象を与える作品になっていてもおかしくはないのです。
ところが、長閑(のどか)さというものは伝わっては来ませんね。

二人が着ている服装から推測すると季節は晩秋か冬でしょうね。

そして、太陽の光が部屋に差し込んでいますので、朝食の準備をしているのだと思います。
少なくとも夕食の準備ではないですね。


4. 原題


『卵を料理する老婆と少年』は、スペイン語だとVieja friendo huevosとなります。
el huevoの語義は鶏卵です。

friendoは他動詞freír(油で揚げる)の現在分詞です。
直訳すれば、卵を揚げている老婆ということになります。

英語の題名は、An Old Woman Cooking Eggsです。

この作品は、スコットランドのナショナルギャラリー(National Gallery of Scotland)で見ることが出来ます

スコットランドのナショナルギャラリーは、スペイン語だとLa Galería Nacional de Escociaと言います。




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