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ホセ・デ・リベーラ『イクシオン』
記事URL  カテゴリ | ギリシア神話絵画 | 2011年07月01日(金)16時21分 | 編集 |
記事のタグ: プラド美術館
2011年7月1日(金)


目次
1. ラピテス族のイクシオン
2. ペイトリオスの父
3. ヘラに対する仮想強姦事件
4. タルタロスでの責め苦
5. 原題


今回取り上げる作品は、ホセ・デ・リベーラ作『イクシオン』です。

2011年7月1日ホセ・デ・リベーラ『イクシオン』252

1. ラピテス族のイクシオン


ラピテス族は、テッサリア地方を地盤とする民族です。
テッサリア地方は現在のバルカン半島南部に位置し、オリュンポス山の南に広がる地域を指します。

ラピテス族の王子に、イクシオンという男がいました。
アポロンとの情事によってアスクレピオスを産んだコロニスは、イクシオンの妹にあたります。

コロニスについては、2011年5月6日(金)の記事『アダム・エルスハイマー『アポロンとコロニス』 loro2012.blog.fc2.com』を参照して下さい。

イクシオンの父はアレスという説が有力ですが、定まってはいません。

さて、イクシオンはデイオネウスの娘ディアと結婚することになりました。
結婚披露宴が開催される当日、イクシオンは、義理の父となるデイオネウスを殺害します。

殺害動機は明らかにはなっていませんが、結婚の許しを得る過程で、両者の間には確執があったのかも知れません。

デイオネウスは、結婚披露宴に向かう道中で、イクシオンの掘った落とし穴に嵌(はま)り、穴の底に仕掛けられた炭火によって焼け死んだのです。

ギリシア神話において、義理の父とは言え、身内の者を殺したのはイクシオンが初めてだとされています。

当然、神々はイクシオンの行為を非難しますが、最高神のゼウスだけはイクシオンをかばい、不問に付すことにしたのです。

なぜ、ゼウスがイクシオンに肩入れしたのかは不明ですが、もしかすると、イクシオンがこの後、もっと大きな罪を犯すことがゼウスには予見出来ていたのかも知れません。

つまり、この殺人事件の審理によって下されるであろう手緩(てぬる)い処罰を与えてしまうことよりも、イクシオンのような性悪には、最大級の責め苦を与えた方が人類のためであると、ゼウスは考えたのかも知れません。


2. ペイトリオスの父


イクシオンは、妻ディアとの間にペイトリオスを儲けます。

ペイトリオスは、後に、テセウスの盟友としてカリュドンの猪刈りに参加したり、12歳の美少女ヘレネをスパルタから誘拐したりすることになります。


3. ヘラに対する仮想強姦事件


ゼウスは、イクシオンの殺人の罪を許しただけでなく、神々の饗宴に招き入れ、自由に飲食させました。

イクシオンは、最高権力者ゼウスの寵愛を受けていると解釈し、饗宴の席で分を弁(わきま)えずに、酩酊しました。

そして、あろうことか、イクシオンは酔った勢いで美しいヘラを誘惑しようとしたのです。
ゼウスはヘラの貞節を守るために、ヘラに似せた人形を雲で作って、イクシオンに与えました。

この雲の人形は、ネペレと呼ばれます。

酔ったイクシオンはネペレを女神ヘラと思い込み、その熟れた肉体に抱きつきました。

そして、ディープ・キスを交わした後、最大限に勃起したペニスを、ネペレに細工された偽の膣の中へ挿入し、大量に射精したのです。

最高女神の地位に君臨するヘラの膣内に射精したと勘違いしたイクシオンは、束の間の幸福感や征服感を味わいました。

この性行為を通じて、ネペレから生まれたのが、ケンタウロスです。

ケンタウロスは、好色かつ酒好きな半人半馬です。
この後ケンタウロスは、多くの雌馬と交わりながらケンタウロス族を形成していくことになります。


4. タルタロスでの責め苦


最高神ゼウスの妻ヘラに対して不埒な行いをしようとしたイクシオンは、ゼウスの逆鱗に触れて、タルタロス送りになりました。

タルタロスに落とされたイクシオンは、火焔車に繋がれて、永遠に回り続けるという罰が与えられました。

スペインの画家ホセ・デ・リベーラ(1591-1652)は、イクシオンがタルタロスで罰を受けている場面を描きました。

画面上部で、右腕と右の太股に鎖を繋がれているのがイクシオンです。
イクシオンの体は、車輪の上に乗っています。

下部で目を見開いているのは、サテュロスです。
サテュロスは、半人半獣の精霊たちを総称する名称です。

このサテュロスは、タルタロスで拷問の係官として働いているのです。
サテュロスは耳の先端が尖っていますので、イクシオンと区別が出来ます。

好色なイクシオンにとって、無分別な射精の代償は、あまりに大きかったのです。

イクシオンに限らず、酒に溺れ、セックスの快楽に溺れた者たちは、今日も「イクシオンの車輪」に縛られて、身動きが取れないまま、永遠に回転し続ける拷問を受けているのです。


5. 原題


ホセ・デ・リベーラ(José de Ribera)が描いた『イクシオン』は、英語ではIxionと言います。

この作品は、プラド美術館(Museo Nacional del Prado)で見ることが出来ます。





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